いもみの日記

御朱印集めが趣味のOL(お芋好き女子)です。いろんな神社やグルメを紹介します!

『古事記』本文上巻⑩~柱を廻って結婚する(3)~

こんばんは、いもみ🍠です。
本日は、『『古事記』本文上巻⑩~柱を廻って結婚する(3)~』のご紹介です。

こんばんは、アキです。
主に翻訳と解説を担当しています。

【前回のあらすじ】
ここでイザナギは「私の身体は出来上がっているのですが、余っている所が一か所あります。」とおっしゃられました。
そして「なので私の余っている所を、貴女の足りない所に刺して塞いで新たに国を生み出そうと思うけれど、どうでしょうか?」とおっしゃいましたので、
(註:【生】の字は【宇牟=うむ】と読んで下さい。今後も同じ読み方です)
イザナミは『そうですね。よいでしょう』とお答えになりました。

質問も提案もぶっ飛んでいるイザナギですけど、妹のイザナミは快く承諾します。
常人には理解できませんけれど、相手は神様ですからね、皆さん納得しましょう。
そんな訳で、舞台は2神の結婚の場面に移ります。
ここでも、ひと悶着あります。

『古事記』本文上巻⑩~柱を廻って結婚する(3)~

【原文と読み方】
【原文】
爾 伊邪那岐命 詔
然者 吾與汝 行廻逢 是天之御柱
而爲 美斗能麻具波比
(此七字以音)
如此云期 乃詔 汝者自右廻逢 我者自左廻逢 約竟 以廻時
伊邪那美命 先言 阿那邇夜志 愛(上)袁登古袁
(此十字以音下效此)
後伊邪那岐命 言 阿那邇夜志 愛(上)袁登賣袁


【読み方】
ここに伊耶那岐命(いざなぎのみこと)の詔(みこと)のりたまひしく
「然(しか)らば吾(われ)汝(なんじ)と與(くみ=与)して、是(こ)の天之御柱(あめのみはしら)を行き、廻逢(めぐりあい)て
美斗麻具波比(みとのまぐはひ)せむ」。
【此(こ)の七字は音(おん)を以(もち)いる】
此(こ)の如(ごと)く云(い)い期(ちぎ)りて、乃(すなわ)ち詔(みことのり)たまいく「汝は右より廻逢(めぐりあい)、我は左より廻逢(めぐりあむ)」と、約(やく)を竟(お)えて廻りたまう時に
伊耶那美命(いざなみのみこと)先(まず)言う「阿那邇夜志 愛袁登古袁(あなにやし、えをとこを)」と
【愛は上声】
【此の十字は音を以いる 下も此に效う】
後に伊耶那岐命(いざなぎのみこと)「阿那邇夜志 愛袁登賣袁(あなにやし、えをとめを)」と言う。
【愛は上声】

【訳】
そこでイザナギは「では、私とあなたでこの天之御柱をまわって、出会った時に男女の契りを行おう」と仰せられました。
(註:「阿那邇夜志 愛袁登古袁」の10文字は音読みで読んで下さい)
(註:【愛】の字は上声で発音して下さい)
そして「貴女は柱の右から進んでください。私は柱の左から進みます」と約束して、柱をまわって進み二人は出会います。
出会った時に、先にイザナミがイザナギに言いました。
「あぁ…なんて素敵な殿方なんでしょうか…♥」
それを受けてイザナギも『あぁ…なんて素敵な女性なんだろう…♥』と後から言いました。
(註:【愛】の字は上声で発音して下さい)

【解説】
爾 伊邪那岐命 詔
然者 吾與汝 行廻逢 是天之御柱
而爲 美斗能麻具波比(此七字以音)

「吾與汝」は「吾(われ)=私」「與」「汝(なんじ)=あなた」なので「與」がポイントです。
「與」は「与」です、「興」ではないので気を付けてください。
「与」の意味は「くみする、共に力を合わせる」です。
読み方は難しくて「吾(われ)汝(なんじ)と與(くみ)して」と読みました。
単に「吾(われ)與(と)汝(なんじ)」でもいいかもしれません。
つまり「吾與汝」は「私とあなたで~」という意味になると思います。

「行廻逢 是天之御柱」は長いけど、凄く簡単です。
「是(こ)の天之御柱を行き、廻(まわ=めぐ)って逢いましょう」ということです。
「廻」は「まわる、めぐる」という意味があります。
なのでここは「廻逢」を「めぐりあい」と読み、ちょっと素敵な感じで訳しています。

天之御柱(あめのみはしら)は、ちょっと前に出てきましたね。
オノゴロ島にある天界と地上とを結ぶ大きな柱です。

「爲」は「為」です。
「而(しか)」は意味が色々あるので厄介な字なのですが、ここは「しかるに~=その時は」という意味で良いと思います。
つまり「而為」は「而(しか)るに為(な)す」で意味は「その時に為そう(行おう)」となります。

「みとのまぐはひ」について

「美斗能 麻具波比(此七字以音)」は、()に太安万侶の注釈が付いており、この意味が分からなければ読めません。
ですからまずは注釈「此七字以音」を訳しましょう…と言っても簡単です。

「此(こ)の七字は音(=音読み)を以(もち)いる」➩「美斗能 麻具波比の七文字は音読みで読んでね!」ってことです。
これまでも何回も出てきましたので、この解説を読まなくてもわかるよ、という方もいらっしゃるかもしれませんね。

では「美斗能麻具波比」を音読みで読んでみましょう。
「みとのまぐはひ」ですね。
「なんだそりゃ?」ですね。
私もそうでした。

では「みとのまぐはひ」について解説しますね。
「み」➩「御」の意味(=敬意や丁寧さ)です。
「と」➩サラッと行きます!「男性・女性の象徴部」のことです!
「まぐはひ」➩漢字では「目合」と書きます。
       「性交」の意味があります。

さて...私は「まぐはひ」の意味は何となく理解していました。
しかし漢字では「交わり」の事だと勘違いしてしまいました。
上記の様に正しくは「目合=まぐわい」です。

今回はここを掘り下げてみたいと思います。
まず「まぐはひ(=まぐわい)」について、漢字にした方が分かりやすいかな~と思って「まぐわる」をPCで変換したところ...出ないッ!
あれ?と思って私達のスマホでもそれぞれ変換したけど…やっぱり出ないッ!!

焦って調べた所、分かりました。
意外なことに「まぐわる」という言葉は日本語に無いのです。

「まぐわい(う)」はあります。
これは漢字も出てきます。
「まぐわる」という言葉は日本語に無い。
覚えておきましょう。

続いて「目合」の意味ですが、古事記では「男女が契りを結ぶこと」つまり「性交」の意味です。
ですが文字通り「目を見合わせて愛情を通わせること」の意味もあります。
何て素敵な日本語なんでしょう...✨
こっちの方が良かったなぁ…という感想で、「みとのまぐはひ」についての考察はおしまいです。


これらを踏まえ「イザナギは『では、私とあなたでこの天之御柱をまわって、出会った時に【みとのまぐはひ】を行おう』と仰せられました」と訳しました。
より正確に訳してもいいのですが...
「イザナギは『では、私とあなたでこの天之御柱をまわって、出会った時に【性交】を行おう』と仰せられました」となります。

こ、この人何言ってんだ?ってなりません?
正確性と、モラルを考慮した結果「イザナギは『では、私とあなたでこの天之御柱をまわって、出会った時に【男女の契り】を行おう』と仰せられました」と訳しました。
これでもどうかと思いますが。


如此云期 乃詔 汝者自右廻逢 我者自左廻逢 約竟 以廻時
伊邪那美命 先言 阿那邇夜志 愛〈上〉袁登古袁
(此十字以音下效此)

「如此」は「此の如く」と読みました。
「このようである、このように」という意味です。
調べてみたら同じ意味で「如此」を「じよし」と読む場合もあるようです。
ですがいもみの日記では、読みずらいので「如此=此の如く」にします。

「期」は「期間」の様な「時」の意味ではなく、「期約」といった「約束」の意味で使っていると思います。
ちなみに「約束」の意味で「ちぎ(る)」と読みます。

「乃」は「すなわ(ち)」でしょうか。

なんで柱を回る時、男性は左から女性は右からなのか?

