こんばんは、いもみ🍠です。
本日は、『古事記』本文上巻㉘~神生み(7)~のご紹介です。
こんばんは、アキです。
主に翻訳と解説を担当しています。
(註:【多具理邇】の4字は音読みで【たぐりに】と読んで下さい)
(註:【金山毘古神】の【金】の漢字は【迦那(かな)】と読みます。以下もこれに倣い読んで下さい)
更にイザナミの便から波邇夜須毘古(はにやすびこの)神と波邇夜須毘賣(はにやすびめの)神がお生まれになりました。
(註:この両神の名前は音読みで読んで下さい)
更にイザナミの尿から彌都波能賣(みつはのめの)神と和久産巣日(わくむすびの)神がお生まれになりました。
和久産巣日(わくむすびの)神の子は、豐宇氣毘賣(とようけびめの)神と言います。
(註:【豐宇氣毘賣】の【宇】から4文字は音読みで「とようけびめ」と読みます)
このような経緯でイザナミは火の神をお生みになった時の火傷が原因で、遂(つい)にお隠れになったのです…。
(註:天之鳥船神から豐宇氣毘賣神まで、併せて八柱の神々です)
イザナミは火の神を生んだときの火傷で、亡くなってしまいました…。
苦しむイザナミから吐しゃ物や糞尿からも神様が誕生するのですが…あれ?神生みって2神じゃなくても出来るんだ...。
それじゃあこれまでの柱を回って結婚とか、男が先に声掛けしなきゃならないとか...あれは一体何だったのか...?
『古事記』本文上巻㉘~神生み(7)~
凡 伊邪那岐 伊邪那美二神
共所生嶋壹拾肆嶋 神參拾伍神
(是伊邪那美神 未神避以前所生 唯 意能碁呂嶋者 非所生 亦 姪子與淡嶋 不入子之例也)
【読み方】
凡(およ)そ伊耶那岐(いざなぎ)伊耶那美(いざなみ)の二神が
共に生みたまう島、壹拾肆(いちじゅうし)島 神、參拾伍(さんじゅうご)神
【是(こ)れは伊耶那美(いざなみの)神、未(いま)だ神避(かむさり)ざりし以前に生みたまひき 唯(ただ)意能碁呂(オノゴロ)島は生みたまへるに非(あら)ず、亦(また)蛭子(ひるこ)と淡島(あわしま)とは子の例に入らず也(なり)】
(註:ただし、意能碁呂(オノゴロ)嶋はイザナギ・イザナミの2神がお生みになったのではありません。姪子と淡嶋はイザナギ・イザナミの子としてはカウントしません)
「凡」は「およ(そ)」で読みも意味も同じです。
ちなみに「すべ(て)」という読みも意味もあります。
ここでは「すべて」の意味の方がより分かりやすいと思いますので、いもみの日記では「凡」を「およ(そ)」と読み、「すべて」という意味にしたいと思います。
ですので「凡 伊邪那岐 伊邪那美二神 共所生」は「凡(およ)そ伊耶那岐(いざなぎ)伊耶那美(いざなみ)の二神が共に生みたまう~」と読んで...
訳としては「伊耶那岐(いざなぎ)と伊耶那美(いざなみ)の二柱の神が一緒に生んだのは全部で~」としました。
「壹拾肆嶋」と「參拾伍神」ここを読むにあたって、二つほど補足の説明をしたいと思います。
①「小写と大写」について
中国語で数の表現をする時には「小写と大写(小字と大字)」という考え方があります。
例えば数字の「1」と「3」を漢字で表すと、それぞれ「一」と「三」ですよね。
でもこれを「壹(壱)」と「参」と表すことも出来ます。
この「一」「三」を小写。
「壹(壱)」と「参」を大写という分け方になります。
こんな感じですね。
小写➩一、二、三、四、五、...九、十
大写➩壱、弐、参、肆、伍、...玖、拾
この様に画数を多くした数字を「大写(大字)」と言います。
日本でも領収書などは大字を使う場合が多いと思います。
使用する目的は、数字の改ざんを防ぐためです。
まとめると…。
画数が多く難しい漢字を用いることで改竄を防ぐようにしたのが大字の存在理由ということになります。
さて、本文は大写で書かれた数字ですね…「嶋壹拾肆嶋 神參拾伍神」は
壹拾肆➩いちじゅうし➩14
參拾伍➩さんじゅうご➩35
...と読むことが出来ます。
訳に戻ると「島が14島と、神が35神」となります。
これを「伊耶那岐と伊耶那美の二柱の神が一緒に生んだのは全部で、14の島々と35柱の神々です」と訳しました。
②本文の神様の数と合わないんだけど?!
ここまでの神生みで生まれた神様の数が合わないんですよね~…どういう事??
