こんばんは、いもみ🍠です。
本日は、『『古事記』本文上巻⑳~国生み(7)~』のご紹介です。
こんばんは、アキです。
主に翻訳と解説を担当しています。
「日本の国は大八嶋國(おおやしまのくに)と言う」。
これを知っている日本人は、どれくらいの割合なのでしょうか?
正直言って私は高校生に教わるまで、全く知りませんでした。
…え?私の学歴の問題では?ってことですか??
いいえ、自慢ですけど私は県内有数の進学校に通っていましたけど、何か??(←不遜な態度)
今や未来を知るのは大切なことですけど、過去を知ることもまたとっても大事な事だと思います。
そんなこんなで、国生みの続きです。
(長すぎでしょ…💦)
『古事記』本文上巻⑳~国生み(7)~
然後 還坐之時 生 吉備兒嶋 亦名謂 建日方別
次生 小豆嶋 亦名謂 大野手(上)比賣
次生 大嶋 亦名謂 大多麻(上)流別(自多至流以音)
【読み方】
然(しかる)後、還り坐(ま)す時に、吉備兒島(きびのこじま)を生みたまひき
亦(また)の名を建日方別(たけひがたわけ)と謂(い)う
次に小豆島(あづきしま)を生みたまひき
亦(また)の名は大野手比賣(おおのでひめ)と謂(い)う
(【手】は上声)
次に大島(おおしま)を生みたまひき
亦(また)の名は大多麻流別(おおたまるわけ)と謂(い)う
(【麻】は上声)
(【多】自(よ)り【流】に至るは音を以いる)
この吉備兒島は、またの名を建日方別(たけひがたわけ)と言います。
更に次は小豆島(あづきしま)をお産みになられました。
この小豆島は、またの名を大野手比賣(おおのでひめ)と言います。
(註:大野手比賣の【手】は上声です。高い音で発音して下さい)
更に次は大島(おおしま)をお産みになられました。
この大島は、またの名を大多麻流別(おおたまるわけ)と言います。
(註:大多麻流別の【麻】は上声です。高い音で発音して下さい)
(註:大多麻流別の【多】から【流】までは音読みを用います)
「然後 還坐之時」は「然(しかる)後、還り坐(ま)す時に」と読みました。
訳としては「その後お帰りになった時に~」で良いかと思います。
相変わらず主語が無く、更に「どこから帰った後だ?」と疑問が出てしまう方もいると思いますけど、文面から...
主語は「イザナギ・イザナミ」で、不具の子が生まれた事を天界に相談に行ってるので「天界から帰った後」という事になると思います。
天界から帰った後、イザナギ・イザナミは大八嶋国を生んだことは前回まででご説明しました。
この文は大八嶋国誕生後も2神が更に生み続けた、という事を言いたいのだと思います。
なので訳は「その後お帰りになった時に~」では弱いので、「イザナギ・イザナミが天界からお帰りになった後、2神はまず大八嶋国をお産みになられましたが、その後も更に~(嶋をお産みになりました、と続く)」という感じで訳してみました。
【吉備兒嶋(きびのこじま)について】
→吉備の国は現在の岡山県・広島県東部です。
グーグルマップをご覧ください。
「あれ?嶋じゃない...?」と思われるかと思います。
そうなんです、実は吉備兒嶋は江戸時代の干拓事業によって陸続きとなり、【児島半島】となっちゃってるんです!