「汝者自右廻逢 我者自左廻逢」は簡単ですね。
「汝は右からまわって、私は左から回って巡り合おう」です。

柱をまわって求婚する...ちょっと意味が分かりません。
でも、【柱を回る時、男性は左から女性は左からなのか】は中国の陰陽説が関係していると思います

陰陽説は簡単に言うと「万物を陽と陰に分けて考える」ですが、この説で言うと、男性は陽で、女性は陰です。
この陰陽は実は方向にもあって、左は陽で、右は陰なのです。
まとめますと…
陽➩男性・方向は左
陰➩女性・方向は右

...です。

イザナギが左を進み、イザナミが右を進む...これは陰陽が関係していたと思われます。

余談ですが、医学でも男性は左から治療し、女性は右から治療すると効果が上がる...という都市伝説の様なお話を、私の中学時代に聞いたことがあります。
以上、【なんで柱を回る時、男性は左から女性は左からなのか?】についての考察でした<(_ _)>

「竟」は難しい字ですね~、私は初めて見ました。
この字は「お(わる)、つい(に)」と読み、「おわる、おえる」という意味があります。
なので「約竟」で「約束をし終えて~」という意味になるかと思います。

「あなにやし、えをとこを」って?

「伊邪那美命 先言 阿那邇夜志 愛(上)袁登古袁(此十字以音 下效此)」は長いですが、文の構成は難しくはありません。
簡単に説明すると…
①伊邪那美命が先に言ったんですね。
「阿那邇夜志 愛〈上〉袁登古袁」という言葉を。

②「阿那邇夜志 愛〈上〉袁登古袁」を読むために、太安万侶の注釈が3つ付いていますね。
順番に行きましょう!
・(上)は「上声(じょうしょう)」の略語です。以前も出てきましたね。
 意味は「この字は高く発音して読んで!」って感じの意味です。
・(此十字以音)は何回も出てきているから意味だけでいいですよね?
 「この10つの文字は音読みで読んでね!」って意味になります。
・(下效此)も何回か登場していますね。
 「下も此れに效(なら)う」、つまり「以下この字が出てきたら、この読みで読んでくれ!」という意味です

③じゃあ「阿那邇夜志 愛袁登古袁」の音読みをしてみると「あなにやし、えをとこを」。
これは何?という話になると思います。

まず「あなにやし」ですが、分解するとこうです。
「あなに」➩強い感動を表す語
「や」➩感動の助詞
「し」➩強めの助詞
つまり乱暴に言えば、「あなにやし」を表現する言葉・訳は感動を表わせば、なんでも正解です。

次に「えをとこを」を見て行きましょう。
「え」➩驚きを表現
「をとこ」➩「おとこ=男」
「を」➩感嘆を強調

ですから「あなにやし、えをとこを」は、自分が異性を見た時、あまりの美しさやカッコよさを表現する時に使う言葉を当てはめればいいでしょう
【奥様や旦那様、彼女や彼氏を最上級で褒めたい時の言葉】を好きなように当てはめて下さい。
さぁ…恥ずかしがらずに!!
(;゚∀゚)=3ハァハァ

私は恥ずかしいので「あぁ…なんて素敵な殿方なんでしょうか…♥」と訳しました。


後伊邪那岐命 言 阿那邇夜志 愛〈上〉袁登賣袁
ここは上の説明で過剰な程分かりやすく説明しましたので、省略いたします。

「それを受けてイザナギも『あぁ…なんて素敵な女性なんだろう…♥』と後から言いました」と訳しました。


以上で『古事記』本文上巻⑩~柱を廻って結婚する(3)~のご紹介はおしまいです。

次回は『古事記』本文上巻⑪~柱を廻って結婚する(4)~をご紹介する予定です。

ここまで読んで頂きありがとうございました_(..)_
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本日のオマケ

古事記に登場する神々【上巻編】

【お知らせ】
読者の皆様、いつも当ブログ「いもみの日記」をご覧いただいてありがとうございます<(_ _)>
現在、『古事記』を翻訳中なのですが、今月に入り執筆者の私いもみと、翻訳者の相棒アキちゃんが会社の研修期間などに入ってしまい、帰宅が21時を過ぎてしまうため、目標であった毎日更新が少し難しくなりました。

本日は訳が間に合わなかったので、上巻が訳し終わったらブログに上げようと思っていた表題の古事記に登場する神々【上巻編】を、上げようと思います。

明日は仕上がると思いますので、暫く御猶予お願いいたします<(_ _)>💦

こんばんは、いもみ🍠です。
ココでは、これまで『古事記』本文に登場した神々を登場順に書き記しています。
果たして『古事記』には何柱の神様が登場するのか...?
なお、都度更新していきますので、一番上には【〇月△日更新しました】と更新した神様の上にも【〇月△日追記しました】を入れます。

基本的な情報は載せますが、原則【登場順】と【登場する数】に特化していますので、それぞれの神様の詳細についてはWikipedia等をご参照ください。
えっと、丸投げではありません。


【9月4日追記しました】

別天津神(ことあまつかみ)

1.天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)
→『古事記』に一番最初に登場する神様。
別天津神(ことあまつかみ)の一柱で、造化三神(ぞうかのさんじん)の一柱でもある。
姿形は無い。独り神。
とても重要な神様だと思うが、登場頻度は極端に低い。
【登場場所:上巻  いもみの日記:上巻①】


2.高御產巢日神(たかみむすびのかみ)
→別天津神(ことあまつかみ)の一柱で、造化三神(ぞうかのさんじん)の一柱。
姿形は無い。独り神。
古事記には子孫も登場する。
【登場場所:上巻  いもみの日記:上巻①】


3.神產巢日神(かみむすびのかみ)
→別天津神(ことあまつかみ)の一柱で、造化三神(ぞうかのさんじん)の一柱。
姿形は無い。独り神。
オオクニヌシを生き返らせる手助けをする。
【登場場所:上巻  いもみの日記:上巻①】


【9月5日追記しました】
4.宇麻志阿斯訶備比古遲神(うましあしかびひこぢのかみ)
→別天津神(ことあまつかみ)の一柱。
姿形は無い。独り神。
これ以降、全く登場しない。
【登場場所:上巻  いもみの日記:上巻②】


5.天之常立神(あめのとこたちのかみ)
→別天津神(ことあまつかみ)の一柱。
姿形は無い。独り神。
別天津神として最後に登場するが、その後全然登場しない。
【登場場所:上巻  いもみの日記:上巻②】


【9月10日追記しました】

神世七代(かみのよななよ)

6.國之常立神(くにのとこたちのかみ)
→神世七代(かみのよななよ)の最初の神。
日本書記では一番最初の神様。
姿形は無い。独り神。
【登場場所:上巻  いもみの日記:上巻④】


