いもみの日記

御朱印集めが趣味のOL(お芋好き女子)です。いろんな神社やグルメを紹介します!

『古事記』本文上巻67~誤解のあげく叫ぶ~

こんばんは、いもみ🍠です。
本日は、『古事記』本文上巻67~誤解のあげく叫ぶ~のご紹介です。

こんばんは、アキです。
主に翻訳と解説を担当しています。

【前回のあらすじ】
そう言い終わると、天照大御神はすぐに結んでいた髪をほどいて、髪を頭の中央で左右に分け、両耳のあたりで束ねて輪状に結ばれました。
その輪状に束ねた髪の左右にも、髪飾りにも、※八尺勾璁之五百津之美須麻流(=御統)之珠(やさかのまがたまのいほつのみすまるのたま)を身に着け、お持ちになりました。
(註:美須麻流の【美】から【流】までの4字は音読みを用いて【みすまる】と読んで下さい。以下もこれに倣って読んで下さい)
※「多くの玉を紐に通して輪とした、首にかけたり腕に巻いたりする飾り」のことです。

あぁ…誤解が止まらない...。
「弟さんが会いに来るだけですよ?」って教えてあげたい…!
そして今回は誤解が続いたまま、次の段階に進みます。


『古事記』本文上巻67~誤解のあげく叫ぶ~

【原文と読み方】
【原文】
曾毘良邇者 負千入之靫
(訓入云能理 下效此)
(自曾至邇者 以音)
附 五百入之靫 亦所取 佩伊都(此二字以音)之竹鞆而
弓腹 振立而 堅庭者 於向股蹈那豆美(三字以音)
如沫雪 蹶散而
伊都(二字以音)之男建(訓建云多祁夫)
蹈建而 待問 何故上來


【読み方】
曾毘良邇者(そびらには)千入(ちのり)の靫(ゆぎ)を負ひ、
(【入】を訓(よ)み、【能理(のり)】と云(い)う 下も此れに效(なら)う)
(【曾】自(よ)り【邇者】に至るまで 音を以(もち)いる)
五百入(いほのり)の靫(ゆぎ)を附(つ)け、
亦(また)伊都(いつ=稜威)の高鞆(たかとも)を取り佩(は)かしたまいて
弓腹(ゆばら)振り立てて堅庭(かたにわ)は向股(むかもも)に蹈(ふ)み那豆美(なづみ=泥・滞)、
沫雪(あわゆき)の如(ごと)く蹶散(けち)らかして伊都(いつ=稜威)の男建(おたけび=雄叫び)待ち問ひたまひしく
「何故(なにゆえ)に上り來ませる」と問ひたまひき

【訳】
背中には弓矢が千本も入る靫(ゆぎ)を背負い、
(註:千入之靫の【入】の字は【能理(のり)】と読みます。以下もこれに倣い読んで下さい)
(註:曾毘良邇者の【曾】の字より【邇者】までは音読みを用いて【そびらには】と読んで下さい)
さらに五百本入りの靫を付けました。
また威力が強烈な弓を用意し、左手首の内側には音高くひびく鞆(とも)をつけました。
弓腹(ゆばら)を振り立てて、足で踏みしめた固い地面に股(太腿)まで足を取られましたけれども、それらを柔らかい沫雪の様に蹴散らして、激しい勢いで雄叫びをあげてスサノオに問いただしました。
「お前は何故この高天原に上がってきたのかッ!」

【解説】
曾毘良邇者 負千入之靫
(訓入云能理 下效此)
(自曾至邇者 以音)

いきなり難しい文です。
まずは太安万侶の注釈から訳していきます。
(訓入云能理 下效此)➩「【入】を訓(よ)み、【能理(のり)】と云(い)う 下も此れに效(なら)う」➩「千入之靫の【入】の字は【能理(のり)】と読みます。以下もこれに倣い読んで下さい」

(自曾至邇者 以音)➩「【曾】自(よ)り【邇者】に至るまで 音を以(もち)いる」➩「曾毘良邇者の【曾】の字より【邇者】までは音読みを用いて【そびらには】と読んで下さい」
...です。

