いもみの日記

御朱印集めが趣味のOL(お芋好き女子)です。いろんな神社やグルメを紹介します!

『古事記』本文上巻⑦~オノゴロ島(2)~

こんばんは、いもみ🍠です。
本日は、『『古事記』本文上巻⑦~オノゴロ島(2)~』のご紹介です。

こんばんは、アキです。
主に翻訳と解説を担当しています。


【前回のあらすじ】
神世七代のイザナギ・イザナミが誕生された後、天界の神様たちは「これを使ってこのフワフワな大地を固めて、国土を使えるようにしなさい」と仰せになり、イザナギとイザナミの2神に天沼矛(あめのぬぼこ)を賜りました。

本日はオノゴロ島がどのように出来上がったかが描かれます。
「島はどうやって出来たのか?」と問われれば、現代では「噴火して盛り上がった」みたいな回答になるでしょう。
しかし、日本神話においては島は【下から盛り上がった】のではなくて【上(天)から滴り落ちて出来た】という回答を用意しています。
もし私達が噴火のメカニズムを全く知らない状態で、同じ質問をされたら答えることが出来たでしょうか??
自分が分からない質問をされて「知らない」と言えずに、何か答えを用意しなければならないって凄く難しいことだと思うんですよね。
古事記のこういう所が、私は好きです。


『古事記』本文上巻⑦~オノゴロ島(2)~

【原文と読み方】
【原文】
故 二柱神立 天浮橋而
(訓立云多多志)
指下 其沼矛以 畫者
鹽 許袁呂 許袁呂邇 
(此七字以音)
畫鳴而
(訓鳴云那志) 
引上時 自其矛末 垂落之鹽 累積成嶋
是 淤能碁呂嶋 (自淤以下四字以音)

【読み方】
故(ゆえ)に二柱の神、天浮橋(あめのうきはし)に立たして
(「立」の訓(よ)みは、「多多志(たたし)」と云う)
其(そ)の沼矛(ぬぼこ)を以(もち)いて指(さ)し下(おろ)して畫(か=画)きたまい
鹽(しお=塩)をコォロコォロ二
(此の七字は音を以いる)
畫(か)き鳴して
(「鳴」の訓(よ)みは、「那志(なし)」と云う)
引き上げたまひし時、其(そ)の矛の末(さき)より垂(た)れ落ちの鹽(しお=塩)の累(かさ)ね積りて成れる島は
淤能碁呂(おのごろ)島なり

【訳】
そこで、御二方の神様は天と地を繋ぐ天浮橋(あめのうきはし)にお立ちになって、まだフワフワで固まっていない大地に向けて天沼矛を下し、描くようにしてかきまわしました。
(註:【立】の字は【多多志(たたし)】と訓(よ)んでください)
海水をコォロ、コォロと音を立ててかき回しました。
(註:【許袁呂 許袁呂邇】の7文字は音読みです)
(註:【鳴】の字は【那志(なし)】と訓(よ)んでください)
そのかき回した矛を引き上げると、矛の先についていたた海水の滴が垂れ落ちました。その海水は渇いて固まって塩となり、そして何層にも重なって積もり、やがて島となりました。
こうして出来た島をオノゴロ島と言います。
(註:「淤」から下の4文字は音読みで読んで下さい)


【解説】
故 二柱神 立天浮橋而(訓立云多多志) 指下其沼矛以 畫者
「天浮橋」は「あめのうきはし」と読みます。
その名の通り天上の浮き橋で、天と地を繋いでいる橋です。
このラピュタみたいな場所に立って、天沼矛でかき回したのです。

(訓立云多多志)は太安万侶の注釈です。
➩「立」の字は「多多志(たたし)」と訓(よ)んでね、ってことです。

「指下其沼矛以」は前後の文面から「其(そ)の沼矛(ぬぼこ)を以(もち)いて指(さ)し下(おろ)して」と読みました。
「指」が「矛を地面に指す(刺す)」意味なのか、「矛を地面を目指して(刺す)」意味なのか、微妙なんですけど後者のニュアンスで訳しました。

「畫者」も難しいですね。
「畫」は見慣れませんが、これは「画」です。
畫にしても画にしても意味は同じで、「かく」とそれに類似する意味しかありません。

ここも上の「指」と同じで、訳し方が2通りあると思いました。

・漢字の意味を考えないで読むだけの字の場合
 ➩「かく=掻く」で単に「掻きまわした」と訳すか...
・畫(画)の字が持つ意味でここを訳す場合
 ➩「かく=画く」なら「描くように動かした」と訳すか...

ただこれまでの太安万侶の注釈は「漢字の意味を考えないで読むだけの字の場合」に付いています。
上記の【訓立云多多志➩「「立」の字は「多多志(たたし)」と訓(よ)んでね」みたいな奴です。
(まぁ…「畫」は音読みでも、訓読みでも同じ「かく」と読む点が引っ掛かりますけど)

この文には注釈が付いていないので、ここは「畫(画)の字が持つ意味でここを訳せ」という事だろうか…と考え、結局両者を取り入れた美味しいトコ取りの「描くように掻きまわした」と訳すことにしました。
うん、これなら間違いではない!...と思う。

