こんばんは、いもみ🍠です。
本日は、『『古事記』序文⑮~帝紀と本辞の誤り(1)~』のご紹介です。
こんばんは、アキです。
主に翻訳と解説を担当しています。
長めに語られた【天武天皇の統治】。
「古代中国の黄帝や周王をも超えていた」とかなり褒めちぎっていますが、それは「これだけのことを成した偉大な指導者なんだから、これから行う事も凄い・素晴らしいんだよ?」という前振りなんでしょう…と思います。
さて、そんな訳で今回『古事記』の編纂にあたり、何が問題で、その結果どうやって進めることになったのか...【古事記の企画】の部分が語られます。
ここからが『古事記』序文のハイライトになってきます(ここまで長かった…💦)。
於是 天皇詔之。朕聞諸家之所齎。帝紀及本辭。既違正實。多加虛僞。
【読み方】
ここにおいて天皇(すめらのみこと)詔したまい『朕(ちん)聞かくは、諸家の齎(もた)る帝紀と本辭(ほんじ=本辞)と既に正實(せいじつ=正実)に違ひ、多く虚僞を加ふといえり。
「天皇」は勿論「天武天皇」を指します。
【天皇の称号について】
『古事記』では天皇という称号が使用されていますが、いつからこの称号が用いられてきたのかハッキリしていません。
天皇の称号は、漢の国の制度に倣っていて、漢風諡と言われます。
初めは「天皇」と書いて「すめらのみこと」と読み、これは大和(日本)言葉と言います。
更にその前(6世紀頃)は「大王(おおきみ)」と呼ばれていました。
現在の「天皇=てんのう」と訓読みになったのは奈良時代の事の様です。
『古事記』の成立は712年ですから、6世紀以前の天皇は、正確には「大王(おおきみ)」と呼ばれていたと思われます。
しかし、『古事記』では「天皇(すめらのみこと)」になっています。
多分、編纂時は「天皇」が定着していた(と思う)ので、太安万侶も「天皇」で統一したのかもしれません。
もし、「大王」と「天皇」を使い分けていたら、いつから「天皇」が使われだしたのか分かったかもしれませんね。
「詔」は「しょう」「みことのり」と読みます。
『天皇の御言(みこと)を宣る(のる)』で「みことのり」です。
「天子が命令を下す、天皇の言葉=大御言(おおみこと)」という意味ですが、下記の通り「天皇の命令を直接下達する国の公文書」がむしろ正確な意味かもしれません。
【「詔」と「勅」の違いについて】
ほぼ同じ意味に「勅(ちょく)」があります。
「詔」と「勅」の違いについて、「公式令(くしきりょう)」という【文書での行政方法や政務の執行方法を規定した法典】には次のような規定があります。
「詔」の字は臨時の大事に用い、「勅」は尋常の小事に用いる。
「詔」の方がちょっと上って感じですね。
ちなみに『古事記』に「勅」はほぼ出てきません。
...長くなりましたが「ここにおいて、天武天皇の仰せられましたことは」と訳しました。
・朕聞諸家之所齎 帝紀及本辭 既違正實 多加虛僞
「朕」は「ちん」。天子、天皇の自称ですね。
「諸家」は「しょか」と読みます。
「多くの家、多くの家門」といった意味です。
「齎」は「もたらす、持ち物」と読み、意味も同じです。
【帝紀と本辭(本辞)について】
帝紀と本辭について以前も書きましたがとても重要なので、ここでも簡単に説明しておきたいと思います。
・帝紀とは...
『帝皇日継』(ていおうのひつぎ)の略です。
古事記以前にあったと考えられている歴史書です。
主に「歴代天皇の系譜と歴史」が書かれていたと思われます。
・本辭とは...
『先代旧辞』(せんだいのくじ)の略です。『旧辞』とも。
古事記以前にあったと考えられている歴史書です。
いわゆる「神々の物語」が書かれていたと思われます。
※詳しくは過去記事【『古事記』について】をご覧ください。
imomiquest.com
「正實」は「正実=せいじつ」です。
「正しく真実である」という意味です。
直訳すれば「私が聞くに、多くの他家が持っている帝紀と本辞は既に正しく真実と違い、虛と僞(いつわり)が多く加えられている」でしょうか。
ここは「私の聞くところによれば、各地で伝わっている帝紀と本辞とに多くの偽りがあるということだ」と訳しました。
以上で『古事記』序文⑮~帝紀と本辞の誤り~(1)のご紹介はおしまいです。
次回は『古事記』序文⑯~帝紀と本辞の誤り~(2)をご紹介する予定です。
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ここまで読んで頂きありがとうございました_(..)_
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