つまりこの文は「曾毘良邇者(そびらには)千入(ちのり)の靫(ゆぎ)を負ひ」と読みます。
「そびら」とは「背平」と書きます。
「背中」の意味です。

「靫」は「ゆぎ(ゆき)」と読みます。
聞きなれない言葉ですね…私は初めて見る字でした。
これは「弓矢を入れて背に負った細長い箱形の道具」のことです。

「千入(ちのり)の靫(ゆぎ)」とは「弓矢が千本も入る靫(ゆぎ)」ですが…ヤル気満々というか...腕が下手だから千本も必要なのか…なによりこんなの背負ったら背骨がへし折れる気が…。

附 五百入之靫 亦所取 佩伊都(此二字以音)之竹鞆而
「附」は「つけ(る)」と読みます。
「付く、付ける」という意味ですね。

何を付けたのかと言うと「五百入之靫」。
つまり千本入りの靫を背負ったばかりでは足らないと思ったのか...更に500本入りの靫も用意した、ということですね。
1500本の弓矢を用意して姉が待ち構えているとは、スサノオも思っていなかったでしょうね…。

「佩伊都(此二字以音)之竹鞆而」ですが、まず「伊都」は太安万侶の注釈で「此の2字は音読みを用いる」とありますので「いつ」と読みます。
で、「なにこれ?」となりますが「いつ」➩「稜威」で「勢いが激しい、威力が強烈」といった意味です。

次に「竹鞆」ですがこれは「たかとも」と読みます。
で、また「なにこれ?」となりますが「たかとも」➩「高鞆」で「音高くひびく鞆(とも)」という意味です。
で、更に「なにそれ?」となりますが「鞆(とも)」➩「弓を射る時に左手首の内側につけて、矢を放った後に弓の弦が腕等に当たるのを防ぐ道具」
いや~説明が忙しい文だ...。

「威力が強烈な弓を用意し、左手首の内側には音高くひびく鞆(とも)をつけました」という感じかと思います。


弓腹 振立而 堅庭者 於向股蹈那豆美(三字以音)

「堅庭」は「かたにわ」と読みます。
「堅い地面」という意味です。

「向股」は「むかもも」と読みます。
普通に「股」という意味ですが…。
次に続く「蹈那豆美(三字以音)」は『那豆美が音読み』という注釈があるので「蹈なずみ」と読みます。
「なずみ」は聞きなれませんが、漢字にするとちょっと分かりやすくなります。
私も「なずむ」で検索してみました。すると…

「なずむ」➩「泥・滞」です。
意味は「前へ進もうとしても、なかなか進めないでいる」でしょう。

つまり「於向股蹈那豆美」は「足で踏みしめた地面に股(太腿)まで足を取られたが」という風に、【地面に足がとられてなかなか前進できない様子】を表わしていると読みました。


如沫雪 蹶散而
「沫雪」は「あわゆき」ですね。
意味は「泡のようにやわらかく溶けやすい雪」のことです。

「蹶」はこの1字だけだと「つまずく、倒れる」という読みと意味なのですが、「蹶散」で「けち(らす)」という読みと意味になります。

「柔らかい沫雪の様に蹴散らして」という意味でしょう。


伊都(二字以音)之男建(訓建云多祁夫)蹈建而 待問 何故上來
ここは「伊都(二字以音)之男建(訓建云多祁夫)蹈建而」が難しいですね。
2つの注釈に従い読んでみると
「伊都(二字以音)」➩上でやりましたね。
「いつ」と読んで漢字になおすと「稜威」で「勢いが激しい、威力が強烈」といった意味です。

「男建(訓建云多祁夫)」➩「【建】を訓(よ)み、【多祁夫(たけぶ)】と云う」➩「男建の【建】は【多祁夫(たけぶ)】と読んで下さい」。
これで「男建」は「おたけぶ」と読みます。
「おたけぶ」とは「雄叫び」ですね。

この文は要するに、姉に会いに高天原に上がってきただけのスサノオに、勝手に『攻めてくる...!』と誤解したアマテラスが、髪型を解いて弓矢を用意して固い地面を雪の様に蹴散らし雄叫びをあげて「何しに来たッ!!」と怒鳴ってるシーンなのです。
どちらに非があるかは明らかですね…。

以上で『古事記』本文上巻67~誤解のあげく叫ぶ~のご紹介はおしまいです。

次回は『古事記』本文上巻68~スサノオの弁明~をご紹介する予定です。

ここまで読んで頂きありがとうございました_(..)_
本日のおまけは一番下にあります。

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