いもみの日記

御朱印集めが趣味のOL(お芋好き女子)です。いろんな神社やグルメを紹介します!

『古事記』本文上巻71~誓約(3)剣を噛んだ後、息を吹く~

こんばんは、いもみ🍠です。
本日は、『古事記』本文上巻71~誓約(3)剣を噛んだ後、息を吹く~のご紹介です。

こんばんは、アキです。
主に翻訳と解説を担当しています。

【前回のあらすじ】
こうして天安河を間に挟んで向かい合った天照大御神とスサノオは誓約を立てることにしました。
天照大御神はまずスサノオが帯びている十拳剣を渡すように言い、それを3つに折ると玉が触れあう様な音を立てて、
(註:奴那登母母由良邇の八字は音読みを用いて【ぬなとももゆらに】と読んで下さい。以下もこれに倣って読んで下さい)
高天原に湧く清浄な水を振りかけて洗いすすぐと、口に含んで噛み砕きました。
(註:佐賀美邇迦美の【佐】以下の六字は音読みを用いて【さがみにかみ】と読んで下さい。以下もこれに倣って読んで下さい)

誓約をする...そこまでは分かります。
分からないのは、なんで「剣を折って、洗って、噛み噛みして…」。
あ~分からない!
理解できませんが、話を続けます。


『古事記』本文上巻71~誓約(3)剣を噛んだ後、息を吹く~

【原文と読み方】
【原文】
於吹棄氣吹之 狹霧所成神御名 多紀理毘賣命
(此神名以音)
亦御名謂 奧津嶋比賣命
次 市寸嶋(上)比賣命
亦御名謂 狹依毘賣命
次 多岐都比賣命
(三柱 此神名以音)


【読み方】
吹き棄(う)つる氣吹(いぶき)の狹霧(さぎり)に成りませる神の御名は
多紀理毘賣命(たぎりびめのみこと)
亦(また)の御名を奧津島比賣命(おきつしまひめのみこと)と謂(い)う
次に市寸島比賣命(いちきしまひめのみこと)
(【嶋】は上声)
亦(また)御名を狹依毘賣命(さよりびめのみこと)と謂(い)う
次に多岐都比賣命(たぎつひめのみこと)
(三柱なり。此の神名は音を以(もち)いる)

【訳】
天照大御神が噛み砕いたスサノオの剣を息で吐きだすと、霧の様になって、そこから神々がお生まれになりました。
それらの神々の名前は多紀理毘賣命(たぎりびめのみこと)。
こちらの神はまたの名を奧津島比賣命(おきつしまひめのみこと)と言います。
次に市寸島比賣命(いちきしまひめのみこと)がお生まれになりました。
こちらの神はまたの名を狹依毘賣命(さよりびめのみこと)と言います。
次に多岐都比賣命(たぎつひめのみこと)がお生まれになりました。
(註:以上の3柱の神々です。これらの神々の名前は音読みを用いて読んで下さい)

【解説】
於吹棄氣吹之 狹霧所成神御名 多紀理毘賣命
「吹棄」は「ふきうつ」と読みます。
意味は文字通り「吹き棄てる」または「唾や息を吐き出す」です。

「氣吹」は「息吹(いぶき)」です。
意味は「息を吐く」ことですよね。

「狹霧」は「さぎり」と読みます。
「さぎり」の「さ」は接頭語(例:「お手紙」の「お」が接頭語、つまり意味はほぼ無いと考えて良いです)であり、特別な霧ではありません。
普通の「霧」という意味で良いでしょう。

この文は、前回スサノオの十拳剣を折って洗って口に含んで噛み噛みした天照大御神がその後どうしたかを説明している文です。
於吹棄氣吹➩噛み砕いたスサノオの剣を「息の様に吐き出した」という意味でしょう。
狹霧所成神御名➩吐き出したスサノオの剣が「霧の様になって、そこから生まれた神の名は…」という事でしょう。

