いもみの日記

御朱印集めが趣味のOL(お芋好き女子)です。いろんな神社やグルメを紹介します!

『古事記』本文上巻63~スサノオ追放~

こんばんは、いもみ🍠です。
本日は、『古事記』本文上巻63~スサノオ追放~のご紹介です。

こんばんは、アキです。
主に翻訳と解説を担当しています。

【前回のあらすじ】
スサノオがあまりに激しく泣くので、山は枯れ、川も海も干上がってしまうという有様でした。
泣いてばかりで海原を統治しないために、悪しき神々の気配が世界に満ちあふれ、あらゆる荒ぶる神々はますます盛んになりました。

登場したばかりですが、泣いてばかりで統治放棄。
山は枯れるわ、海川は干上がるわ...挙句に悪神まで溢れ出すわ...。
困ったもんです。
「ところで何で泣いてるの?」という事が今回明らかになります。


『古事記』本文上巻63~スサノオ追放~

【原文と読み方】
【原文】
故 伊邪那岐大御神 詔 速須佐之男命
何由以汝 不治所事依之國而 哭伊佐知流 
爾答白 僕者欲 罷妣國 根之堅洲國 故哭

【読み方】
故(かれ)伊耶那岐大御神(いざなぎのおおみかみ)速須佐男命(すさのおのみこと)に詔(の)りたまはく
「何(なに)に由(より)て汝(なんじ)を以って、言依(ことよ)せ之(の)國を不治(おさめず)して哭き伊佐知流(いさちる)」
爾(ここ)に答え白(もうす)
「僕(やつがれ)は妣(なきはは)の國の根之堅洲國(ねのかたすくに)に罷(まか)らんと欲(ほ)るが故(ゆえ)に哭(な)く」

【訳】
その有様を見たイザナギが、スサノオに仰せになられました。
「何故お前は私が命じた海原を統治せずに泣き喚いているのか?」
これに対しスサノオはこうお答えになりました。
「私は亡き母上がいる根之堅洲國に行きたいと願い望んでいるために泣いているのです」

【スサノオMemo】

【解説】
故 伊邪那岐大御神 詔 速須佐之男命
「伊邪那岐大御神(いざなぎのおおみかみ)」とイザナギの名前がここから変わっています。
この変化については後述の【イザナギの名前が変わっている】についてをご覧ください<(_ _)>
この解説の下にありますよ。


何由以汝 不治所事依之國而 哭伊佐知流
「由」は読み方に悩んだのですが、名のりで「より」と読むのでこれを採用しました。
意味は「理由、わけ」です。
なので「何由以汝」は「何(なに)に由(より)て汝(なんじ)を以って」と読みました。
「どういう理由で貴方は~なのか?」という感じの意味でしょう。

「言依」は以前も出てきましたね。
「ことよせ」と読みます。
意味は「委ねる」です。
つまり「不治所事依之國而」は「委ねた国を治めない」という感じですね。

「哭伊佐知流」についてですが、ここを読むには少し前に登場した文を思い出さなければなりません。
『古事記』本文上巻61~スサノオ泣く~で登場した『啼伊佐知伎也(自伊下四字以音 下效此)』の部分です。

もう一度説明しますと、まずこの文は…
①『伊佐知伎の【伊】から下の4字は音読みを用いて【いさちき】と読んで下さい。以下もこれに倣い読んで下さい』と訳します。
②なので『啼伊佐知伎』は『啼いさちき』と読みます。
③「いさちき(いさちる)」は「はげしく泣く、慟哭、泣き叫ぶ」という意味です。
...でした。

ここでポイントは①の『伊佐知伎は【いさちき】と読む。以下もこれに倣い読む』です。
つまり「哭伊佐知流」は「伊佐知伎」に倣い読めば良いのです。
従って「哭伊佐知流」の「伊佐知流」は音読みで「いさちる」と読みます。
言葉の意味は同じですね。


爾答白 僕者欲 罷妣國 根之堅洲國 故哭
「答白」は以前『古事記』本文上巻㊴~黄泉の国の食べ物を食べたので~でも出てきました。

この「白」には...
訓読みで「もうす」。
意味として「ありのままに言う、申し上げる」とあったので、ちょっと自信が無いけど「答え白(もうす)」と読むことにしました。
なので今回もこの読み方で行きます。

「欲」は「ほ(る)」と読むと思います。
ですが「ほっ(す)」でもいいかも...?
ここでの意味は「願う、望む」で良いでしょう。

「罷」は「まか(る)」と読みます。
「行く、退出する」という意味があります。

「妣」は「なきはは」と読みます。
つまり「亡き母」です。
イザナミの事ですよね。

「根之堅洲國」は「ねのかたすくに」と読みます。
これは後述いたします(解説の後です)

【イザナギの名前が変わっている】について

あれ?イザナギの表記がまた変わったね?
「伊邪那伎命(いざなぎのみこと)」➩「伊耶那岐大御神(いざなぎのおおみかみ)」になってるよ?

