こんばんは、いもみ🍠です。
本日は、『古事記』本文上巻64~イザナギ怒って隠居する~のご紹介です。
こんばんは、アキです。
主に翻訳と解説を担当しています。
「何故お前は私が命じた海原を統治せずに泣き喚いているのか?」
これに対しスサノオはこうお答えになりました。
「私は亡き母上がいる根之堅洲國に行きたいと願い望んでいるために泣いているのです」
亡き母に会いたいがために泣く。
とても自然なことだと思います。
しかしスサノオは、イザナギの禊で生まれました。
つまり母(イザナミ)はいないんじゃ…?
とても自然な疑問だと思います。
『古事記』本文上巻64~イザナギ怒って隠居する~
爾 伊邪那岐大御神 大忿怒 詔
然者 汝不可住此國
乃 神夜良比爾 夜良比賜也(自夜以下七字以音)
故 其伊邪那岐大神者 坐 淡海之多賀也
【読み方】
爾(ここ)に伊耶那岐大御神(いざなぎおおみかみ)大(おお)いに忿怒(ふんぬ)して詔(の)りたまはく、
「然(しか)らば汝(なんじ)は此(こ)の國に不可住(すまわざるべし)」
乃(すなわ)ち、神(かむ)夜良比爾(やらひに)夜良比(やらひ)賜(たま)わりき
(【夜】自(よ)り以下の七字は音を以(もち)いる)
故(かれ)其(そ)の伊邪那岐大神者(いざなぎおおみかみ)、淡海(あわじ=淡路)之(の)多賀(たが)に坐(ましま)す
「役目を果たさないと言うのならば、お前はもうこの国に住んではならない!」
と言って、スサノオを追放してしまったのです。
(註:神夜良比爾 夜良比は【夜】から以下の7字は音読みを用いて【やらひにやらひ】と読んで下さい)
そしてイザナギは、淡路の多賀の社に(※「近江の多賀神社」の説もあります)行かれました。
「忿怒」は「ふんぬ」と読みました。
※「ふんど」でも良いと思います。何故「ふんぬ」と呼んだかは後述します<(_ _)>
意味は「ひどく怒ること」ですね。
【呉音】について
なお「ふんぬ」という読み方は呉音と言います。
呉音はザックリですが簡単に言うと、中国南部の漢字音です。
この呉音に対し、中国北部の漢字音を漢音と言います。
普段私達が使用しているのは漢音なのですが、古事記では訓読みと共に呉音が当て字されています。
呉音が日本に伝わってきたのは、実は漢音より古く(漢音は7~8世紀頃日本に伝わった様ですよ)、その為歴史の古い言葉などには呉音が使われていることが多いのです。
また人名や仏教用語などにも呉音が用いられているようです。
なので「忿怒」を呉音の「ふんぬ」と読んでみました。
以上【呉音】についてでした<(_ _)>
「不可住」ですが、漢字を見れば「あ~『住んじゃダメ』って事ね?」と分かりますが、読み方はちょっと難しくないですか?
「不可」を「ふか」と読んでしまうと、わけ分からなくなるので私は「不可住(すまわざるべし)」と読みました。
「可」には訓読みで「~べし」という読み方があるのでこれを採用、「不可」を「~ざるべし」と読んでみました。
・乃 神夜良比爾 夜良比賜也(自夜以下七字以音)
ここはまず太安万侶の注釈(自夜以下七字以音)から見て行きます。
(自夜以下七字以音)➩「【夜】自(よ)り以下の7字は音を以(もち)いる」➩「神夜良比爾 夜良比は【夜】から以下の7字は音読みを用いて【やらひにやらひ】と読んで下さい」でしょう。
なので「神夜良比爾 夜良比」は「神(かむ)やらひにやらひ」と読みます。
と言っても「やらひにやらひ」と言われても意味が分かりません。
なので調べてみました。
まず「やらひ」は「遣らひ」と書きます。
意味は「追い払う、追い出す」です。
ちなみに節分で「鬼は外」とやりますよね?
「鬼を追い払う」儀式は平安時代に既に行われていました。
この儀式を【追儺(ついな)】と言います。
疫鬼や疫神を払う儀式である【追儺(ついな)】。
色んな呼び名があって、この中に【鬼儺(おにやらい)】という呼び名があります。
この「おにやらい」は「鬼遣」という表記もあるのです。
疫鬼を追い払う儀式=追儺(ついな)=鬼儺(おにやらい)=鬼遣、という事ですね。
これで「遣(やらい)」が「追い払う」意味だと分かるかと思います。
え?説明が長いですか??
ははははは...(笑ってごまかす)
この文の意味は「乃ち、神を追い払ってしまいました」となります。
ここで言う「神」とは勿論「スサノオ」のことですから「スサノオを追い払ってしまいました」で良いと思います。
・故 其伊邪那岐大神者 坐 淡海之多賀也
「坐」は「ましま(す)」と読みます。
「おわ(す)」とも読むのですが、この二つの読み方に共通するのは尊敬語という所ですね。
意味は「いる、ある、行く」です。
「淡海之多賀」は「淡海(おうみ)の多賀」と読めます。
なので「淡海(おうみ)」=「近江(現在の滋賀県)」の事だから、「淡海之多賀」とは「近江(滋賀県)にある多賀神社」という説もあります。
ちなみに地図はこちらです。
ですが、日本書記にはイザナギは「構幽宮於淡路之洲(淡路島の幽宮に構えた)」とあることから「淡海」は「淡路(島)」のことであるようです。
確かにイザナギが愛する妻であるイザナミと初めて生んだ国に戻った...と考えるのが妥当な気がします。
なので今回の読みと訳でも「淡海」=「淡路(島)」説を取っています。
ちなみにココ。
以上で『古事記』本文上巻64~イザナギ怒って隠居する~のご紹介はおしまいです。
次回は『古事記』本文上巻65~天地が揺れて誤解する~をご紹介する予定です。
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ここまで読んで頂きありがとうございました_(..)_
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