さて、【スサノオの剣を噛み砕いた天照大御神の吐息】からは以下の神々が誕生しました。
3柱とも「比賣(ひめ=姫)」が付いていますので女神ですね。

1.多紀理毘賣命(たぎりびめのみこと)
➩「紀理」は「霧」のことです。つまり「霧の女神」なんでしょう。
別名は奧津嶋比賣命(おきつしまひめのみこと)。
直訳すると「奥の島の女神」。沖ノ島のことを言っているのでしょうか。

2.市寸島比賣命(いちきしまひめのみこと)
➩「市寸(いちき)」は「斎き」の事とされます。
「神霊を斎き祭る」から来ています。
意味は「神聖な」といった感じで良いと思います。
この女神は私と同じで凄い美人な女神だということです。
別名は狹依毘賣命(さよりびめのみこと)。
「稲霊が宿る姫」という意味ですね。農業の女神とされています。
若しくは「さ(神霊)より(寄り)」で神霊が寄るという意味もあるみたいです。

3.多岐都比賣命(たぎつひめのみこと)
➩他の女神と違い、唯一別名がありません。
神名は、「海がたぎる」から来ているという説があります。
「海がたぎる」の意味は分かりずらいのですが、波が激しい、波立つイメージだと思います(多分...)。

宗像三神(むなかたさんしん)について

天照大御神とスサノオの誓約によって誕生した3柱の女神の総称です。
宗像三女神(むなかたさんじょしん)とも言いますが、この他にも道主貴(みちぬしのむち)とも呼ばれます。

この道主貴とは「あらゆる道の最高神」といった意味であり、このため宗像三神は交通安全・航路安全の神様として知られています。
ここでいう「道」とは大陸へと繋がる道(玄界灘)ですね。
※宗像大社沖津宮のある沖ノ島の地図です。

ところで宗像三神が特別な神だというのは幾つか理由があります。
私が気になったポイントだけ書いてみようと思います。

①宗像氏は天皇家と関係がある。
➩胸形(宗像)君徳善(むなかたきみとくぜん)の娘、尼子娘(あまこのいらつめ)は、天武天皇の后となり高市皇子を生んでいます。
②宗像は九州唯一の神郡(しんぐん)である。
➩他の神郡では、伊勢神宮・鹿島神宮・香取神宮・出雲大社など。
③宗像三神の別称「道主貴」の「貴(むち)」は凄く特別な尊称。
➩「貴(むち)」という名が付く神様って凄く少なくて、宗像三神(道主貴)以外では2柱しか存在しません。その2柱とは、【天照大御神の大日孁貴(おおひるめのむち)】と【大国主神の大己貴(おおなむち)】です。
こうしてみれば「貴(むち)」が特別な神様だという事が分るかと思います。
④天孫降臨の時に天照大御神からご神勅を授かる。
➩いずれこのお話も登場しますけど、天界から地上に天孫(天照大御神の孫)のニニギが降りる時、天照大御神からお言葉を頂いたのは当の本人であるニニギを除くと宗像三神だけなのです。

かなり省いてしまいましたが、要点だけでも宗像三神が古代においてとても重要な神様であったことはお分かりいただけると思います<(_ _)>

以上で『古事記』本文上巻71~誓約(3)剣を噛んだ後、息を吹く~のご紹介はおしまいです。

次回は『古事記』本文上巻72~誓約(4)今度はスサノオが噛む~をご紹介する予定です。

ここまで読んで頂きありがとうございました_(..)_
本日のおまけは一番下にあります。

お気に入りいただけたら、下のバナーをクリックしてもらえると嬉しいです。
応援よろしくお願いします📣

にほんブログ村 旅行ブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 旅行ブログ 旅日記・旅の思い出へ
にほんブログ村
にほんブログ村 歴史ブログ 史跡・神社仏閣へ
にほんブログ村
PVアクセスランキング にほんブログ村


↓↓読者登録お願いします<(_ _)>

本日のオマケ