7.豐雲野神(とよくもののかみ)
→神世七代の最後の独神で姿形は無い。
全然登場しなくなる。
【登場場所:上巻  いもみの日記:上巻④】


8.宇比地邇神(うひぢにのかみ)
→神世七代の第三代。
これまで独神だったが、この代で初めて男女一対の神となった。
男神とされる。「宇」は「泥」の意味。全然登場しない。
【登場場所:上巻  いもみの日記:上巻④】


9.須比智邇神(すひちにのかみ)
→神世七代の第三代。
これまで独神だったが、この代で初めて男女一対の神となった。
女神とされる。「須」は「砂」の意味。全然登場しない。
【登場場所:上巻  いもみの日記:上巻④】


10.角杙神(つのぐいのかみ)
→神世七代の第四代。
男女一対の神。男神とされる。
全然登場しない。
【登場場所:上巻  いもみの日記:上巻④】


11.活杙神(つぬぐいのかみ)
→神世七代の第四代。
男女一対の神。女神とされる。
全然登場しない。
【登場場所:上巻  いもみの日記:上巻④】


12.意富斗能地神(おおとのぢのかみ)
→神世七代の第五代。
男女一対の神。男神とされる。
全然登場しない。
【登場場所:上巻  いもみの日記:上巻④】


13.大斗乃弁神(おおとのべのかみ)
→神世七代の第五代。
男女一対の神。女神とされる。
全然登場しない。
【登場場所:上巻  いもみの日記:上巻④】


14.淤母陀琉神(おもだるのかみ)
→神世七代の第六代。
男女一対の神。男神とされる。
古事記には全然登場しないが、いもみの日記で登場する。
【登場場所:上巻  いもみの日記:上巻④、『足尾神社』】


15.阿夜訶志古泥神(あやかしこねのかみ)
→神世七代の第六代。
男女一対の神。男神とされる。
古事記には全然登場しないが、いもみの日記で登場する。
【登場場所:上巻  いもみの日記:上巻④、『足尾神社』】


16.伊邪那岐神(いざなぎのかみ)
→神世七代の最後の七代。
男女一対の神。男神。
途中から名前が「神」から「命」になる。
有名すぎて書ききれない。
多くの神の父神であり、神武天皇の7代先祖とされる。
上巻は主役に近いが、以降登場しなくなる。
【登場場所:上巻  いもみの日記:序文、上巻④以降など多数】


17.伊邪那美神(いざなみのかみ)
→神世七代の最後の七代。
男女一対の神。女神。
途中から名前が「神」から「命」になる。
多くの神の母神であるが、火の神カグツチ出産時に火傷し死亡。
死後は黄泉の主宰神となり、黄泉津大神(よもつおおかみ)という別名を持つ。
上巻は主役に近いが、以降登場しなくなる。
【登場場所:上巻  いもみの日記:序文、上巻④以降など多数】


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本日のオマケ

『古事記』本文上巻⑨~柱を廻って結婚する(2)~

こんばんは、いもみ🍠です。
本日は、『『古事記』本文上巻⑨~柱を廻って結婚する(2)~』のご紹介です。

こんばんは、アキです。
主に翻訳と解説を担当しています。

【前回のあらすじ】
天上界からオノゴロ島に降りたたれたイザナギとイザナミは、高天原につながる天之御柱(あめのみはしら)という大きな柱と、とても大きな宮殿をお建てになりました。
そしてイザナギは、妹のイザナミに対し『アナタの身体はどんなふうになっていますか?』とお尋ねになりました。
なのでイザナミは『私の身体は出来上がっているのですが、出来切っていない(=足りない)所が一か所あります』とお答えになりました。

前回は、イザナギが妹であるイザナミに対し凄い質問をかましました。
今回は、イザナギが自らの身体を説明し、その後イザナギが妹であるイザナミに対し凄い提案をかまします。
一体、どんなんだ?神様は??

『古事記』本文上巻⑨~柱を廻って結婚する(2)~

【原文と読み方】
【原文】
爾 伊邪那岐命 詔。
我身者 成成而 成餘處 一處在
故以 此吾身 成餘處
刺塞汝身 不成合處而。
以爲 生成國土生 奈何。
(訓生云宇牟。下效此)  
伊邪那美命 答曰 然善。

【読み方】
ここに伊耶那岐命(いざなぎのみこと)詔(みこと)のりたまひしく
「我が身は成り成りて、成り餘(あま=余)れる處(ところ)一處(=一カ所)あり。
故(ゆえ)を以(もっ)て、此(こ)の吾身(わがみ)の成り餘(あま=余)る處(ところ=処)を汝(なんじ)の身の成り合わない處に刺して塞(ふさ)ぎ
以爲(おもえらく)國土(くに)生み、生成(せいせい)せん。奈何(いかに=如何)」
(【生】(の字)は【宇(う)牟(む)】と訓(よ)む 下も此れに效(なら)う)
伊耶那美命(いざなみのみこと)答えて曰(いわ)く、「然(しか)り。善(よし)」

【訳】
ここでイザナギは「私の身体は出来上がっているのですが、余っている所が一か所あります。」とおっしゃられました。
そして「なので私の余っている所を、貴女の足りない所に刺して塞いで新たに国を生み出そうと思うけれど、どうでしょうか?」とおっしゃいましたので、
(註:【生】の字は【宇牟=うむ】と読んで下さい。今後も同じ読み方です)
イザナミは『そうですね。よいでしょう』とお答えになりました。

【解説】
爾 伊邪那岐命 詔 我身者 成成而 成餘處 一處在
「餘」は「余」、つまり「あまり」です。
「處」は昨日もご説明しましたが、「処」です。

この文は昨日のイザナミの【成成 不成合處一處在 訳:(私の身体は)出来上がっているのですが、出来切っていない(=足りない)所が一か所あります】とほぼ同じです。

異なるのは、
イザナミ→不成合處一處在(成り合わない所、一か所あり)
イザナギ→成餘處一處在(成り余る所、一か所あり)

つまり「私の身体は出来上がっているのですが、余っている所が一か所あります」です。
この「足りない所、余っている所」とは要するに男女の性器を表しています
おかげで訳しづらいことこの上ない!

故以 此吾身 成餘處 刺塞汝身 不成合處而
この文はここまでの解説を見て頂ければ、難しい言葉はありません。

念のため読んでみると…
「故(ゆえ)を以(もっ)て、此(こ)の吾身(わがみ)の成り餘(あま=余)る處(ところ=処)を汝(なんじ)の身の成り合わない處に刺して塞(ふさ)ぎ~」で良いと思います。

…おかしな単語を書くと、ブログ閉鎖になっても私が困ります。
表現に困るので、直訳に近い訳しかできませんが皆さん、大人だから分かりますよね?
「なので、私の余っている所を、貴女の足りない所に刺して塞いで~」です。


以爲 生成國土生 奈何(訓生云宇牟 下效此)
「以爲」は「以為」という字で「おもえらく」と読みます。
意味は「おもえらく=思えらく」と書くので想像しやすいと思いますが「~と思う」です。

「生成國土生 奈何」の「生成國土生」はなんとなく分かったのですが、「奈何」って何だろ?と思って調べたら、これは「いかん」と読むのだそうです。
違う字ですと「如何」
これなら私も読めます!
こっちの方が分かりやすいですね。
疑問や反語の意味で「どうですか?」とか「どうして?」のような感じで良いと思います。

念のため「生成國土生」も。
私は「國土(「こくど」ではなく「くに」で良いと思います)を生み、生成(せいせい)~」と読みました。
「生成(せいせい)」は「ものを新たにつくり出す」意味があります。

個人的にここは「生」の字が2つあるのがポイントだと思います。
「生み」+「生み成す」では少し訳しずらいので、「生み」+「生成する」の方がシックリ来るのではないでしょうか?

