いもみの日記

御朱印集めが趣味のOL(お芋好き女子)です。いろんな神社やグルメを紹介します!

『古事記』本文上巻⑧~柱を廻って結婚する(1)~

こんばんは、いもみ🍠です。
本日は、『『古事記』本文上巻⑧~柱を廻って結婚する(1)~』のご紹介です。

こんばんは、アキです。
主に翻訳と解説を担当しています。

【前回のあらすじ】
そこで、御二方の神様は天と地を繋ぐ天浮橋(あめのうきはし)にお立ちになって、まだフワフワで固まっていない大地に向けて天沼矛を下し、描くようにして
(註:【立】の字は【多多志(たたし)】と訓(よ)んでください)
海水をコォロ、コォロと音を立ててかき回しました。
(註:【許袁呂 許袁呂邇】の7文字は音読みです)
(註:【鳴】の字は【那志(なし)】と訓(よ)んでください)
そのかき回した矛を引き上げると、矛の先についていたた海水の滴が垂れ落ちました。その海水は渇いて固まって塩となり、そして何層にも重なって積もり、やがて島となりました。
こうして出来た島をオノゴロ島と言います。
(註:「淤」から下の4文字は音読みで読んで下さい)

前回はオノゴロ島が出来た経緯をお話しました。
このオノゴロ島を拠点にイザナギ・イザナミの神生み・国生みが行われます。
順序としては①結婚➩②国生み➩③神生み、です。
本日はこのうちの①結婚についてのお話なのですが、とても長い!
長いのはすんなり行かないからで、すんなり行かないのは…本文でご説明します。


『古事記』本文上巻⑧~柱を廻って結婚する(1)~

【原文と読み方】
【原文】
於其嶋 天降坐而 見立 天之御柱 見立 八尋殿
於是 問其妹 伊邪那美命曰 汝身者 如何成
答曰 吾身者 成成 不成合 處一處在

【読み方】
其(そ)の嶋に於(お)いて、天降(あもり)坐(まして)、天之御柱(あめのみはしら)を見立(みた)て八尋殿(やひろでん)を見立て
是(ここ)に於(お)いて其(そ)の妹(いも)伊耶那美命(いざなみのみこと)に問いて曰(いわ)く、『汝(なんじ)の身は如何(いかん)成る』
答えて曰わく『吾(わ)が身は成り成りて、成り合わず處(=処)一處(一か所)在り』

【訳】
天上界からオノゴロ島に降りたたれたイザナギとイザナミは、高天原につながる天之御柱(あめのみはしら)という大きな柱と、とても大きな宮殿をお建てになりました。
そしてイザナギは、妹のイザナミに対し『アナタの身体はどんなふうになっていますか?』とお尋ねになりました。
なのでイザナミは『私の身体は出来上がっているのですが、出来切っていない(=足りない)所が一か所あります』とお答えになりました。

【解説】
於其嶋 天降坐而 見立 天之御柱 見立 八尋殿
「於其嶋」は「其(そ)の嶋に於(お)いて」、其の島とは勿論オノゴロ島のことです。

「天降」は「あまくだり」と読んでも良いのですが、古代では「あもる」と読んでいました。
意味は同じで文字通り「天上界から地上界に降下する」です。
いもみの日記では「あもる」の読み方を採用しています。

「坐」は何度か登場していますね。
おさらいしますと「おわす、まします」と読みます。
「いる、行く、ある」の尊敬語です。

「見立」はそのままです。「みたて(つ)」と読みます。
「しっかり見定めて立てる」といった意味でしょう。
正直「立」だけの方が意味が分かりやすいのです。

「天之御柱」は「あめのみはしら」と読みます。
地上(オノゴロ島)から高天原につながる大きな柱です。

数字の「八」の意味について

「八尋殿」は「やひろどの」と読みます。
「大きな殿舎」という意味です。

ここは少し補足して説明しますね。
「八」という数字は、単に「8つ」という意味だけでなく「多くの~」という意味でも使われていました。
例えば有名な【八岐大蛇(やまたのおろち)】の「八」も八つの頭がある、という説が有名ですが「多くの頭を持った蛇」的な意味や、「いやいや【八岐】とは川の支流が幾つにも別れている様を言うのだ」的な説もあります。

従って、「八尋殿」は「八(多くの~)+尋(広い)+殿」で「とても広い宮殿」という意味になるのです。
※「『八尋殿』を建てた」も正しい訳だと思いますが…。

直訳すれば「その島において、天上界から地上界に降下して行かれ、天之御柱と八尋殿をしっかり見定めて立てました」という感じでしょうか。
これでは分かりずらいので
「天上界からオノゴロ島に降りたたれたイザナギとイザナミは、高天原につながる天之御柱(あめのみはしら)という大きな柱と、とても大きな宮殿をお建てになりました」と訳しました。


於是 問其妹 伊邪那美命曰 汝身者 如何成
難しい部分は無いと思うので、このまま行ってみましょう。
まず読みとしては…
「是(ここ)に於(お)いて其(そ)の妹(いも)伊耶那美命(いざなみのみこと)に問いて曰(いわ)く、『汝(なんじ)の身は如何(いかん)成る』」
直訳すると…
「(イザナギは)その妹のイザナミ命に質問して言ったのは『アナタの身体はどんな風になっているか』」。
?マークなどを付けて...
「そしてイザナギは、妹のイザナミに対し『アナタの身体はどんなふうになっていますか?』とお尋ねになりました」

...かなり変た…マズい質問です。
現代社会で、兄が妹に「キミの身体はどんなふうになっているの?」と聞いたりしたら、警察沙汰になるかもしれません。
でも、これは日本神話。
だから大丈夫なんです(?)


答曰 吾身者 成成 不成合處一處在
「處」は「処」、つまり「ところ」です。

「成成 不成合處一處在」は、ちょっと独特な言い回しですね。
ここを整理するとこんな感じだと思います。
・成成
➩動詞+目的語➩成るべき形(目的語)に成った(動詞)
・不成合
➩成り合わず(不)處
・一處在
➩~の處(=処)が1つ在る

なのでこの文を読むと…
「答えて曰わく『吾(わ)が身は成り成りて、成り合わず處(=処)が一處(一か所)在り』」でしょうか。
おおよその意味では
「私の身体は成るべき形になりましたが、未だ出来切っていない部分が一か所あります」です。

「なんなのこれ?」という方もいると思います。
これは女性(イザナミ)の身体の特徴を答えているシーンなのです。
つまり、女性凹んでいる部分を言っています。
凄く訳しずらいですね、ここ...💦

そんな訳でここは「『私の身体は出来上がっているのですが、出来切っていない(=足りない)所が一か所あります』とお答えになりました」
で良いと思います。


以上で『古事記』本文上巻⑧~柱を廻って結婚する(1)~のご紹介はおしまいです。

次回は『古事記』本文上巻⑨~柱を廻って結婚する(2)~をご紹介する予定です。

ここまで読んで頂きありがとうございました_(..)_
本日のおまけは一番下にあります。

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