なお「者」は助詞で強調・仮定を表す言葉です。
これまで何度か登場してますね。

そんな訳で、ここは…
「そこで、御二方の神様は天と地を繋ぐ天浮橋(あめのうきはし)にお立ちになって、まだフワフワで固まっていない大地に向けて天沼矛を下し、描くようにしてかきまわしました。
(註:【立】の字は【多多志(たたし)】と訓(よ)んでください)」
と訳しました。


鹽 許袁呂 許袁呂邇 (此七字以音) 畫鳴 (訓鳴云那志) 而
「鹽」も見慣れない字ですが、これは「塩」です。
「塩」だけでなく「塩が多く含まれる」の意味もあって、「塩が多く含まれる」=「海、海水」を表しています。

【水をかき回す音を表現する】について

「許袁呂 許袁呂邇(此七字以音)」はつまり「許袁呂 許袁呂邇の此の7文字は音読みを以(用)いる」でしょう。
それぞれの漢字の音読みを列挙しますと…
許➩キョ、コ
袁➩エン、オン
呂➩ロ
邇➩ジ、ニ

おや?2通りの読みがあるんですけど…ちょっと幾つか並べてみましょう。
キョエンロ、キョエンロジ
キョオンロ、キョオンロ二
コエンロ、コエンロジ
...ナニコレ?

正解はコォロ、コォロだそうですが…。
確かにこの中から選ぶとしたら、これ以外はちょっと考えられないですね。
音が奇天烈すぎて...ところで邇(ジ、ニ)はドコ行った?
こんな感じでツッコミどころ満載です。

ちなみにいもみの家の洗濯機を回して、二人で水が回る音を聞いてみました。

...回すよ?(ピッ←スイッチ入れた)

...。

ゴゴン、ゴン、...ンンンンンゴゴゴゴォォ~、...ンンンンンゴゴゴゴォォ~!!
ザバッ、ンンンウウン...ザバッ、ンンンウウン...ガゴン!ウィッ、ウィッ...プシュウゥゥゥ...ピー、ピー。

...ねぇ、これって【水が回る音】じゃなくて【洗濯機の回る音】だよね。

...。

意味のない実験でした!!<(_ _)>💦

で、でも、水をかき回す音を表現するのは難しい!ってことは分かりましたよね?!💦💦

「畫鳴 (訓鳴云那志)」は「畫(か)き鳴(な)す」でしょう。
「畫」は上で説明したのでここは省略します。
注釈は「【鳴】の字は【那志(なし)】と訓(よ)んでください」ですね。

直訳すると「海水をコォロ、コォロとかきならす」でしょうか?
「海水を音を立ててかき回した」様子を伝えたいのかな?と考えて...「海水をコォロ、コォロと音を立ててかき回しました」と訳しました


引上時 自其矛末 垂落之鹽 累積成嶋
ここは島が出来るまでの流れを説明している文です。
難しい漢字も無いので、個々に説明するより流れでお話します。

前文:天沼矛をフワフワの地に入れてかき回した
    ⇩
①引上時:その矛を引き上げた時に
    ⇩
②自其矛末:その矛の末(=先っぽ)から
    ⇩
③垂落之鹽:海水が垂れ落ちた
    ⇩
④累積成嶋:(その垂れ落ちた海水が固まり)累積して嶋と成った
(読み方では「累(かさ)ね積もり」と読んでいます)
...という流れです。

「そのかき回した矛を引き上げると、矛の先についていたた海水の滴が垂れ落ちました。その海水は渇いて固まって塩となり、そして何層にも重なって積もり、やがて島となりました。」という感じで良いと思います。


是 淤能碁呂嶋 (自淤以下四字以音)
この文は太安万侶の注釈を読んでから出ないと、分かりません。
注釈の「淤能碁呂嶋 (自淤以下四字以音)」はつまり「淤能碁呂」の4文字を音読みして、という事ですので...
淤➩オ
能➩ノ(ウ)
碁➩ゴ
呂➩ロ
で「オノゴロ島」です。
コォロ、コォロよりは読み易かったですね!

「こうして出来た島をオノゴロ島と言います。
(註:「淤」から下の4文字は音読みで読んで下さい)」
と訳しました。

オノゴロ島について

簡単にまとめてみました。

【表記について】
→『古事記』では淤能碁呂嶋と書きますが、固まって出来たことから➩「自(おの)ずと凝(こる)り固まった島」➩「自凝島」とも表記されます。

【場所について】
オノゴロ島がどこにあったのか正確な場所は分かっていません。
ただ一般的には大阪湾のどこかではないかと考えられています。
これはイザナギ、イザナミが最初に国生みで生み出したのが淡路島であるため、地理的にも納得できます。

オノゴロ島の候補地として有名なのは...①絵島、②沼島「上立神岩(かみたてがみいわ)」という神秘的な岩石があります。
行ってみたい!
千葉から3泊4日で3万円でなんとか行けないかな~…

【その他】
①混同しがちですが、イザナギ・イザナミが初めに産んだ島は【淡路島】で、オノゴロ島は産んでいない

②オノゴロ島には【天界(高天原)に繋がる大きな柱】があった

③オノゴロ島が、国生み・神生みの拠点

④14の島と、35柱の神がここで生まれた

⑤島と神は産んだが、人間を産んだ描写はオノゴロ島も含め古事記には無い

...といったところでしょうか。


以上で『古事記』本文上巻⑦~オノゴロ島(2)~のご紹介はおしまいです。

次回はをご紹介する予定です。

ここまで読んで頂きありがとうございました_(..)_
本日のおまけは一番下にあります。

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