いもみの日記

御朱印集めが趣味のOL(お芋好き女子)です。いろんな神社やグルメを紹介します!

『古事記』本文上巻55~禊(5)~

こんばんは、いもみ🍠です。
本日は、『古事記』本文上巻55~禊(5)~のご紹介です。

こんばんは、アキです。
主に翻訳と解説を担当しています。

【前回のあらすじ】
穢れによって生まれた禍(わざわい)の2柱の神様に続いて、次にその禍を直す為に現れた神様が、神直毘(かむなほびの)神です。
(註:神直毘神の【毘】の字は音読みを用いて【び】と読みます。以下もこれに倣い読んで下さい)
次に大直毘(おほなほびの)神が現れました。
次に伊豆能賣(いづのめ)が現れました。
(註:併せて3柱の神々です)
(註:伊豆能賣の【伊】以下の4字は音読みを用いて【いづのめ】と読んで下さい)

災いの神が現れれば、その災いを直す神が現れる...なんて合理的な展開なのでしょう。
ところで「災いを無くす」神ではなく、「災いを直す」神という事は、災いを無くすことは出来ないってことですよね?
もっと言えば、イザナギが禊をした事で災いを司る神が現れたわけですから、言い方を変えれば災いをこの世界に持ち込んだのはイザナギって事になるのでしょうか?
しかも先に述べたように、その災いを直すことは出来るが、無くすことは出来ないわけですから...。
冷静に考えると、オチが微妙な気がしました。


『古事記』本文上巻55~禊(5)~

【原文と読み方】
【原文】
次 於水底滌時所 成神名 底津綿(上)津見神
次 底筒之男命
於中滌時所 成神名 中津綿(上)津見神
次中筒之男命
於水上滌時所 成神名 上津綿(上)津見神(訓上云宇閇)
次上筒之男命

【読み方】
次に水底に滌(すす)ぎたまう時に成りませる神の名は、底津綿津見(そこつわたつみの)神
(【綿】は上声)
次に底筒之男命(そこづつのおのみこと)
中に滌(すす)ぎたまう時に成りませる神の名は、中津綿津見(なかつわたつみの)神
(【綿】は上声)
次に中筒之男命(なかづつのおのみこと)
水の上に滌(すす)ぎたまう時に成りませる神の名は、上津綿津見(うはつわたつみの)神
(【綿】は上声)
(【上】を訓(よ)み、【宇閇(うは)】と云(い)う)
次に上筒之男命(うはづつのおのみこと)

【訳】
次に水の底で身体をすすぎ洗った時に現れた神様の名前を、底津綿津見(そこつわたつみの)神と言います。
(註:底津綿津見神の【綿】は上声です。高く発音して下さい)
この時、底筒之男命(そこづつのおのみこと)も現れました。
次に水中で身体をすすぎ洗った時に現れた神様の名前を、中津綿津見(なかつわたつみの)神と言います。
(註:中津綿津見神の【綿】は上声です。高く発音して下さい)
この時、中筒之男命(なかづつのおのみこと)も現れました。
次に水面で身体をすすぎ洗った時に現れた神様の名前を、上津綿津見(うはつわたつみの)神と言います。
(註:上津綿津見神の【綿】は上声です。高く発音して下さい)
(註:上津綿津見神の【上】は【宇閇(うは)】と読みます)
この時、上筒之男命(うはづつのおのみこと)も現れました。


【アキちゃんのボヤキ】
イザナギ「上流は流れが速すぎるし、下流は遅すぎる」と言って中流(?)に入って禊した…「上流・下流」とあるので、私もこの時点で『川で禊を行ったのか...』と訳してて思ったのに、次に生まれたのはなんと「海の神」。
あれ~…?なんで?!
海に上流、下流ってあんの?
海流の速い、遅いってどうやって見分けるのよ??
やっぱり禊は川なの?だったら何故海の神が生まれるの??

あ~パニックッ!!
となりました<(_ _)>

【解説】
今回の訳は簡単です。
この禊の話は長くまだ続きがあるので、ここ等辺で一度話を整理してみようと思います。

ここまでの話をザックリ振り返ってみましょう。
①イザナミが亡くなり、イザナミが黄泉の国に迎えに行く
②しかしイザナミの変わり果てた姿に恐れて黄泉の国から逃げ帰る
③黄泉の国の穢れを落とすため、禊をしようと服を脱ぐ
➩脱ぎ捨てた服から12柱の神々が生まれる
④禊スタート。「上流は流れが速すぎ、下流は遅すぎ」ということで中流(?)に入る
⑤穢れを落としてたら、2柱の禍(わざわい)の神が生まれる
⑥禍を直す神も3柱生まれる
⑦浸かった場所の水面辺り・水中・底からそれぞれ神々が生まれる⇦今ココ
⑧明日以降に続く...

今回誕生した底津綿津見神・中津綿津見神・上津綿津見神は…
底・中・上➩水面の高さ
津(つ) ➩「~の」の意味
綿(わた)➩「海」の古い言葉
見(み) ➩「神霊」の意味
直訳すると「海の神霊」です。
つまり「ワタツミ」は「海神」の意味です。
※ちなみに「わたつみ」を変換すると「海神」と出ますよ。

次に底筒之男命・中筒之男命・上筒之男命ですが、「なんで綿津見神は『神』なのに、筒之男命は『命(みこと)』なんだ?」と思った方もいるでしょう。
この『神』と『命(みこと)』の呼び名が違う理由は昨日の記事で少し説明していますので、宜しければそちらをご覧ください<(_ _)>
フフフ...この展開を予想して昨日の記事に補足の説明文を書いておいたのです…フフ…フフフ...( ̄ー ̄)ニヤリ

この3神は後に重要な場面で再び登場します。
底・中・上➩水面の高さ
筒(つつ)➩日本書記では3神の名の「筒」が「土」になっているため、読み方としては「つち」でも良いと思います。
「つち」と読む場合、「つ」は「~の」の意味で、「ち」は神霊の意味であるので個人的にはシックリきます。
ただ「筒」の字の解釈については諸説あるようで、正解かは分かりません。
あくまで個人的にシックリ来た、というだけです<(_ _)>

3神は「航海の守護神」と考えられています。
これも後に再登場した時に「なるほど...!」と納得できると思いますので、覚えておいてくださいね?

以上で『古事記』本文上巻55~禊(5)~のご紹介はおしまいです。

次回は『古事記』本文上巻56~安曇氏の祖先神~をご紹介する予定です。

ここまで読んで頂きありがとうございました_(..)_
本日のおまけは一番下にあります。

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