いもみの日記

御朱印集めが趣味のOL(お芋好き女子)です。いろんな神社やグルメを紹介します!

『古事記』序文⑥~賢后と聖帝~

こんばんは、いもみ🍠です。
本日は、『『古事記』序文⑥~賢后と聖帝~』のご紹介です。

こんばんは、アキです。
主に翻訳と解説を担当しています。


【前回のあらすじ】
国譲りの交渉の結果、オオクニヌシが了承したので、アマテラスは天降りを始めることにして、自らの孫のニニギに葦原中つ国の統治を委任します。
そしてニニギは、かつてイザナギが禊をし、アマテラスが生まれた地である筑紫の日向の高千穂の地に初めて降り立ったのです。

時は流れ、ニニギの曾孫であるカムヤマトイワレビコ(後の神武天皇)は、九州で各地に目を光らせるのは不便と考え、日向を出発して各地を平定しながら、東の大和の地を目指しました。
イワレビコが紀伊から内陸を目指していると、川から突然クマが現れ、妖気でイワレビコの軍はみんな気を失ってしまいました。
ですがそこへ、神のお告げの夢を見たという高倉下という人物が、霊剣・布都御魂(フツノミタマ)をイワレビコに渡し、この霊剣の力で邪気が祓われてみんな目を覚ますことが出来ました。
さらに吉野の地では「この先に悪い神がいる。タカムスビ(←神様です)がヤタガラスを遣わすから、それについていけば無事に通り抜けられるだろう」というお告げがありました。
ヤタガラスに導かれたイワレビコの軍は、途中の国つ神(豪族)や民たちをその配下におきながら進みました。
途中、尾の生えた人(←これは意味が分かりませんでした💦)に出会ったり、大和の宇陀では豪族(エウカシ)の抵抗があり戦闘になったりしました。
逆賊(土蜘蛛)に対しては、宴会を催して油断させ、歌を合図に一斉に斬りかかってこれを討ちはらい従えました。

前回は、天孫降臨と神武東征、そして神武天皇即位直前までが描かれました。神々の時代から、人の時代へと変わる転換期です。
古事記』は上中下巻から成りますが、中巻に入った所です。
ここから序文では、歴代天皇の業績を紹介しています。
ただし年代順ではない点もありますので、注意が必要です。

『古事記』序文⑥~賢后と聖帝~

【原文と読み方】
【原文】即覺夢而敬神祇 所以稱賢后。望烟而撫黎元。於今傳聖帝。定境開邦。制于近淡海。正姓撰氏。勒于遠飛鳥。


【読み方】即(すなわち)夢に覺(さと)りて神祇を敬い、所以(ゆえに)賢后と稱(たたえ)ます。烟(けむり)を望みて黎元(れいげん)を撫でたまい、今に聖帝と傳う。境を定め邦を開きて、近淡海(ちかつうみ)に制したまい、姓(かばね)を正し氏を撰みて、遠く飛鳥に勒したまう。


【訳】
すなわち、神功皇后は神懸かりで神々の意志を知ることが出来ました。そして神託を信じて西方を攻め、3韓征伐を成して服属させて称えられました。
仁徳天皇は国内視察の際、国に料理をする煙が上がっていないのを見て、食べるものが無い民の貧しさに気付いて、3年間納税を免除しました。こうして聖帝(ひじりのみかど)の御世として、後々まで称えられたのです。
成務天皇は、近淡海(近江国=滋賀県)において日本で初めて行政区画を制定したことで、人民を安住させ、より国を発展させました。
允恭天皇は、皇居である遠飛鳥宮に群臣を集め、それまで明確でなかった氏姓に偽りがないことを誓わせて、乱れた氏姓制度を正しました。

【解説】
即覺夢而敬神祇 所以稱賢后。
「覺夢」は「夢覚」。
「覚」には「さとる、知る」という意味もあります。
「神祇」は以前も説明したかもしれませんが、正確には「天神地祇」のこと。
ここでは「神」は「天の神=天つ神(あまつかみ)」、「祇」は「地上の神=国つ神(くにつかみ)」をそれぞれ指します。
なので「神祇」は「天と地の神様」=「神々」と訳しています。
「稱」は「称える」です。
「賢后」とは「神功皇后(じんぐうこうごう)」のことです。

直訳すると「すなわち、夢で知って神々を敬ったので、賢明な皇后と称えられた」になりますが…相変わらず省略され過ぎていて、これではなかなか分かりません。そんな訳で、ちょっと神功皇后について触れてみたいと思います。

神功皇后について
14代・仲哀天皇の皇后です。
「神功皇后」は諡号(死後に贈られる名前)で、息長帯比売(オキナガタラシヒメ)といいました。
神懸かり(神が憑依する)で、神の声を聞くことが出来ると言われていました。
この信託によって、自ら軍を率いて西の国(新羅)を攻め、帰国時に策で反乱軍を破って、後の応神天皇を産みました。
ちなみに、夫である仲哀天皇は、この神託を蔑ろにした事で神の怒りを買い亡くなったと言われています。