日本の国生みで9番目に登場しているのに、現在は無いなんて...。
とはいえ、重要な海洋交通路であったようです。
地理的に見れば、瀬戸内海の真ん中に位置し、西国・四国などとを結んでいたであろうことから、古事記でも重要な島として大八嶋国の直後に登場しているのでしょう。
ちなみに日本書記の国生みにも吉備兒嶋(吉備子洲)が登場しますが、こちらではより重要視されているのでしょう...吉備兒嶋は大八嶋国(大八洲)の一つに数えられています。
「吉備兒嶋 亦名謂 建日方別」とは「吉備兒嶋はまたの名を建日方別(たけひがたわけ)と言う」という意味です。
ここでは「建日方別(たけひがたわけ)」の意味を考えてみます。
まず「建」は「健」のことでしょう。
古代において「健」は「猛々しい、勇猛」という意味でした。
次に「日方」ですが、調べてみた所「日のある方から吹く風、夏の季節風」という意味であることが分かりました。
あいにく気象に関して疎いので、夏に瀬戸内海に吹く風がどの方面からの風なのは分かりませんが、意味としては「吉備兒嶋は【夏に日のある方から猛々しい風が吹く嶋】」であるかと思います。
多分ですけど昔から瀬戸内海の吉備兒嶋周辺は、夏になると季節風が吹き荒れることがあったのでしょう。
それでこういう別名があるのだと思います。
・次生 小豆嶋 亦名謂 大野手(上)比賣
ここは前文と同じですので訳は簡単です。
「更に次は小豆島(あづきしま)をお産みになられました。この小豆島は、またの名を大野手比賣(おおのでひめ)と言います」で良いと思います。
(上)は何回も登場しています。
これは太安万侶の注釈で【上声(じょうしょう)】の略語です。
上声というのは発音方法です。
強いて訳すと「高い音で発音してね!」ってことです。
つまり大野手比賣(おおのでひめ)を読むときは、手の部分だけ「高い音で発音してね!」と言っているのです。
ま~ぶっちゃけ訳す時には必要ない注釈なんですけどね…。
って訳で(註:大野手比賣の【手】は上声です。高い音で発音して下さい)と訳しました。
【小豆島(あづきしま)について】
さて...小豆島です。
また地図を用意しました。ホント、グーグルマップって便利♪
小豆島は香川県です。
なお小豆島は現代では「しょうどしま」、古事記に登場するのは「あづきしま」と読むので混同しないよう気を付けましょう。
こちらも瀬戸内海の重要な海洋交通路であったことは、容易に想像できると思います。
ここでも「大野手比賣(おおのでひめ)」の意味を考えてみたいと思います。
まず「比賣」ですが、これは「ひめ=姫」ですから、つまり女神という事ですね。
「大」は「大きさ」というより、より正確に言えば「尊称・敬称」の意味で使われている言葉でしょう。
なので「野手」さえ分かれば、簡単ですね♪
...と思ったのですが「野手」で検索しても野球の「野手(やしゅ)」に引っ掛かってしまい...一応「野手(のて)」は「秣(まぐさ=飼い葉のこと)に課す江戸時代の雑税」と出たのですが、いやいやこれ江戸時代の1000年前の話だから!違うやん!!と完全に行き詰りました。
なので、いもみの日記では「大野手比賣(おおのでひめ)」の意味は分かりませんでした!という結論にしてしまいました…<(_ _)>💦
意味は分からなかったけど、引っ掛かるのは【何故より遠い吉備兒嶋の誕生が先で、淡路島の隣の島である小豆嶋が後なのか?】です。
国生みでは徐々に西に向かって産まれているので、何で一度東に向かったのかが気になる...。
う~ん...地図とにらめっこしながら考えましたけど、これも意味不明です。
分かりませんでした、お手上げです!
モヤモヤする~…。
・次生 大嶋 亦名謂 大多麻(上)流別(自多至流以音)
ここも前文と同じですので訳は簡単です。
「更に次は大嶋(おおしま)をお産みになられました。この大嶋は、またの名を大多麻流別(おおたまるわけ)と言います」で良いと思います。
ここも太安万侶の注釈(自多至流以音)が付いていますね。
この構文も以前ご説明しましたが、おさらいしますと…
「自」は「~よ(り)」と読みます。
範囲を表わしています。
次に「至」はそのまま「~に至る」です。
つまり「自A至B」で「AからBまで」という意味です。
だから(自多至流以音)は「【多】自(よ)り【流】に至るは音を以(もち)いる」と読みます。
これを訳すと「大多麻流別の【多】から【流】までは音読みを用います」となるでしょうか。
この注釈に従い「大多麻流別」を読むと、「おおたまるわけ」と読むことが出来ます。
なお、音読みにした箇所の漢字はあくまで読むためのもので、漢字自体に意味はありません。
【大島(おおしま)について】
よ~し、次は大島だ!...ってことでまたまたグーグルマップ。
今回貼り付けたのは「山口県の屋代嶋」です。
「大島はどうしたの?」と言われそうですが…実は「大島」って名の島は沢山あって、正確にどの島を指すのかは分からないのです。
ただここまで吉備兒嶋➩小豆島...と瀬戸内海の島々が続いているので、地理的に考えれば「大島」とは「山口県の屋代嶋」だろう。と言う訳です。
ここでも「大多麻流別(おおたまるわけ)」について考えていくわけですが…実は結構簡単なのかな?と思っています。
と言うのも「大」については上で「尊称・敬称」の意味だと言っていますし、「たまる」は「溜る」が濃厚だと思います。
つまり「大島こと大多麻流別」には「何か尊敬に値するようなものが溜まっていた島」なんじゃないでしょうか?
え?その「何かって何?」ですか??
それは…こう...何か溜まって嬉しいモノで...そう、あれはいいものだ...。
以上です<(_ _)>(⇦逃げた💦)
以上で『古事記』本文上巻⑳~国生み(7)~のご紹介はおしまいです。
次回は『古事記』本文上巻㉑~国生み(8)~をご紹介する予定です。
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ここまで読んで頂きありがとうございました_(..)_
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