(訓生云宇牟 下效此)は太安万侶の注釈です。
何回も出てきているので、そろそろ慣れた方もいらっしゃるかもしれませんね。

「訓生云宇牟」は「【生】(の字)は【宇(う)牟(む)】と訓(よ)んでね!」という意味です。
「下效此」は「下も此れに效(なら)う」で良いと思います。
もう少し丁寧に言うと「下の文も(以降の文も)【「生」は「うむ」】と読みます」という事でしょう。

直訳すると「国を生んで、国を新たにつくり出そうと思うが、どうだろう?」
これをちょっとイジって「新たに国を生み出そうと思うけれど、どうでしょうか?」と訳しました。

伊邪那美命 答曰 然善
「然善」の「然」は「しか(り)」と読みます。

「然」は、意味として幾つかある(形容詞も助詞でも使います)のですが私は「肯定・同意」のニュアンスで訳しました。
訳すと「そのとおり」といった感じですね。

なので「ここはイザナミは『そうですね。よいでしょう』とお答えになりました」と訳しました。

以上で『古事記』本文上巻⑨~柱を廻って結婚する(2)~のご紹介はおしまいです。

次回は『古事記』本文上巻⑩~柱を廻って結婚する(3)~をご紹介する予定です。

ここまで読んで頂きありがとうございました_(..)_
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本日のオマケ

『古事記』本文上巻⑧~柱を廻って結婚する(1)~

こんばんは、いもみ🍠です。
本日は、『『古事記』本文上巻⑧~柱を廻って結婚する(1)~』のご紹介です。

こんばんは、アキです。
主に翻訳と解説を担当しています。

【前回のあらすじ】
そこで、御二方の神様は天と地を繋ぐ天浮橋(あめのうきはし)にお立ちになって、まだフワフワで固まっていない大地に向けて天沼矛を下し、描くようにして
(註:【立】の字は【多多志(たたし)】と訓(よ)んでください)
海水をコォロ、コォロと音を立ててかき回しました。
(註:【許袁呂 許袁呂邇】の7文字は音読みです)
(註:【鳴】の字は【那志(なし)】と訓(よ)んでください)
そのかき回した矛を引き上げると、矛の先についていたた海水の滴が垂れ落ちました。その海水は渇いて固まって塩となり、そして何層にも重なって積もり、やがて島となりました。
こうして出来た島をオノゴロ島と言います。
(註:「淤」から下の4文字は音読みで読んで下さい)

前回はオノゴロ島が出来た経緯をお話しました。
このオノゴロ島を拠点にイザナギ・イザナミの神生み・国生みが行われます。
順序としては①結婚➩②国生み➩③神生み、です。
本日はこのうちの①結婚についてのお話なのですが、とても長い!
長いのはすんなり行かないからで、すんなり行かないのは…本文でご説明します。


『古事記』本文上巻⑧~柱を廻って結婚する(1)~

【原文と読み方】
【原文】
於其嶋 天降坐而 見立 天之御柱 見立 八尋殿
於是 問其妹 伊邪那美命曰 汝身者 如何成
答曰 吾身者 成成 不成合 處一處在

【読み方】
其(そ)の嶋に於(お)いて、天降(あもり)坐(まして)、天之御柱(あめのみはしら)を見立(みた)て八尋殿(やひろでん)を見立て
是(ここ)に於(お)いて其(そ)の妹(いも)伊耶那美命(いざなみのみこと)に問いて曰(いわ)く、『汝(なんじ)の身は如何(いかん)成る』
答えて曰わく『吾(わ)が身は成り成りて、成り合わず處(=処)一處(一か所)在り』

【訳】
天上界からオノゴロ島に降りたたれたイザナギとイザナミは、高天原につながる天之御柱(あめのみはしら)という大きな柱と、とても大きな宮殿をお建てになりました。
そしてイザナギは、妹のイザナミに対し『アナタの身体はどんなふうになっていますか?』とお尋ねになりました。
なのでイザナミは『私の身体は出来上がっているのですが、出来切っていない(=足りない)所が一か所あります』とお答えになりました。

【解説】
於其嶋 天降坐而 見立 天之御柱 見立 八尋殿
「於其嶋」は「其(そ)の嶋に於(お)いて」、其の島とは勿論オノゴロ島のことです。

「天降」は「あまくだり」と読んでも良いのですが、古代では「あもる」と読んでいました。
意味は同じで文字通り「天上界から地上界に降下する」です。
いもみの日記では「あもる」の読み方を採用しています。

「坐」は何度か登場していますね。
おさらいしますと「おわす、まします」と読みます。
「いる、行く、ある」の尊敬語です。

「見立」はそのままです。「みたて(つ)」と読みます。
「しっかり見定めて立てる」といった意味でしょう。
正直「立」だけの方が意味が分かりやすいのです。

「天之御柱」は「あめのみはしら」と読みます。
地上(オノゴロ島)から高天原につながる大きな柱です。

数字の「八」の意味について

「八尋殿」は「やひろどの」と読みます。
「大きな殿舎」という意味です。

ここは少し補足して説明しますね。
「八」という数字は、単に「8つ」という意味だけでなく「多くの~」という意味でも使われていました。
例えば有名な【八岐大蛇(やまたのおろち)】の「八」も八つの頭がある、という説が有名ですが「多くの頭を持った蛇」的な意味や、「いやいや【八岐】とは川の支流が幾つにも別れている様を言うのだ」的な説もあります。

従って、「八尋殿」は「八(多くの~)+尋(広い)+殿」で「とても広い宮殿」という意味になるのです。
※「『八尋殿』を建てた」も正しい訳だと思いますが…。

直訳すれば「その島において、天上界から地上界に降下して行かれ、天之御柱と八尋殿をしっかり見定めて立てました」という感じでしょうか。
これでは分かりずらいので
「天上界からオノゴロ島に降りたたれたイザナギとイザナミは、高天原につながる天之御柱(あめのみはしら)という大きな柱と、とても大きな宮殿をお建てになりました」と訳しました。


於是 問其妹 伊邪那美命曰 汝身者 如何成
難しい部分は無いと思うので、このまま行ってみましょう。
まず読みとしては…
「是(ここ)に於(お)いて其(そ)の妹(いも)伊耶那美命(いざなみのみこと)に問いて曰(いわ)く、『汝(なんじ)の身は如何(いかん)成る』」
直訳すると…
「(イザナギは)その妹のイザナミ命に質問して言ったのは『アナタの身体はどんな風になっているか』」。
?マークなどを付けて...
「そしてイザナギは、妹のイザナミに対し『アナタの身体はどんなふうになっていますか?』とお尋ねになりました」

...かなり変た…マズい質問です。
現代社会で、兄が妹に「キミの身体はどんなふうになっているの?」と聞いたりしたら、警察沙汰になるかもしれません。
でも、これは日本神話。
だから大丈夫なんです(?)


