いもみの日記

御朱印集めが趣味のOL(お芋好き女子)です。いろんな神社やグルメを紹介します!

『古事記』本文上巻黄㊵~黄泉の国の神様に相談してくる~

こんばんは、いもみ🍠です。
本日は、『古事記』本文上巻黄㊵~黄泉の国の神様に相談してくる~のご紹介です。

こんばんは、アキです。
主に翻訳と解説を担当しています。

【前回のあらすじ】
このイザナギの呼び掛けに対し、イザナミがお答えになったのは「それはとても残念です…貴方がもう少し早く来ていただけたら...。私は黄泉の国の食べ物を食べてしまいました(黄泉戸喫=よもつへぐい)」

イザナミを迎えに黄泉の国に向かったイザナギ。
扉を隔てて会話をします。
イザナギ「妻よ、国造りは終わってない、一緒に帰ろう!」
イザナミ「残念ながら黄泉の国でご飯食べたからもう帰れないです」
...要約すると、なんかシュールなやり取りになってしまいますね…。
今回はこの後の展開が描かれます。


『古事記』本文上巻黄㊵~黄泉の国の神様に相談してくる~

【原文と読み方】
【原文】
然 愛我那勢命(那勢二字以音 下效此)
入來坐之事恐 故欲還 
且與黃泉神相論 莫視我 
如此白而 還入 其殿内之間 甚久 難待

【読み方】
然(しか)れども愛しき我が那勢(なせ=汝兄)の命(みこと)
(【那勢】の二字は音を以いる 下も此れに效う)
入(はい)り来(き)坐(ま)す事恐(かしこ)みまつる
故(ゆえ)に還らんと欲す(欲しまつる?)
且(しばら)く黄泉神(よもつかみ)與(=与=と)相(あい)論(あげつら)はむ 我を視(み)る莫(なかれ)」と
如此(かくのごとく)白(もう=申)して、其(そ)の殿内(でんのうち)に還り入りませる
甚(はなは)だ久しく待ち難し

【訳】
「ですが、愛しい貴方が
(註:那勢命の【那勢】の二字は音読みを用いて【なせ】と読んで下さい。以下もこれに倣い読んで下さい)
わざわざ黄泉の国まで私を迎えに来てくれたのですから、私も叶うならば貴方様と一緒に帰りたいと思います。
私は黄泉神(よもつかみ)に会って交渉してきますから、暫くの間待っていてください。
その待つ間は、扉の中の私の姿を見ないでくださいね。」
とこの様に言い残して、黄泉神に交渉するためイザナミは御殿の中に入って行きました。
しかしイザナギは随分長く待ったけれど、イザナミはなかなか出てきません。


【解説】
然 愛我那勢命(那勢二字以音 下效此)
「愛我那勢命」は太安万侶の注釈である(那勢二字以音 下效此)を訳さないと読めません。
なので(那勢二字以音 下效此)から訳します。
那勢二字以音 下效此➩「【那勢】の二字は音を以(もち=用)いる 下も此(こ)れに效(なら)う」と読みます。
訳すと「那勢命の【那勢】の二字は音読みを用いて【なせ】と読んで下さい。以下もこれに倣い読んで下さい」です。

なので「愛我那勢命」は「愛しき我が那勢(なせ)の命(みこと)」と読みます。
なんだ?那勢命(なせのみこと)って??となると思いますが、ちょっと前に「愛我那邇妹」というのがあったのを覚えていますか??

おさらいすると「那邇妹」は「なにも」と読んで、「汝妹」とも書きます。
そして「男性が女性に親しみを込めて呼ぶ言葉」という意味でした。
訳す場合は「我が妻よ」「我が妹よ」となると思います。

長くなりましたけど、【那勢(なせ)】はこの【那邇妹(なにも)】の対となる言葉なのです。
つまり「女性が男性に親しみや敬意を込めて呼ぶ言葉」です。
「愛しい貴方が~」と訳してみました。

入來坐之事恐 故欲還
「入來坐之事恐」は「入(はい)り来(き)坐(ま)す事恐(かしこ)みまつる」と読みました。
これはイザナミが自分を迎えに黄泉の国まで来てくれたイザナギに対し「貴方がここまで来てくれたのは恐れ多いことです」というニュアンスで訳せば良いと思います。

「故欲還」は「故(ゆえ)に還らんと欲す(欲しまつる?)」以外に読み方ある?って感じです。
ひょっとしたら違う読み方があるのか...?と調べてみましたが出てこなかったし...違和感あるのですが「故(ゆえ)に還らんと欲す(欲しまつる?)」が一番分かりやすい読み方なのでこれで。
「なので私もあなたと一緒に帰りたいです」といった感じの訳になると思います。

ここは「わざわざ黄泉の国まで私を迎えに来てくれたのですから、私も叶うならば貴方様と一緒に帰りたいと思います」と訳してみました。

且與黃泉神相論 莫視我
「且」は「しばら(く)」と読みます。
意味は「暫く」と同じです。

「與」は「~と」と読みます。
これは「与」という字の古い表記です。

「黃泉神」は「よもつかみ」と読みます。
黄泉の国はイザナミが死後に黄泉津大神(よもつおおかみ)と名を変え統治するのですが、その前に黄泉の国を統治していた神様がいたという事なんでしょうね。
この「黃泉神(よもつかみ)」ですが、出自など詳細は明記されておらず、この後一切登場しない為なにも分かりません。

「相論」は「相(あい)論(あげつら)はむ」と読みました。
「論(あげつら)う」が読みずらいですよね。
意味は「物事の道理を説く」です。
「相(あい)論(あげつら)はむ」は「顔を合わせて物事の道理を説く」という感じなのでしょうが、訳として固いので「会って相談する、交渉する」あたりが妥当な訳だと思います。

「莫視我」は「我を視る莫(なかれ)」でしょう。
意味は「私を見ないでね」ですね。
「莫(なかれ)」の読み方が難しいですね。

つまり、「黃泉神と交渉してくるから暫く待ってて。その間は扉の中のいる私の姿を見ないでね?」ということですね。
この展開...。
フラグが立ったというか...もう展開が読めてしまいますよね~…。


如此白而 還入 其殿内之間 甚久難待
「如此白而」は「如此(かくのごとく)白(もう=申)して」で良いと思います。
「如此(かくのごとく)」は「このように~」という意味ですね。
「白」は最近も出てきた言葉で、私も初め分からなくて随分調べたのですが訓読みで「もうす」という読み方があります。
「=申す」です。

つまり「如此白而」は「この様に申して」という意味です。

「還入 其殿内之間」は、ちょっと前の訳でやりましたがイザナギが黄泉の国に行って二人が扉を挟んで対面しますよね?
その対面した「相談するために御殿の中に(入り)戻っていった」という事を表わしているのでしょう。

「甚久難待」は「甚(はなは)だ久しく待ち難し」でしょうか?
読みはちょっと自信ありませんが、意味は「とても長くて待ちがたい」で良いと思います。
この前の文で「還入 其殿内之間」(相談するために御殿の中に入り戻っていった)のですから、「黄泉神に交渉するためイザナミは御殿の中に入ったけど、随分長く待ったけれどなかなか出てきません」という感じに訳してみました。

以上で『古事記』本文上巻黄㊵~黄泉の国の神様に相談してくる~のご紹介はおしまいです。

次回は『古事記』本文上巻黄㊶~明かりを灯してイザナミの姿を見る~をご紹介する予定です。

ここまで読んで頂きありがとうございました_(..)_
本日のおまけは一番下にあります。

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