こんばんは、いもみ🍠です。
本日は、『『古事記』本文上巻㉖~神生み(5)~』のご紹介です。
こんばんは、アキです。
主に翻訳と解説を担当しています。
初めに天之狹土(あめのさづちの)神。
(註:天之狹土神の【山】は【豆知(づち)】と読みます。以下もこれに倣い読んで下さい)
次に國之狹土(くにのさづちの)神をお生みになりました。
次に天之狹霧(あめのさぎりの)神をお生みになりました。
次に國之狹霧(くにのさぎりの)神をお生みになりました。
次に天之闇戶(あめのくらどの)神をお生みになりました。
次に國之闇戶(くにのくらどの)神をお生みになりました。
次に大戶惑子(おおとまとひこの)神をお生みになりました。
(註:大戶惑子神の【惑】は【麻刀比(まとひ)】と読みます。以下もこれに倣い読んで下さい)
次に大戶惑女(おおとまとひめの)神をお生みになりました。
(註:天之狹土神から大戶惑女神まで、併せて八柱の神々です)
前回は大山津見神と野椎神が生んだ八柱の神々の登場についてでした。
今回ご紹介する3柱の神々は再びイザナギ・イザナミが生んだ神々で、しかも古事記を読み進めていく上でとても重要な神々です。
そして...この後イザナミの身に大変なことが起こってしまうのです。
『古事記』本文上巻㉖~神生み(5)~
次生神名 鳥之石楠船神 亦名謂 天鳥船神
次生 大宜都比賣神(此神名以音)
次生 火之夜藝速男神(夜藝二字以音)
亦名謂 火之炫毘古神
亦名謂 火之迦具土神(加具二字以音)
因生此子 美蕃登(此三字以音)見炙而 病臥在
【読み方】
次に生みたまふ神の名は鳥之石楠船(とりのいはくすぶねの)神
亦(また)の名を天鳥船(あめのとりぶねの)神と謂(い)う
次に大宜都比賣(おおげつひめの)神を生みたまひ
(此の神の名は音を以いる)
次に火之夜藝速男(ほのやぎはやをの)神を生みたまひき
(【夜藝】の二字は音を以いる)
亦(また)の名を火之炫毘古(ほのかがびこの)神と謂(い)う
亦(また)の名を火迦具土(ほのかぐつちの)神と謂(い)う
(【加具】二字は音を以いる)
此(こ)の子を生みたまひしに因(よ)りて美蕃登(みほと=御陰)見炙(やかえ)て病(や)み臥(ふ)せり
(【美蕃登】の此の三字は音を以いる)
鳥之石楠船神は、またの名を天鳥船(あめのとりぶねの)神と言います。
次に大宜都比賣(おおげつひめの)神をお生みになりました。
(註:この大宜都比賣の名は、音読みを用い「おおげつひめ」と読みます)
次に火之夜藝速男(ほのやぎはやをの)神をお生みになりました。
(註:火之夜藝速男の【夜藝】の2字は音読みを用い「やぎ」と読みます)
火之夜藝速男は、またの名を火之炫毘古(ほのかがびこの)神と言います。
さらにまたの名を火迦具土(ほのかぐつちの)神とも言います。
(註:火迦具土の【加具】の2字は音読みを用い「かぐ」と読みます)
この火の神の子をお生みになった時、イザナミは御陰(みほと=女性の陰部)が焼かれて火傷して重態に陥ってしまいました。
(註:【美蕃登】の三字は、音読みを用い「みほと」と読みます)
ですが、最後の一文だけは補足が必要かと思います。
・因生此子 美蕃登(此三字以音)見炙而 病臥在
まずこの文を...
「此(こ)の子を生みたまひしに因(よ)りて美蕃登(みほと=御陰)見炙(やかえ)て病(や)み臥(ふ)せり」
と読みました。
注釈の美蕃登(此三字以音)は「【美蕃登】の3文字音読みで読んで下さい」という事なので「美蕃登=みほと」と読みます。
「みほと」って何?となると思いますが、これは「女性の陰部」を意味します。
つまりこの文を直訳すると「この子をお生みになったことによって、御陰(みほと)が焼かれて病気になって臥せた」です。
直訳では分かりずらいです。
なので...