よく気が付いたわね。
【大御神】は、特別な敬称なの。
日本書記では【大神】になってたから、古事記だけに登場する敬称だと思うわ。

どういう意味なの?

読んで字の如く、とっても偉い神様かな。
大神だけでも偉いのに、更に「御」を付けて2重に称えてるからね。
神様の最上位の敬称なのよ。

イザナギが昇格したってこと?何がキッカケ??

古事記の原文を読んでみると、三貴子が生まれて【伊邪那伎命大歡喜(イザナギ喜んだ)】の所が最後の【伊邪那伎命】なの。
つまり、三貴子誕生以降が【伊耶那岐大御神】表記となってるの。
三貴子には天照大御神がいるでしょ?

あ~、つまり天照【大御神】を生んだから伊耶那岐【大御神】になったんだね!

そういうこと。
「大御神の親だから、大御神!」って感じかな。
ちなみに大御神はイザナギ・アマテラス以外にも迦毛大御神(かものおおみかみ)がいて、大御神はこの3柱だけなのよ。

なるほど、勉強になったよ~♪
ところで迦毛大御神が大御神になった理由は?

...え~と、諸説あって良く分かんない...。

ふふふ...詰めが甘いな~。

ははは...むかつくな~。


「根之堅洲國(ねのかたすくに)」について

以前もお話したのですが、古事記では幾つかの世界(国)が登場します。
天界である高天原、地上世界の葦原中つ国、死の国の黄泉の国
この他にも世界はあるのですが、基本的にこの3つの世界が古事記で語られます。

さて、「根之堅洲國」ですが…これがなかなか分かりずらいのです。
この文でもスサノオが言っている「妣国」は「亡き母(イザナミ)の国」...つまり黄泉の国って事になると思うのですが、どうも根之堅洲國=黄泉の国ではないんですよね...。

少し前の回でご紹介しましたが、古事記では黄泉の国への入り口・黄泉平坂で、この世とあの世は繋がっていることになっています。
そしてこの後ご紹介するのですが、この「根之堅洲國」もまた黄泉平坂に繋がっている...ということが語られるのです。

この点をまとめると…
①スサノオが「亡き母のいる根之堅洲國へ行きたい」と言っている
②根之堅洲國にも黄泉の国にもこの世とあの世の入り口・黄泉平坂がある
とくれば、根之堅洲國=黄泉の国か?と考えてしまうのですが、違う世界の様なのです。

この二つの世界(国)が違うのは幾つか根拠があるのですが、個人的に「ん~…やっぱり根之堅洲國=黄泉の国じゃないんだな~」と思うエピソードが、かなり先なのですが古事記に登場します。
詳しく書くとネタバレになっちゃうので、ここでは省きますが…。
でも一応これだけ覚えておけば「根之堅洲國=黄泉の国じゃない」ってイメージ付くかな?ってポイントだけ書いておきますね。

まず黄泉の国は死者の国です。
つまり「生きてるものはいない」し「生き物が生まれることもない」はずです。
ですが、根之堅洲國には「ネズミとかムカデとか生きてるものがいる」んです。
更に「スサノオの娘も生まれて住んでいる」のです。

これらのお話ははいずれ物語が進むと出てきます。
この時点では根之堅洲國=黄泉の国と思ってしまうのですが、読み進めていくうちに「どうやら根之堅洲國=黄泉の国ではないな...」となると思いますので、覚えておくと良いのではないでしょうか。

以上で『古事記』本文上巻63~スサノオ追放~のご紹介はおしまいです。

次回は『古事記』本文上巻64~イザナギ怒って隠居する~をご紹介する予定です。

ここまで読んで頂きありがとうございました_(..)_
本日のおまけは一番下にあります。

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