答曰 吾身者 成成 不成合處一處在
「處」は「処」、つまり「ところ」です。

「成成 不成合處一處在」は、ちょっと独特な言い回しですね。
ここを整理するとこんな感じだと思います。
・成成
➩動詞+目的語➩成るべき形(目的語)に成った(動詞)
・不成合
➩成り合わず(不)處
・一處在
➩~の處(=処)が1つ在る

なのでこの文を読むと…
「答えて曰わく『吾(わ)が身は成り成りて、成り合わず處(=処)が一處(一か所)在り』」でしょうか。
おおよその意味では
「私の身体は成るべき形になりましたが、未だ出来切っていない部分が一か所あります」です。

「なんなのこれ?」という方もいると思います。
これは女性(イザナミ)の身体の特徴を答えているシーンなのです。
つまり、女性凹んでいる部分を言っています。
凄く訳しずらいですね、ここ...💦

そんな訳でここは「『私の身体は出来上がっているのですが、出来切っていない(=足りない)所が一か所あります』とお答えになりました」
で良いと思います。


以上で『古事記』本文上巻⑧~柱を廻って結婚する(1)~のご紹介はおしまいです。

次回は『古事記』本文上巻⑨~柱を廻って結婚する(2)~をご紹介する予定です。

ここまで読んで頂きありがとうございました_(..)_
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本日のオマケ

『古事記』本文上巻⑦~オノゴロ島(2)~

こんばんは、いもみ🍠です。
本日は、『『古事記』本文上巻⑦~オノゴロ島(2)~』のご紹介です。

こんばんは、アキです。
主に翻訳と解説を担当しています。


【前回のあらすじ】
神世七代のイザナギ・イザナミが誕生された後、天界の神様たちは「これを使ってこのフワフワな大地を固めて、国土を使えるようにしなさい」と仰せになり、イザナギとイザナミの2神に天沼矛(あめのぬぼこ)を賜りました。

本日はオノゴロ島がどのように出来上がったかが描かれます。
「島はどうやって出来たのか?」と問われれば、現代では「噴火して盛り上がった」みたいな回答になるでしょう。
しかし、日本神話においては島は【下から盛り上がった】のではなくて【上(天)から滴り落ちて出来た】という回答を用意しています。
もし私達が噴火のメカニズムを全く知らない状態で、同じ質問をされたら答えることが出来たでしょうか??
自分が分からない質問をされて「知らない」と言えずに、何か答えを用意しなければならないって凄く難しいことだと思うんですよね。
古事記のこういう所が、私は好きです。


『古事記』本文上巻⑦~オノゴロ島(2)~

【原文と読み方】
【原文】
故 二柱神立 天浮橋而
(訓立云多多志)
指下 其沼矛以 畫者
鹽 許袁呂 許袁呂邇 
(此七字以音)
畫鳴而
(訓鳴云那志) 
引上時 自其矛末 垂落之鹽 累積成嶋
是 淤能碁呂嶋 (自淤以下四字以音)

【読み方】
故(ゆえ)に二柱の神、天浮橋(あめのうきはし)に立たして
(「立」の訓(よ)みは、「多多志(たたし)」と云う)
其(そ)の沼矛(ぬぼこ)を以(もち)いて指(さ)し下(おろ)して畫(か=画)きたまい
鹽(しお=塩)をコォロコォロ二
(此の七字は音を以いる)
畫(か)き鳴して
(「鳴」の訓(よ)みは、「那志(なし)」と云う)
引き上げたまひし時、其(そ)の矛の末(さき)より垂(た)れ落ちの鹽(しお=塩)の累(かさ)ね積りて成れる島は
淤能碁呂(おのごろ)島なり

【訳】
そこで、御二方の神様は天と地を繋ぐ天浮橋(あめのうきはし)にお立ちになって、まだフワフワで固まっていない大地に向けて天沼矛を下し、描くようにしてかきまわしました。
(註:【立】の字は【多多志(たたし)】と訓(よ)んでください)
海水をコォロ、コォロと音を立ててかき回しました。
(註:【許袁呂 許袁呂邇】の7文字は音読みです)
(註:【鳴】の字は【那志(なし)】と訓(よ)んでください)
そのかき回した矛を引き上げると、矛の先についていたた海水の滴が垂れ落ちました。その海水は渇いて固まって塩となり、そして何層にも重なって積もり、やがて島となりました。
こうして出来た島をオノゴロ島と言います。
(註:「淤」から下の4文字は音読みで読んで下さい)


【解説】
故 二柱神 立天浮橋而(訓立云多多志) 指下其沼矛以 畫者
「天浮橋」は「あめのうきはし」と読みます。
その名の通り天上の浮き橋で、天と地を繋いでいる橋です。
このラピュタみたいな場所に立って、天沼矛でかき回したのです。

(訓立云多多志)は太安万侶の注釈です。
➩「立」の字は「多多志(たたし)」と訓(よ)んでね、ってことです。

「指下其沼矛以」は前後の文面から「其(そ)の沼矛(ぬぼこ)を以(もち)いて指(さ)し下(おろ)して」と読みました。
「指」が「矛を地面に指す(刺す)」意味なのか、「矛を地面を目指して(刺す)」意味なのか、微妙なんですけど後者のニュアンスで訳しました。

「畫者」も難しいですね。
「畫」は見慣れませんが、これは「画」です。
畫にしても画にしても意味は同じで、「かく」とそれに類似する意味しかありません。

ここも上の「指」と同じで、訳し方が2通りあると思いました。

・漢字の意味を考えないで読むだけの字の場合
 ➩「かく=掻く」で単に「掻きまわした」と訳すか...
・畫(画)の字が持つ意味でここを訳す場合
 ➩「かく=画く」なら「描くように動かした」と訳すか...

ただこれまでの太安万侶の注釈は「漢字の意味を考えないで読むだけの字の場合」に付いています。
上記の【訓立云多多志➩「「立」の字は「多多志(たたし)」と訓(よ)んでね」みたいな奴です。
(まぁ…「畫」は音読みでも、訓読みでも同じ「かく」と読む点が引っ掛かりますけど)

この文には注釈が付いていないので、ここは「畫(画)の字が持つ意味でここを訳せ」という事だろうか…と考え、結局両者を取り入れた美味しいトコ取りの「描くように掻きまわした」と訳すことにしました。
うん、これなら間違いではない!...と思う。

なお「者」は助詞で強調・仮定を表す言葉です。
これまで何度か登場してますね。

そんな訳で、ここは…
「そこで、御二方の神様は天と地を繋ぐ天浮橋(あめのうきはし)にお立ちになって、まだフワフワで固まっていない大地に向けて天沼矛を下し、描くようにしてかきまわしました。
(註:【立】の字は【多多志(たたし)】と訓(よ)んでください)」
と訳しました。


鹽 許袁呂 許袁呂邇 (此七字以音) 畫鳴 (訓鳴云那志) 而
「鹽」も見慣れない字ですが、これは「塩」です。
「塩」だけでなく「塩が多く含まれる」の意味もあって、「塩が多く含まれる」=「海、海水」を表しています。

【水をかき回す音を表現する】について

「許袁呂 許袁呂邇(此七字以音)」はつまり「許袁呂 許袁呂邇の此の7文字は音読みを以(用)いる」でしょう。
それぞれの漢字の音読みを列挙しますと…
許➩キョ、コ
袁➩エン、オン
呂➩ロ
邇➩ジ、ニ

おや?2通りの読みがあるんですけど…ちょっと幾つか並べてみましょう。
キョエンロ、キョエンロジ
キョオンロ、キョオンロ二
コエンロ、コエンロジ
...ナニコレ?

