いもみの日記

御朱印集めが趣味のOL(お芋好き女子)です。いろんな神社やグルメを紹介します!

『古事記』序文⑯~帝紀と本辞の誤り~(2)

こんばんは、いもみ🍠です。
本日は、『『古事記』序文⑯~帝紀と本辞の誤り~(2)』のご紹介です。

こんばんは、アキです。
主に翻訳と解説を担当しています。


【前回のあらすじ】
ここにおいて、天武天皇の仰せられましたことは「私の聞くところによれば、各地で伝わっている帝紀と本辞とに多くの偽りがあるということだ」

『古事記』は端的に言えば諸家(各地方の国や家)に伝わっている歴史書を整理して、この国の正しい歴史・系譜・物語を整理して後世に伝えよう、という国家プロジェクトです。
前回は天武天皇が歴史書(帝紀と本辞)が間違っている、と指摘しました。
今回は歴史書の整理と後世に伝えることが語られます。

『古事記』序文⑯~帝紀と本辞の誤り~(2)

【原文と読み方】
【原文】
當今之時 不改其失 未經幾年 其旨欲滅。
斯乃邦家之經緯 王化之鴻基焉。
故惟撰錄帝紀 討覈舊辭 削僞定實 欲流後葉。

【読み方】
今の時に當(当=あた)りて、その失を改めずは、未だ幾年(いくとせ=いくねん)を經(経=へ)ずして、その旨(むね)滅びなむと欲(ほっ)す。
斯(これ)は乃(すなわ)ち邦家(ほうか)の經緯(経緯)、王化の鴻基(こうき)なり。
故惟(ゆえに思う)帝紀を撰録(せんろく)し、舊辭(旧辞=きゅうじ、くじ)を討覈(とうかく)して、僞(偽)を削り實(実)を定め、後葉(こうよう)に流(つた)えむと欲す」と宣りたまう。

【訳】
「今この時に、この『帝紀』と『本辞』にある多くの間違い・誤りを正さなければ、何年も経たないうちにその本質や真実は失われてしまうだろう。
(帝紀と本辞の誤りを正して整理して)正しい歴史認識(国の成り立ち)を後世に伝えることは、国家の秩序に必要なことであり、世を安定させるのは天皇としての務めである。
そこで、天皇の系譜を記録する『帝紀』と、古い時代が記された『旧辞』を調べてなおして誤りを正し、真実を明らかにしてこの国の正しい歴史を後世に伝えようと思う」と仰せになりました。

【解説】
當今之時 不改其失 未經幾年 其旨欲滅
「當」は「当」です。
「あたる」という意味だけど、ここは当日や当主といった感じで使う方がいいかと思います。
なので「當今之時=今この時に(あたり)~」みたいな意味でしょう。
「其失」は「その間違いを」という意味でしょう。
ここで言う「間違い」とは「帝紀と本辞とに多くの偽りがあるということ」です。
「未經幾年」は「幾年も経ずして=何年も経たないうちに」です。
ちなみに「幾年」は「いくねん」だと思っていましたが「いくとせ」と読んでもいいみたいです。
知りませんでした…<(_ _)>💦
「其旨欲滅」は【ここまでで一番訳するのに困りました】。
「其旨(そのむね)」とは帝紀と本辞の正しい姿=本質や真実ということを指しています。
でも直訳すると…「その旨(本質や真実)が滅して欲しい」となり訳が分かりません...。
そこで色々調べたら、ようやくシックリくる答えを見つけました!
「欲」という字には...「(~したい)と欲す」などの形で「(未然形を受けて)物事が起こりそうになる」という補助用語としての使い方もあるそうなのです!!
これなら「その旨(本質や真実)が滅してしまいそうになる」と訳せてシックリきます!
読み方も「その旨滅びなむと欲す」と出来ました!
あ~良かった♪

「今この時に、この帝紀と本辞にある多くの間違いや誤りを正さなければ、何年も経たないうちにその本質や真実は失われてしまうだろう」と訳しました。

斯乃邦家之經緯 王化之鴻基焉
「斯」は「これ、こ(の)」と読みます。
「これは~」みたいな感じで使います。
「これ」=「帝紀と本辞の誤りを正すこと」ですが、正すことの目的は「正しい歴史認識を後世に伝える」ことでしょう。
「乃」は「すなわち」で読みも意味も同じです。
「邦家」は「ほうか」と読みます。
「国、国家」と言う意味です。
「經緯」は「経緯」の古い字です。
「いきさつ」の意味ですが、「秩序を立てて治め整えること」の意味もあります。
「王化」は「おうか」と読みますがあまり聞かないと思います。
「 君主の政治、君主の徳によって世の中を良くする事」という意味です。
「鴻基」は「こうき」と読みます。
「大きな事業・偉業の基礎」と言う意味です。
難しいですよね。知らなかったので調べてみたら「鴻」は「大白鳥」の意味の他に「大きい」という意味があるんですって。
「焉」は「いずくんぞ(反語)、ここ、これ」ですが…あんまり意味がないな、と調べてみたら「状態を表す形容の語」「句末に用いる助字」
で用いられるとの事らしいので、無理に訳さないことにしました。

「これはすなわち、国家の秩序を立てて治め整えることで、君主の政治の基礎だ」という感じの意味になると思いますが…。
「(帝紀と本辞の誤りを正して整理して)正しい歴史認識(国の成り立ち)を後世に伝えることは、国家の秩序に必要なことであり、世を安定させるのは天皇としての務めだ」と訳してみました。

故惟 撰錄帝紀 討覈舊辭 削僞定實 欲流後葉
「惟」は「おも(う)」と読みます。
「故惟」で「ゆえに~と思う」となります。
「撰錄」は「せんろく」と読みます。
「文章を述作して記録する、書物を作って記録する」という意味です。
「討覈」は「とうかく」と読みます。
「調べ考える」という意味です。
ちなみにそれぞれの意味は...。
「討」は訓読みで「たず(ねる)」とも読みます。
「問題点を調べる」という意味があります。
「覈」は「しら(べる)、あき(らかにする)」と読み、意味も同じです。
「舊」は「旧(ふるい)」です。
ですので「舊辭=旧辞(本辞)」ですね。
「削僞定實」は「僞(偽)を削り、實(実)を定める」と読むのでしょう。
「流」には「流行・流布」の様に「伝わり広がる」という意味もあります。
「後葉」は「こうよう」と読みます。
「のちの時代、後世」という意味です。

「なので、天皇の系譜を記録する『帝紀』と、古い時代が記された『旧辞』を調べて誤りを正し、真実を明らかにしてこの国の正しい歴史を後世に伝えようと思う」と訳しました。



以上で『古事記』序文⑯~帝紀と本辞の誤り~(2)のご紹介はおしまいです。
次回は『古事記』序文⑰~稗田阿礼(1)~をご紹介する予定です。

ここまで読んで頂きありがとうございました_(..)_
本日のおまけは一番下にあります。

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