まず「この子」とは火之夜藝速男(火の神)のこと。
次に主語の「イザナミ」をいれます。
そして「焼かれて病気になって臥せた」を「焼かれて火傷して重態に陥った」と表現しました。
というわけで、
「この火の神の子をお生みになった時、イザナミは御陰(みほと=女性の陰部)が焼かれて火傷して重態に陥ってしまいました」と訳しました。
【神生みで誕生した神々⑤】
①鳥之石楠船(とりのいはくすぶねの)神
➩またの名を天鳥船(あめのとりぶねの)神とも。
「神の乗り物」という意味です。
鳥之石楠船は「石(いわ)の様に固い楠の木で出来た鳥の様に飛ぶ船」という感じでしょうか?
一見地味な神様なのですが、この先【国譲り】という場面で再登場します。
セリフとかは無いんですけど、結構活躍する神様なので覚えておきたいですね!
ちなみに性別は不明です。
②大宜都比賣(おおげつひめの)神
➩穀物の神様です。
同一の名前で今回を含め古事記には3回登場します(同一の神であるかは諸説あり不明)。
一回目は「四国(伊予之二名島)の阿波国の別名」、二回目はこの「神生みの場面」、三回目は「スサノオに殺される」です。
三回目についてはいずれご紹介できると思います。
この神様も覚えておきたいですね。
女神です。
③火之夜藝速男(ほのやぎはやをの)神
➩またの名を火之炫毘古(ほのかがびこの)、神火迦具土(ほのかぐつちの)神とも。
個人的には「迦具土(かぐつち)」の名が一番馴染みがあります。
火の神様であることから、出産時にイザナミは陰部に火傷を負いやがて死んでしまいます。
この後、怒ったイザナギに斬り殺されてしまうのです…。
男神です。
【まとめ】
今回誕生した神々は、日本神話において重要な場面で再登場し役割を果たします。
とはいってもセリフが無かったり、エピソードがぶっ飛んでいてしかも殺される等主役級ではなく、脇役なのですが…。
そして火の神様「火之夜藝速男」。
彼の誕生で、これまでヒロイン的存在であったイザナミが死亡し古事記の舞台から退場します。
これまで象徴的だったヒロインのイザナミが火傷で死ぬ、と言うのは初めて読んだとき少し驚きました。
これは以前にもお話したことなのですが、【古事記では役割を果たした神様は徐々に古事記からフェードアウトしていく】のです。
古事記は天地の始まり~神々の誕生~天皇家(人)へ継承していく物語ですから、いつまでも神様がいると物語を進めていくのは難しいので、ある意味当然ですよね。
それにしても、火の神を生むタイミングには少し違和感がありました。
本来ならば最初の「土・風・木」などを司る神々が誕生した時に「火の神」も誕生した方が分かりやすいと思います。
「神の乗り物」や「穀物の神」の後に誕生するほうがむしろ不自然な気がします。
そこで次の様な考察をしてみました。
古事記の考案者としては…
①イザナギ・イザナミもいずれ古事記からフェードアウトさせねば...
②そうだ、火傷で死ぬことにしよう
③しかし火の神を物語の最初の方で生み死んでしまうとなると、他の神々の誕生の説明が難しくなる
④だから、主要な神々を生み終えた後に火の神を生むという順序にしよう
⑤役割を果たしたからフェードアウトしてもらおう
...というシナリオだったのかな~と想像しています。
つまり「イザナミの役割」とは鳥之石楠船神と大宜都比賣神の誕生までだったのかもしれません。
※個人の感想です<(_ _)>
以上で『古事記』本文上巻㉖~神生み(5)~のご紹介はおしまいです。
次回は『古事記』本文上巻㉗~神生み(6)~をご紹介する予定です。
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ここまで読んで頂きありがとうございました_(..)_
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~本日のオマケ~
明日はスポーツの日ですね。
祝日なのに出勤です…💦
ある意味スポーツするより疲れます。