…という事で、「夢覚(夢で知る)」は「神懸かりで神の声を聞く(神の意志を知る)」という意味で訳しました。
また「賢明な皇后」の部分ですが、「神託を蔑ろにした仲哀天皇は神の怒りを買い亡くなった」のに対し、「神託通り西方を攻めた神功皇后は3韓(新羅・百済・伽耶)征伐を成し、服属させた」。つまり「神の意志を信じて困難を乗り越えた」ことを指している...と考えて訳しました。

望烟而撫黎元。於今傳聖帝。
本文には「於國中烟不發」(国内に煙が建っていない)という仁徳天皇の言葉があります。
このエピソードは、『国内を見て回った仁徳天皇が、民の家々から炊煙がたっていないのを見て、「ご飯を炊く(料理をする)煙があがってないのは国が貧しいからである」と述べ、3年間の納税義務を免じた』と言う部分を指しています。

「望」はここでは「遠くを見る。見渡す」の意味でしょう。
「撫」は「いつくしむ」の意味です。
「黎元」は「れいげん」と読みます。
私は初めて見たので調べたら「民、庶民、人民」という意味でした。
「今傳」は「今伝」です。
「今(現在)も〇〇として伝えられている」といった意味になるかと思います。
「聖帝」は「ひじりのみかど」と読みます。
「徳の高い天子」と言う意味で、16代・仁徳天皇のことです。

なのでここは「国内視察の際、仁徳天皇は国に料理をする煙が上がっていないのを見て、食べるものが無い民の貧しさに気が付いて、3年間納税を免除しました。こうして聖帝(ひじりのみかど)の御世は、後々まで称えられたのです」と訳してみました。

定境開邦。制于近淡海。
「定境」は「境を定めた」。
ここでいう「境」は「国境」の意味です。
「邦」は「くに」と読みます。
そのまま「国、領土」の意味です。
「開邦」=「国を開いた」とはつまり「国を発展させた」的な意味でしょう。
「于」は「ここ」と読みます。
「(場所)によって」みたいな感じで使われます。
「近淡海」は「ちかつうみ」「おうみのくに」と読みます。
琵琶湖の事をさし、近江国(滋賀県)のことです。
ちなみに「遠淡海(とおつおうみ)」もあって、遠江(とおとうみ)=静岡県西部にある浜名湖を指します。

話がそれましたが、「近淡海=近江の国(滋賀県)」が何を意味しているのかと言うと、【天皇が政治を行った場所・宮殿があった場所】を示しています。
近江国の高穴穂宮(たかあなほのみや)で執権したのは、13代・成務天皇です。
なのでここは成務天皇の業績を称えている文なのです。
【成務天皇は、日本で初めて国県村などの行政区画を定めた】とされています。

ですからここは「成務天皇は、近淡海(近江国=滋賀県)において日本で初めて行政区画を制定したことで、人民を安住させ、より国を発展させました」と訳しました。


正姓撰氏。勒于遠飛鳥。
「正姓撰氏」は、直訳すると「正しい氏(うじ)姓(かばね)を選ぶ」となるかと思います。
「勒」は「ろく(する)」と読みます。「書き留める、録する」と言う意味もあります。
「于」は先ほど説明しましたが「ここ」と読み、「(場所)によって」みたいな感じで使います。
「遠飛鳥」は「遠飛鳥宮(とおつあすかのみや)」のことです。
19代・允恭天皇(いんぎょう天皇)の皇居で、ここで政権を執りました。

氏姓の乱れ】とは...
氏(うじ)と姓(かばね)は、自らの【身分を表す称号】でした。
ですが、勝手に名乗ったり、偽ったりする者も多かったため、身分の上下が明確ではなく混乱のもとになっていました。
そこでこの乱れを正そうと、允恭天皇は全ての氏族を飛鳥甘樫丘に集めて氏姓に偽りがないことを群臣に誓わせたのです。

ちなみに…「偽りがないことを群臣に誓わせた」と言っても、口頭でOKみたいな生易しいものではありません。
【盟神探湯(くかたち)】と言う正邪を判断する裁判のもと行われました。
まず神に潔白などを誓わせた後、熱湯の中に手を入れさせ火傷しなかったらセーフ。火傷したら偽る人→アウト...という「みんな大火傷でアウトじゃないかな...💦」と思ってしまう過酷なものでした。

これらをあわせて「允恭天皇は、皇居である遠飛鳥宮に群臣を集め、それまで明確でなかった氏姓に偽りがないことを誓わせて、乱れた氏姓制度を正しました」と訳しました。

古代の事を知ることは大事ね。

そうね。

私達も盟神探湯(くかたち)をやって古代をもっと深く知る、ってのはどうかしら...?

古代より、いもみの方が良く分からないわ...。


以上で『古事記』序文⑥~賢后と聖帝~のご紹介はおしまいです。

次回は『古事記』序文⑦~古以照今~をご紹介する予定です。

ここまで読んで頂きありがとうございました_(..)_
本日のおまけは一番下にあります。

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