いもみの日記

御朱印集めが趣味のOL(お芋好き女子)です。いろんな神社やグルメを紹介します!

『古事記』本文上巻①~別天つ神(1)「造化三神」~

こんばんは、いもみ🍠です。
本日は、『古事記』本文上巻①~別天つ神(1)「造化三神」~のご紹介です。

こんばんは、アキです。
主に翻訳と解説を担当しています。

【前回のあらすじ】
すったもんだで何とか古事記序文が終わり、本日から本文に入ります。
前日までの訳・解説はカテゴリーの【古事記・序文】にあります<(_ _)>

これまでも書いてきましたので繰り返しになりますが、古事記は上中下巻と三巻に分かれています。
本日から見ていく上巻(かみつまき)は、世界誕生からカムヤマトイワレビコ、つまり初代天皇の神武天皇誕生までが描かれています。
古事記は元々33代天皇・推古天皇までが記録されているのですが、殆どが系譜で、エピソードが描かれている天皇は10数人。
じゃあ、他に何が描かれているかと言えば、【日本神話】です。
神の時代から人の時代までが収められている上巻は、神話比率が高いので面白いです。
知っている有名なお話から、ヘンテコなお話まで盛りだくさんなので、私達は読んでいても飽きませんでした。

『古事記』本文上巻①~別天つ神(1)「造化三神」~

【原文と読み方】
【原文】
天地初發之時 於高天原 成神名 天之御中主神
(訓高下天云阿麻 下效此)
次 高御產巢日神 次 神產巢日神
此三柱神者 並獨神 成坐而 隱身也

【読み方】
天地(あめつち)の初發(しょはつ)の時、高天原(たかまのはら)に成る神の名は天御中主神(あめのみなかぬしのかみ)。
「高」の下なる天を訓(よ)み、阿(あ)麻(ま)と云ふ。下(しもつかた)此(これ)に効(なら)ふ
次に高御産巣日神(たかみむすびのかみ)。
次に神産巣日神(かむむすびのかみ)。
この三柱(みはしら)の神は、みな獨神(ひとりがみ)に成りまして、身(み)を隱したまひき。

【訳】
天と地が分かれ始めた(=天地開闢)時に、天上世界である高天原に、天御中主神という名の神様が現れました。
(註:今後【高天原】の【天】という字は、【あま(=阿麻)】と訓読みして下さい)
続いて高御產巢日神(たかみむすびのかみ)が誕生し、次に神產巢日神(かみむすびのかみ)が誕生しました。
これら三柱の神は皆、独り神であらせられ、やがてその姿をお隠しになりました。


【解説】
天地初發之時 於高天原 成神名 天之御中主神
「初發」は「=初発」、「しょはつ」と読みます。
「物事の起こりはじめ」という意味です。

【天地初發と天地開闢...世界の始めってどんな感じ?】

本文では「天地初發」ですが、序文では同じ部分に「天地開闢」と表現されていました。
意味は同じで「世界の始まり」なんですけど、「なんだ、世界の始まりって?どんなんだ??」って相棒のいもみがうるさく聞いてきたので簡単に説明しておこうと思います。

『古事記』の世界観では…

①世界はかつて【混沌が漂っていた】状態だそうです。
②やがてそれらが【1つにまとまります】。
③まとまってから【2つに分かれます】。
④この2つに分かれたものが、【一つは天になり、もう一つは地になった】そうです。
※以下は本文に書いてあるのですが、誕生の流れを最初に頭に入れとくと分かりやすいのでちょっとご紹介します。
⑤天地は生まれたばかりで、【フワフワ状態】です。
⑥【神々が次々に誕生】します。
⑦【矛でフワフワ状態の国土をかき回したら固まりました】
...続きは本文で。
世界の始まりを並べると、こんな感じです。

最初の神様である天之御中主神が登場するのは、上記で言うと④の所です。
そりゃそうですよね?
「天界に神様が産まれた」んですから、「神様より先に天界が生まれてないと」辻褄合わないし。
つまり「天と地が分かれた時から世界が始まった」という事ですかね。
以上、【世界の始まり】でした<(_ _)>

【「天之御中主神」について】

「天之御中主神」は「あめのみなかぬしのかみ」と読みます。
「天の真中を領する神」を意味し、宇宙の根源を司っています。

日本神話では、世界で初めて誕生した神様とされています。
数多くの神様が登場する『古事記』において一番最初に登場する神様になります。

天地開闢の時にあらわれた五柱の神々を【別天津神(ことあまつかみ)】。
その中でも初めに現れ、万物生成化育の根源となった3神を【造化三神(ぞうかのさんじん)】と呼びます。

ここまで書いた内容で、「天之御中主神って凄いんだ...!」ってなるじゃないですか?
でもですね、この後...
天之御中主神、全然出てきません!!
「おかしいな...、こんな重要な神様なのに...」って見て行っても
天之御中主神、驚くほど出てきません!!