①大事忍男神
②石土毘古神
③石巢比賣神
④大戶日別神
⑤天之吹男神
⑥大屋毘古神
⑦風木津別之忍男神
⑧大綿津見神
⑨速秋津日子神
⑩速秋津比賣神
ここまで10神。
ちなみに⑨⑩は夫婦で、二神の間に生まれた神様の数は8柱います。
でもイザナギ・イザナミが生んだのではないのでカウントしていません。
⑪志那都比古神
⑫久久能智神(此神名以音)
⑬大山津見神
⑭鹿屋野比賣神(野椎神)
更に4神。
⑬⑭は夫婦で、二神の間に生まれた神様の数は同じく8柱います。
でもイザナギ・イザナミが生んだのではないので同じくカウントしていません。
⑮鳥之石楠船神
⑯大宜都比賣神
⑰火之夜藝速男神(火の神。イザナミが火傷する)
この後誕生する神はイザナミの糞尿、吐しゃ物から生まれるので「イザナギとイザナミと二人で産んだ子」ではありませんが、6柱誕生します。豐宇氣毘賣神も登場しますが、この女神は「和久産巣日神の子」とありますので、同じく「イザナギとイザナミと二人で産んだ子」ではありません。
上記の通り「イザナギとイザナミと二人で産んだ神」は17柱の神です。
全然35柱に足りません。
じゃあ「速秋津日子神と速秋津比賣神が生んだ8柱」と「大山津見神と鹿屋野比賣神が生んだ8柱」を加えたらどうかしら...?と思ったのですが、17+8+8=33でやっぱり足りません。
なら「イザナミの糞尿、吐しゃ物から生まれた6柱」を加えるか~と思いましたが今度は33+6=39でオーバーしてしまいます。
この後色んな組み合わせをしてみたのですが、「35」になるシックリする組み合わせはありませんでした…。
これはどういうことなんでしょうね?
太安万侶は実は数字に弱かったのか...?それとも現存する最古の古事記の写本を写した人が計算ミスしたのか...?
いずれにしても推敲しなかった可能性があり、人為的ミスかと結論付けました。
(※実際は分かりません)
長くなりましたけど補足の説明は以上になります<(_ _)>
・(是 伊邪那美神 未神避以前所生 唯 意能碁呂嶋者 非所生 亦姪子與淡嶋 不入子之例也)
太安万侶の注釈であるこの文。
「是」は「こ(れ)」ですね。
「これ」が何を指すかというとその前の文の「イザナギ・イザナミが生んだ14島と35柱の神(数が合わないけど)」」を指しています。
つまり、この注釈は「イザナギ・イザナミが生んだ島と神について」の注釈です。
「伊邪那美神 未神避以前所生」は「イザナミが未だ神避(かむさり)、つまり死ぬ以前に生んだ数です」というニュアンスで訳せば良いと思います。
「唯 意能碁呂嶋者 非所生」以下は「唯(ただ)...」と付いているように、「イザナギ・イザナミが生んだ14島と35柱の神」の数に含めない例外があることを言っています。
訳すとこんな感じでしょうか。
「ただし、意能碁呂(オノゴロ)嶋はイザナギ・イザナミの2神がお生みになったのではありません」
一応主語も加えました。
ここで気になるのが「オノゴロ嶋」の漢字です。
このブログでもご紹介していますが、最初『オノゴロ嶋』の漢字は『淤能碁呂嶋』でした。
それがここでは『意能碁呂嶋』となっています。
『意』は訓読みで「おも(う)」とも読むので『意能碁呂嶋』で『オノゴロ嶋』と読むのも可能なのですが…「どうして字が変わったの?」とは思いますよね??
私が思うに、古事記は多くの人の手によって幾度も写本を繰り返しているのでしょうから、写本をした人が間違えちゃったのかな~?と想像しています。
「亦 姪子與淡嶋 不入子之例也」
「姪子(ひるこ)と淡嶋(あわしま)」は以前ご紹介しましたが、お忘れの方もいるでしょうから簡単に説明します。
「姪子と淡嶋はイザナギ・イザナミの結婚の儀式が間違ってたから不具の子として生まれ、イザナギ・イザナミから子として認められず、しかも船に乗せて流されてしまう神」です…酷い扱いです。
この文も訳すと「また、姪子と淡嶋も子の例としては入らず」、つまり「姪子と淡嶋はイザナギ・イザナミの子としてはカウントしません」と言っているのです。
なお、「與」という字は現代の字に直すと「与」です。
「与」には並列の意味があり「~と」と読みます。
以上で『古事記』本文上巻㉘~神生み(7)~のご紹介はおしまいです。
次回は『古事記』本文上巻㉙~迦具土神のその後(1)~をご紹介する予定です。
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ここまで読んで頂きありがとうございました_(..)_
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