正解はコォロ、コォロだそうですが…。
確かにこの中から選ぶとしたら、これ以外はちょっと考えられないですね。
音が奇天烈すぎて...ところで邇(ジ、ニ)はドコ行った?
こんな感じでツッコミどころ満載です。

ちなみにいもみの家の洗濯機を回して、二人で水が回る音を聞いてみました。

...回すよ?(ピッ←スイッチ入れた)

...。

ゴゴン、ゴン、...ンンンンンゴゴゴゴォォ~、...ンンンンンゴゴゴゴォォ~!!
ザバッ、ンンンウウン...ザバッ、ンンンウウン...ガゴン!ウィッ、ウィッ...プシュウゥゥゥ...ピー、ピー。

...ねぇ、これって【水が回る音】じゃなくて【洗濯機の回る音】だよね。

...。

意味のない実験でした!!<(_ _)>💦

で、でも、水をかき回す音を表現するのは難しい!ってことは分かりましたよね?!💦💦

「畫鳴 (訓鳴云那志)」は「畫(か)き鳴(な)す」でしょう。
「畫」は上で説明したのでここは省略します。
注釈は「【鳴】の字は【那志(なし)】と訓(よ)んでください」ですね。

直訳すると「海水をコォロ、コォロとかきならす」でしょうか?
「海水を音を立ててかき回した」様子を伝えたいのかな?と考えて...「海水をコォロ、コォロと音を立ててかき回しました」と訳しました


引上時 自其矛末 垂落之鹽 累積成嶋
ここは島が出来るまでの流れを説明している文です。
難しい漢字も無いので、個々に説明するより流れでお話します。

前文:天沼矛をフワフワの地に入れてかき回した
    ⇩
①引上時:その矛を引き上げた時に
    ⇩
②自其矛末:その矛の末(=先っぽ)から
    ⇩
③垂落之鹽:海水が垂れ落ちた
    ⇩
④累積成嶋:(その垂れ落ちた海水が固まり)累積して嶋と成った
(読み方では「累(かさ)ね積もり」と読んでいます)
...という流れです。

「そのかき回した矛を引き上げると、矛の先についていたた海水の滴が垂れ落ちました。その海水は渇いて固まって塩となり、そして何層にも重なって積もり、やがて島となりました。」という感じで良いと思います。


是 淤能碁呂嶋 (自淤以下四字以音)
この文は太安万侶の注釈を読んでから出ないと、分かりません。
注釈の「淤能碁呂嶋 (自淤以下四字以音)」はつまり「淤能碁呂」の4文字を音読みして、という事ですので...
淤➩オ
能➩ノ(ウ)
碁➩ゴ
呂➩ロ
で「オノゴロ島」です。
コォロ、コォロよりは読み易かったですね!

「こうして出来た島をオノゴロ島と言います。
(註:「淤」から下の4文字は音読みで読んで下さい)」
と訳しました。

オノゴロ島について

簡単にまとめてみました。

【表記について】
→『古事記』では淤能碁呂嶋と書きますが、固まって出来たことから➩「自(おの)ずと凝(こる)り固まった島」➩「自凝島」とも表記されます。

【場所について】
オノゴロ島がどこにあったのか正確な場所は分かっていません。
ただ一般的には大阪湾のどこかではないかと考えられています。
これはイザナギ、イザナミが最初に国生みで生み出したのが淡路島であるため、地理的にも納得できます。

オノゴロ島の候補地として有名なのは...①絵島、②沼島「上立神岩(かみたてがみいわ)」という神秘的な岩石があります。
行ってみたい!
千葉から3泊4日で3万円でなんとか行けないかな~…

【その他】
①混同しがちですが、イザナギ・イザナミが初めに産んだ島は【淡路島】で、オノゴロ島は産んでいない

②オノゴロ島には【天界(高天原)に繋がる大きな柱】があった

③オノゴロ島が、国生み・神生みの拠点

④14の島と、35柱の神がここで生まれた

⑤島と神は産んだが、人間を産んだ描写はオノゴロ島も含め古事記には無い

...といったところでしょうか。


以上で『古事記』本文上巻⑦~オノゴロ島(2)~のご紹介はおしまいです。

次回はをご紹介する予定です。

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本日のオマケ

『古事記』本文上巻⑥~オノゴロ島(1)~

こんばんは、いもみ🍠です。
本日は、『『古事記』本文上巻⑥~オノゴロ島(1)~』のご紹介です。

こんばんは、アキです。
主に翻訳と解説を担当しています。


【前回のあらすじ】
上で記した誕生した神々のうち、國之常立神から伊邪那美神までの神々を、神世七代とお呼びします。
(註:上記の神世七代のうち、國之常立神と豐雲野神の2柱は独り神ですが、各々これを一代として数えます。國之常立神と豐雲野神の2柱の次に続く10柱の神々は、各々兄妹のお二方で一代としています)

世界開闢から別天つ神の誕生、そして神世七代の登場までが語れました。
今回からは神世七代の末っ子として生まれたイザナギ・イザナミを主人公にした物語が始まります。
2神は国生み➩神生みと成していくわけですが…ちょっと訳しづらい文面も出てきます。
個人的な意見なんですけど、このオノゴロ島あたりの表現が、ちょっとアレだから...。
古事記が小学生とかの授業に出さないのかな~…とか考えちゃいます。

『古事記』本文上巻⑥~オノゴロ島(1)~

【原文と読み方】
【原文】
於是 天神諸命以 詔 伊邪那岐命 伊邪那美命 二柱神
修理固成 是多陀用幣流之國 
賜 天沼矛而 言依賜也

【読み方】
是(ここ)に於(お)いて、天つ神諸(もろもろ)の命(みこと)以(もち=用)いて、伊耶那岐命(いざなぎのみこと)伊耶那美命(いざなみのみこと)の二柱の神に詔(みことのり=若しくは、みことをのり)たまひて
是(こ)の多陀用幣流(音読みで「ただよえる」=漂える)國を修理(しゅうり)し固め成(な)せと
天沼矛(あめのぬぼこ)を賜(たま)いて、言依(ことよさし)賜(たま)いき也

【訳】
神世七代のイザナギ・イザナミが誕生された後、天界の神様たちは「これを使ってこのフワフワな大地を固めて、国土を使えるようにしなさい」と仰せになり、イザナギとイザナミの2神に天沼矛(あめのぬぼこ)を賜りました。


【解説】
於是 天神諸命以 詔 伊邪那岐命 伊邪那美命 二柱神
「於是」は「是(ここ)に於(お)いて」と読みました。
つまり「神世七代のイザナギ・イザナミが生まれた段階に於いて」でしょう。

「天神諸命」は「命」の訳し方がややこしいですね。
「命じる」ではなく「天神諸々の命(みこと)」の方です。
「命」は「神様の名に添える敬称」という意味です。

なお「天神」とは「別天つ神」のこと以外に考えられません。
だって神世七代の前は、「別天つ神」しか存在していませんからね。

ですから「天神諸々の命(みこと)」は「別天つ神の方々が」。
ちょっと固いので「天界の神様たちが」って感じでしょう。

「詔」か「みことのり」ですね。
「天子の命令」という意味です。
ここは少し補足して説明してみようと思います。

「みことのり」について

漢字にすると「詔」「勅」があります。
この2つの違いについては、過去記事の『古事記』序文⑮~帝紀と本辞の誤り(1)~でも書きましたが、今一度おさらいしますと…

「詔」➩臨時の大事に用いる
「勅」➩尋常の小事に用いる

これは「公式令(くしきりょう)」という【文書での行政方法や政務の執行方法を規定した法典】にある「詔」と「勅」の使い分けに関する規定です。
「詔」の方がちょっと格が上、って感じですね。
ちなみに『古事記』に「勅」の字はほぼ出てきません。

ところで「みことのり」の漢字は「詔」「勅」以外にも「御言宣」があります。分解すると…
「御言(みこと)」➩つまり「神や天子のお言葉、命令」
「宣(のたまう)」➩「神・天子が下す言葉」
です。

まとめると「みことのり」には意味がほとんど同じだけど、3種類あるという事になります。
・御言宣➩御言(みこと)+宣(のたまう) 意味が分かりやすい
・詔➩臨時の大事に用いる 古事記はコレ!
・勅➩尋常の小事に用いる 古事記に殆ど出ない

以上「みことのり」についてでした<(_ _)>

呼び名が「神」から「命」に変わったのは何で?