ちなみにこういう扱いの神様は、『古事記』には非常に多いです。
登場したけど、何をしたかが書かれている神様はあまりいないと言ってもいいです!

一応「これだけは知っておいた方がいいかな?」って要点だけまとめておきます。
「天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)」とは...
①『古事記』に一番最初に登場する神様
②別天津神(ことあまつかみ)の一柱
③造化三神(ぞうかのさんじん)の一柱
④「天の真中を領する神」の意味で、宇宙の根源を司る神様
⑤姿形が無い、独り神(後述します)である
⑥造化三神で唯一、子孫の存在が確認されていない
⑦何をしたかなどの記載はない
⑧今後登場しない(なんなら日本書記にも出てこない)
...です。

【「高天原」の訓読みについて】

「高天原」は「神々が住む天上世界」のことです。
読み方は「たかまのはら、たかまがはら、たかあまはら、たかあまのはら」など。
なんでこんなに沢山の読み方があるのかと言うと、原文が漢文なので【どの読み方が正しいか正確には分からない】からです。
なのでどれでも正解で、間違いという事はありません。

下記で説明しますが、この後原文には「『天』という字は『あま(阿麻)』と読むように」と太安万侶から注釈が添えられていますので、「たかあまはら」か「たかあまのはら」が良さそうですね。
しかし古事記に登場する他の国を見ると「葦原の中つ国」ですとか「黄泉の国」とか、必ず「~の」が入っているので、私のブログでは「たかまのはら」と読むことにします<(_ _)>
「たかあまのはら」も考えたんですけど、長いからな...と思って止めました。

※現在では「たかまのはら」「たかあまのはら」が正しい訓ではないか、ということだそうです。


(訓高下天云阿麻 下效此)
ここは太安万侶が書いてくれた注釈です。
序文にありましたね。
「読みにくい漢字には音読み出来るように漢字をあてがう」みたいな感じの奴です。

まず「訓高下天云阿麻」ですが、これはこういっていると思います。
『「高」の下の「天」は「阿麻」と云うから、そう訓(よ)んでね』

簡単に言うと、これは【高天原の読み方】を説明しているのでしょう。
つまり「【高天原】の【天】という字は、【あま(=阿麻)】って訓読みしてね?」ということです。

次に「下效此」ですが、こう読むと思います。
「下は此(これ)に效(なら)う」
つまり「以下、同文」的な意味です。
ここは「高天原の天の字はアマと読む」+「以下の文も此れに倣う」のですから「今後、高天原って出てきたら、天の文字はアマと読め」というニュアンスでしょう。

なので「註:今後【高天原】の【天】という字は、【あま(=阿麻)】と訓読みして下さい。」と訳しました。


次 高御產巢日神。次 神產巢日神。
ここは最初に誕生した天之御中主神に続いて、誕生した神様が高御產巢日神(たかみむすびのかみ)と、神產巢日神(かみむすびのかみ)だという文です。
それぞれ今後も登場します。
またそれぞれの子孫も重要な場面で登場します。

【高御產巢日神(たかみむすびのかみ)】

①天之御中主神に次いで、2番目に登場する神様。
②別天津神(ことあまつかみ)の一柱
③造化三神(ぞうかのさんじん)の一柱
④「むすび(=産霊」)は「生産・生成」を意味し、あらゆるものを生み出す神
(天津神に関連?)
⑤姿形が無い、独り神(後述します)である
⑥子孫も今後登場する(娘がニニギを産んでいる等)
⑦覚えておきたい神様(忘れて良い神様もいないけど)
⑧日本書記にも登場する

