こんばんは、いもみ🍠です。
本日は、『『古事記』序文⑪~天武天皇の即位~』のご紹介です。
こんばんは、アキです。
主に翻訳と解説を担当しています。
やがて車駕(しゃが)の用意が間に合ったので、それに乗り換えて山川を進軍しました。
天武天皇(大海人皇子)の率いる軍団は雷鳴の如く威勢があり、(配下の諸侯の軍も)雷のごとく迅速に進撃しました。
赤の軍装の味方の軍の兵達は猛々しく、刀槍を高く掲げて士気高く、戦場で躍動し、そして大友皇子の近江朝廷軍は敗れたのです。
天智天皇崩御後に起きた、天皇の嫡男・大友皇子と天皇の弟・大海人皇子の後継者争いである壬申の乱は、大海人皇子の勝利によって終息しました。
今回は、壬申の乱後~天武天皇即位迄の事が描かれています。
『古事記』序文⑪~天武天皇の即位~
未移浹辰。氣沴自清。
乃。放牛息馬。愷悌歸於華夏。卷旌戢戈。儛詠停於都邑。
歳次大梁。月踵俠鍾。清原大宮。昇即天位。
【読み方】
未だ浹辰(しょうしん)を移さずして、氣沴(きれい)自ずから清まりぬ。
乃(すなはち)、牛を放ち馬を息(いこ)い、愷悌(がいてい)して華夏(かか)に歸(かえ)り、旌(はた)を卷き戈ほこを戢をさめ、儛詠ぶえいして都邑に停まりたまひき。
歳ほしは大糜に次やどり、月は夾鐘に踵あたり、清原の大宮にして、昇りて天位に即つきたまひき。
戦後の混乱がおさまったのを見届けてから、軍で使った牛馬を休ませて、穏やかな気持ちで都に凱旋しました。
軍旗や武器も片付けられ、代わりに舞を踊り、歌を詠むなどして、都(大和の国)に平和が訪れました。
そして、673年癸酉(みずのととり)の年の2月に、飛鳥浄御原宮(あすかのきよみはらのみや)において天武天皇が即位されました。
「浹」は「あまね(く)、めぐ(る)」と読みます。
「広く行き渡る。一巡りする」の意味です。
「辰」は「十二支」ですね。
そしてこの二つを掛け合わせた「浹辰」を「しょうしん」と読み、「12日間、短時間で」という意味があるのです。
いや~知りませんでした。
最初は「12年間」と訳すと思ってしまったので「長ッ!」と突っ込んでしまいました…。
「氣」は多くの意味がありますが「異様な様子、ただならぬ雰囲気」という意味もあります。
「沴」は「れい」と読みます。
「悪気、不吉な気配」の意味です。
「自清」は「自ずと清らかになった」という事でしょう。
戦いの後の混乱が収まってきた様子を書いているのだと思い、「戦いの後の混乱は短時間のうちに自ずとおさまりました」と訳しました。
・乃。放牛息馬。愷悌歸於華夏。
「乃」は「すなわち」。接続詞ですね。
「放牛息馬」は「牛を放し、馬を(息=憩い=)休ませた」です。
荷駄として使った牛と、軍馬としての馬を休ませた…戦いは終わった、ということを表現しているのでしょう。
「そういえば【軍馬】は聞くけど【軍牛】って聞かないな~」ってことで「軍で使った牛馬は休ませた」としました。
「愷悌」は「がいてい」と読みます。難しいですね。
「穏やかな、和らいで楽しむ」という意味があります。
「歸」は「帰」です。
読みも意味も同じで「帰る」です。
「華夏」は「かか」と読みます。
「華(はなやか、の意)」+「夏(盛ん、の意)」で「文化の開けた地=都」を指します。
都はここでは「大和の国」でしょう。
「戦いは終わり、混乱も収まってきたのを見届けてから、軍で使った牛馬は休ませて、穏やかな気持ちで大和の国に凱旋しました」と訳しました。
・卷旌戢戈。儛詠停於都邑。
「旌」は「旗」です。「軍旗」の事でしょう。
「戢」は「しゅう」と読みます。
「武器を集めてしまう」と言う意味です。
「戈」は「ほこ」。武器ですね。
「儛詠」は「舞い、歌を詠む」です。
「停」は「とどまる」です。
「都邑」は「とゆう」と読みます。
「都」の意味です。
「軍旗や武器は片付けられ、代わりに舞を踊り、歌を詠むなどして、都(大和の国)に平和が訪れました」と訳してみました。
・歳次大梁。月踵夾鍾。清原大宮。昇即天位。
「歲次」は「さいじ」と読みます。
「年、年まわり」の意味です。
「大梁」は「たいりょう」と読みます。
「酉年」という意味です。
天武天皇が即位した673年は癸酉(みずのととり)の年なので、これを指しているのでしょう。
「踵」は、訓読みで「いたる、あたる」とも読むそうです。
意味も「至る」です。
「夾鍾」は「きょうしょう」と読みます。
「陰暦二月」の異称です。
「清原大宮」は以前もご説明しましたが、飛鳥浄御原宮(あすかのきよみはらのみや)を指し、奈良県明日香村飛鳥にあったと考えられている天武天皇の宮の事です。
直訳すると「酉年の年、陰暦二月に至って、清原大宮で即位しました」ですが…。
もう少し言葉を足して「673年癸酉(みずのととり)の年の2月に、飛鳥浄御原宮(あすかのきよみはらのみや)において天武天皇が即位されました」と訳しました。
以上で『古事記』序文⑪~天武天皇の即位~のご紹介はおしまいです。
次回は『古事記』序文⑫~天武天皇の統治(1)~をご紹介する予定です。
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ここまで読んで頂きありがとうございました_(..)_
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