「伊邪那岐命 伊邪那美命 二柱神」
前回にも書いたんですけど、「伊邪那岐・伊邪那美」は、古事記において一番最初の登場時は「伊邪那岐・伊邪那美
と「神(~のかみ)」なんですけど、ここから全て「命(~のみこと)」に表記が変わります。

う~ん...なんでですかね~…。
先に述べたように「命」は「神様の名に添える敬称」なので、「神」でも「命」でも意味はどちらもあんまり変わんないと思うんですけど…。

登場時➩「神」
別天つ神に命じられた後➩「命」

並べてみて最初に「はッ!まさか…!(゚Д゚)」と思ったのは、①「命じられた」からか?です。
いやいや、しかしこれでは弱い...
そして次に「はッ!ならば...これか?(゚Д゚)」と思ったのは、②「格」が違うからか??です。

【神社会(?)バージョン】
同じ神様でも…
・別天つ神→特別な神でとても偉い
・イザナギ達→普通の偉さ

両者は確かに共に神様ではあるけれど偉さ、格が違う。だから同列で【神】と書くのに抵抗があって差別化を図るために【神】と【命】を用いた…と考えるのは不自然ではないと思います。

【会社バージョン】
同じ取締役でも…常務と専務違うもんね!
・取締役専務→偉い。それ以上にエロい。
・取締役常務→偉い。まずはココを目指してる

両者は確かに共に役員ではあるけれど偉さ、格が違う。...っていうのと同じニュアンスで捉えています。
ちなみにうちの役員は決断力が弱い!もっとスピーディーに!下剋上しちゃうぞ??

以上、呼び名が「神」から「命」に変わったのは何で?の考察でした<(_ _)>

修理固成 是多陀用幣流之國 
「修理」は現代の意味と同じで良いと思います。
「壊れたのをなおすこと」の意味ですけど、これを下の様に補足した意味にすると、より分かりやすいかと思います。
「修理」=「なおして、再び使用できるようにすること」

「固成」は「固め成せ」、つまり「固めなさい」でしょう。

「多陀用幣流」はちょっと前に出てきた言葉ですね…覚えていますか??
天地開闢時の「クラゲ漂える~」の箇所です。
※『古事記』本文上巻②~別天つ神(2)~をご参照ください。

これは音読みして…
多陀用幣流➩ただようへいる➩ただよえる➩漂える、です。

これがわかれば後は簡単です。
「是(こ)の多陀用幣流(ただよえる=漂える)国を再び使用できるようになおして、固め成さい」でしょう。


賜 天沼矛而 言依賜也
「賜」は「たま(う)」です。
「目上の人が、目下の人に物を与える」みたいな意味です。
ここでは「別天つ神が、イザナギ達に与える」という感じです。

「言依」はとても難しかったです。
これで「ことよさし」と読みます。
意味は「ことづける、伝言する」でしょうか。

「言寄(ことよせ)」と似たような意味で使っている様です。
この文では主語が別天つ神なので、「ことづけた」ではなく「~と仰せになった」が妥当な訳だと思います。

「天沼矛」は「あめのぬぼこ」と読みます。
これでフワフワの大地をかき混ぜて固めろ、と命じられたわけです。

天沼矛...矛でかき混ぜたのは何故なのか?

天沼矛って、他にエピソード無いの?
あと何で、矛でかき混ぜたのかな??

「他のエピソード」は無いわ。
「矛でかき混ぜた」理由は…他に適した道具が見当たらなかったんじゃない??
※あくまでアキちゃんの考えです<(_ _)>💦

そんな理由なわけ無くない?

じゃあ逆に聞くけど、『橋の上に立って、下に流れてる川の水をかき混ぜて』と言われたら、いもみの家にそれが出来そうな道具ある?

え~?乙女の家にそんなものないよ~。

でしょ?
かき混ぜられる形状は、橋の上から川まで届く【長さ】と、かき混ぜるために必要な【面積】を兼ね備えた物でなければならないわけ。

それだったら、舟をこぐ「オール」とか巨大な「しゃもじ」とか「シャベル」とか...?

いもみのイメージでは、神様の家にオールとか、何に使うのか分からないけど巨大なしゃもじがある、と思ってるの?

う...でもシャベルはあるかもしんないじゃん!

いもみのイメージでは、「はい、じゃあこれでかき混ぜなさい」って神様がシャベルを渡してくるのね?

うう...。

ねっ?「矛以外でかき混ぜるのに適した道具が見当たらなかったから」説、なかなか信ぴょう性ありそうでしょ?

おしまい<(_ _)>

以上で『古事記』本文上巻⑥~オノゴロ島(1)~のご紹介はおしまいです。

次回は『古事記』本文上巻⑦~オノゴロ島(2)~をご紹介する予定です。

ここまで読んで頂きありがとうございました_(..)_
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本日のオマケ

『古事記』本文上巻⑤~神世七代(2)~

こんばんは、いもみ🍠です。
本日は、『『古事記』本文上巻⑤~神世七代(2)~』のご紹介です。

こんばんは、アキです。
主に翻訳と解説を担当しています。


【前回のあらすじ】
次に國之常立神(くにのとこたちのかみ)という名の神様が現れました。
(註:【常立】は上記の天之常立神と同じ様にで読んで下さい)
続いて豐雲野神(とよくもののかみ)という名の神様が現れました。
(註:【雲】は上声=高い声で発音して下さい)
これら2柱の神もまた皆、独り神であらせられ、やがてその姿をお隠しになりました。
次に宇比地邇神(うひぢにのかみ)
(註:【邇】は上声=高い声で発音して下さい)
次にその妹神である須比智邇神
(註:【邇】は去声=最初は強く、後半は弱く読んで下さい)
(註:この2神の名前は音読みで読んで下さい)

次に角杙神(つのぐひの)
次にその妹神である活杙神(いくぐひのかみ)
(註:角杙神・活杙神は二柱です)

次に意富斗能地神(おほとのぢのかみ)
次にその妹神である大斗乃辨神(おほとのべのかみ)
(註:この2神の名前もまた音で読んで下さい)

次に於母陀琉神(おもだるのかみ)
次にその妹神である阿夜訶志古泥神(あやかしこねのかみ)
(註:【夜】は上声=高い声で発音して下さい)
(註:この2神の名前は皆、音読みで読んで下さい)

次に伊耶那岐神(いざなぎのかみ)
次にその妹神である伊耶那美神(いざなみのかみ)。
(註:この2神の名前もまた、上記の様に音読みで読んで下さい)