【神產巢日神(かみむすびのかみ)】

①高御產巢日神に次いで、3番目に登場する神様。
②別天津神(ことあまつかみ)の一柱
③造化三神(ぞうかのさんじん)の一柱
④「むすび(=産霊」)は「生産・生成」を意味し、あらゆるものを生み出す神
(国津神に関連?)
⑤姿形が無い、独り神(後述します)である
⑥子孫も今後登場する(薬関係が多い)←このエピソードから女神という説がある
⑦覚えておきたい神様(忘れて良い神様もいないけど)
⑧日本書記にエピソード無し

訳するにあたって特別難しいことはありませんが、順番だけは正確にしたいですね。
「続いて高御產巢日神(たかみむすびのかみ)が誕生し、次に神產巢日神(かみむすびのかみ)が誕生しました」と訳しました。


此三柱神者 並獨神 成坐而 隱身也
「此三柱神者」神様を数える単位は「柱」だとわかれば難しくないと思います。
「者」は…。
私も序文でも散々引っかかったんですけど、「者」は助詞で強調・仮定を表す言葉です。
ややこしいですよね?
「~は」という感じで使用します。

「此三柱神者」=「此の三柱の神は~」で良いと思います。

「並」は「ともに、あわせて」という意味もあります。
「坐」は「座る」意味じゃありません。
「いる」とか「ある」の尊敬語で、「おわす、まします」という意味です。
「而」も度々出てた漢字ですよね。
接続詞なんですが①順接を表す語(「そして~」とか)、②逆接を表す語(「それでも~」など)があります。
書く側には便利なんだろうけど、訳す方にはメンドイ言葉です。

なので「並獨神 成坐而 隱身也」は直訳すると…
「共に獨神で坐(おわ)しに成って、そして身を隠した也」かな...。
つまり、現れて姿を消してしまった、ということでしょう。

さて、ここで上記の【造化三神】で書いた「⑤姿形が無い、独り神(後述します)である」ところを見て行きたいと思います。
まずは…

【造化三神について】

古事記序文にも登場する(「参神造化」になってる)のですが、ちょっと漢字が違います。
まぁ意味は同じでしょう。

「造化」は「天地を創造し、そこに存在する万物を創造・化育する」の意味です。
「造化」ですが、それぞれの漢字を見ると「造る」「化ける」なんですが、「造られて化けた」の順ではなくて「化けて造られた」の順番なんでしょう。
何が言いたいかというと、「造化三神は初めから姿形があって誕生したんじゃなくて、誕生してからなんだかんだ姿を化けて(形を変えて)登場した」という事です。

なので造化三神登場時は勿論、神々誕生の段階では【神々に姿形はまだ無い】ってことになります。
これが上記の「⑤姿形が無い、独り神(後述します)である」の「姿形が無い」の説明です。

続いて…

【独り神って何?】

これは読み進めて行けば分かるのですが、簡単に説明しておこうと思います。

始めに上の【造化三神】でも書いた通り、神様は最初姿形もありません、ってことは男女といった性別も無いのです。
ですが、今回登場した造化三神含め【別天つ神(ことあまつかみ)】の後の【神代7世】世代になると、姿形も性別も出来てきます。
(※神代7世でも姿が無い神様は2柱います)

しかも何故か男女セットで生まれてくるのです。
しかも兄妹で生まれるのに当然の様に結婚します。
有名なのがイザナギ・イザナミの2神です。

ちなみに男女一対の神を「双神」(ならびかみ)と言うのですが...ここまで書けば大体わかってしまうと思います。
「姿形性別があって、しかも最初からカップルで誕生する神代7世世代」=【双神】に対し、「姿形も性別無いからカップルで生まれるはずない造化三神世代」=【独り神】という感じです。

つまり【独り神】は「夫婦の組としてでなく単独で誕生した神様」という意味です。
これが上記の「⑤姿形が無い、独り神(後述します)である」の「独り神」の説明です。

「此の三柱の神は共に獨神で坐(おわ)しに成って、そして身を隠した也」を「これら三柱の神は皆独り神であらせられ、やがてその姿をお隠しになりました」と訳しました。


以上で『古事記』本文上巻①~別天つ神(1)「造化三神」~のご紹介はおしまいです。
次回は『古事記』本文上巻②~別天つ神(2)~をご紹介する予定です。


ここまで読んで頂きありがとうございました_(..)_
本日のおまけは一番下にあります。

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