別天つ神に続き、神代七代の神々が登場。
これまで姿形の無かった存在から、男女の姿を持ち人間と同じ姿の神様がとうとう登場しました。
今回は、この神世七代について書いておこうと思います。

『古事記』本文上巻⑤~神世七代(2)~

【原文と読み方】
【原文】
上件 自國之常立神以下 伊邪那美神以前 并稱神世七代。
(上二柱 獨神各云一代 次雙十神 各合二神云一代也)

【読み方】
上の件、國の常立の神より下(しも)、伊耶那美(いざなみの)神より前(さき)を、并(あ=併)はせて神世七代(かみよななよ)と云う
上の二柱、獨神(ひとりがみ)は各(おのおの)一代と云(い)い 次に雙(なら=双)ぶ十神は各(おのおの)二神を合わせて一代と云う

【訳】
上で記した誕生した神々のうち、國之常立神から伊邪那美神までの神々を、神世七代とお呼びします。
(註:上記の神世七代のうち、國之常立神と豐雲野神の2柱は独り神ですが、各々これを一代として数えます。國之常立神と豐雲野神の2柱の次に続く10柱の神々は、各々兄妹のお二方で一代としています)


神世七代について

神世七代(かみのよななよ)は、別天つ神の次に現れた十二柱の神(下記参照)を言います。

【神世七代】
赤字は女神です。

一代目 國之常立神(くにのとこたちのかみ)
二代目 豐雲野神(とよぐもぬのかみ) 
三代目 宇比地邇神・須比智邇神(うひぢにのかみ・すひぢにのかみ
四代目 角杙神・活杙神(つぬぐいのかみ・いくぐいのかみ
五代目 意富斗能地神・大斗乃辨神(おおとのぢのかみ・おおとのべのかみ
六代目 於母陀琉神・阿夜訶志古泥神(おもだるのかみ・あやかしこねのかみ
七代目 伊耶那岐神・伊耶那美神(いざなぎのかみ・いざなみのかみ

ちょっとポイントをまとめてみましょう。

Q1.神世七代は何をした神様なのか?

神世七代はどういうエピソードがあるの?

イザナミ・イザナギ以外、何にもありません。
記載が無いので何をしたのかも分かりません。
名前に土や杭などの文字が入っているため、次の様な神様であると思われます。
※間違っているかもしれませんので、ご注意ください💦

【神世七代は何を司っているのか】
・國之常立神(くにのとこたちのかみ)
 →「国土が固まった」の象徴?
・豐雲野神(とよぐもぬのかみ) 
 →雲(空)と野(大地)で「空や大地」の象徴
・宇比地邇神・須比智邇神(うひぢにのかみ・すひぢにのかみ
 →宇(泥)、須(砂)で「泥砂」の象徴
・角杙神・活杙神(つぬぐいのかみ・いくぐいのかみ
 →宇(泥)、須(砂)を固める杭で「生物の生育」の象徴
・意富斗能地神・大斗乃辨神(おおとのぢのかみ・おおとのべのかみ
 →斗(戸、門)で「家屋」の象徴
・於母陀琉神・阿夜訶志古泥神(おもだるのかみ・あやかしこねのかみ
 →男女の容姿を褒める言葉(詳しくは過去記事【「足の病を治す」山頂にある足尾神社に行って来ました!】をご覧ください<(_ _)>)
・伊耶那岐神・伊耶那美神(いざなぎのかみ・いざなみのかみ
 →人類の起源・創造神

こうして見て行くとちょっとしたストーリーになっている様ですね?
「国土が生まれ」➩「空や大地が生まれ」➩「大地は泥砂だったけど」➩「杭が打たれて生物が生成され」➩「家屋が出来た」➩「男女の営みができた」➩「人が生まれた」って感じでしょうか?

Q2.神世七代のポイントは?

神世七代の覚えておきたいポイントはある?

イザナミ・イザナギ以外、特にありません。
記載が無いので何をしたのかも分かっていないので。

それ、一問目でも同じこと言ってたじゃん。

ギクッ!
ポイントはこんな感じでいいんじゃないでしょうか?

【神世七代で覚えときたいポイント】

①一代目の國之常立神、二代目の豐雲野神は姿形が無い&姿を隠した
②三代目の宇比地邇神・須比智邇神から姿があった&姿を隠さなくなった
③兄妹でもあり夫婦でもある
④つまりここで初めて【男女の形】が出来上がった
⑤重要な神様の様だが、相変わらず出番は無い
⑥日本書記とは少し違っている
⑦これ以降、伊耶那岐神・伊耶那美神の「神」という表記が無くなる
...って所でしょうか?

う~ん...そうなると、イザナギ・イザナミ以外は覚えなくても…忘れちゃっても大丈夫かな??

確かに覚えなくても…忘れてしまったとしても、読み進める上で支障はないかもしれないわ。


【解説】
上件 自國之常立神以下 伊邪那美神以前 并稱神世七代
「上件」は「上に記したもの」といった意味で良いと思います。

「自」は文面から考えるに、おそらく助詞でしょう。
「自」には「起点を表す」意味があります。「~から、~より」といった感じかな?

國之常立神以下 伊邪那美神以前」は
國之常立神以(より)下、伊邪那美神以(より)前、自(からを~)という感じになるでしょうか。

「并」は「併」で「あわせて」という意味ですね。
「稱」は一見難しいのですが…これは「称」です。
ここは「称する、呼び名」という意味でしょう。

直訳すると…
「上に記したもの、國之常立神より下、伊邪那美神より前からを、併せて神世七代と称します」
このままでもいいんですが…
「上で記した誕生した神々のうち、國之常立神から伊邪那美神までの神々を、神世七代とお呼びします」としてみました。

(上二柱 獨神各云一代)
ここからは太安万侶による注釈です。
「上二柱」は國之常立神と豐雲野神のことです。

「獨神各云一代」は「獨神(ひとりがみ)は各(おのおの)一代と云(い=言)う」と読みました。
神世七代はその名の通り、七代あります。
男女一組で1代とカウントしますが、國之常立神と豐雲野神だけは独り神だけどこれはこれで1代とカウントしてるよ、ってことです。
下をご覧ください<(_ _)>

【神世七代】
一代目 國之常立神
二代目 豐雲野神 ⇦ここまで独り神
三代目 宇比地邇神・須比智邇神
四代目 角杙神・活杙神
五代目 意富斗能地神・大斗乃辨神
六代目 於母陀琉神・阿夜訶志古泥神
七代目 伊耶那岐神・伊耶那美神

直訳では少し言葉が足らない気がしたので...
「上記の神世七代のうち、國之常立神と豐雲野神の2柱は独り神ですが、各々これを一代として数えます」と訳してみました。

(次雙十神 各合二神云一代也)
「雙」は「双」です。
「双」には「「なら(ぶ)」という意味と読みがあります。
昨日もお話した様に「独り神」に対し、2神一組を「双神(ならびかみ)」と言います。

「次に雙(双=なら)ぶ10の神々は、各(おのおの)2神を合わせて一代と云う」
つまりこの文は、上記の【神代七代】の3代目~7代目は2神で1代だよ、と言っているのです。

なのでここは「(國之常立神と豐雲野神の2柱の)次に続く10柱の神々は、各々兄妹のお二方で一代としています」で良いかと思います。


以上で『古事記』本文上巻⑤~神世七代(2)~のご紹介はおしまいです。

次回は『古事記』本文上巻⑥~オノゴロ島(1)~をご紹介する予定です。

ここまで読んで頂きありがとうございました_(..)_
本日のおまけは一番下にあります。

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