こんばんは、いもみ🍠です。
本日は、『古事記』本文上巻㊺~イザナギ逃げる、イザナミ追う(3)~のご紹介です。
こんばんは、アキです。
主に翻訳と解説を担当しています。
追手の黄泉醜女がそれを食べている間に急いで逃げますが、食べ終わるとまた追いかけられてしまいます。
イザナギは次に右の髪に刺した湯津津間櫛(ゆつつまぐし=神聖で清浄な櫛)を引き抜いて、投げ棄てました。
すると今度は笋(たけのこ=筍)が生え、追手の黄泉醜女が笋を抜いて食べている間にまた逃げました。
前回のあらすじを読んだ感想で、いもみに「どう思った?」と訊ねたら「黄泉醜女は山ぶどうとタケノコが好きだった!」。
う~ん...確かにそうなんですけど、私的には「何で山ぶどうとタケノコ?」って思いました。
私がイザナギだったら追ってこれないように毒キノコとかトゲトゲの栗とか...手間取らせるためにドリアンとかヤシの実とか...。
『古事記』本文上巻㊺~イザナギ逃げる、イザナミ追う(3)~
且後者於 其八雷神 副 千五百之黃泉軍 令追
爾 拔所御佩之 十拳劔而於 後手 布伎都都(此四字以音)
逃來 猶追 到黃泉比良(此二字以音)坂之坂本時
取在 其坂本 桃子三箇 待撃者 悉逃返也
【読み方】
且(か)つ後に於(お)いては、其(そ)の八雷神(やくさのいかずちのかみ)に千五百(ちいほ)の黄泉軍(よもついくさ)を副(そ=添)えて追はしめき
爾(ここに)御佩(みはかし)の十拳劒(とつかのつるぎ)を拔(=抜)きて、後手に振(ふ)きつつ
(此の四字は音を以いる)
逃げ來ませるを猶(なお)追いて
黄泉比良坂(よもつひらさか)の坂本に到る時に
(此の二字は音を以いる)
其(そ)の坂本に在りし桃の子(み=実)三箇(つ)を取り持ち撃たば悉(ことごと)く逃げ返りき
イザナギは腰に帯びていた十拳剣を引き抜くと、後ろ手に降り回しながら逃げましたが、なおしつこく追ってきます。
あの世とこの世を結ぶ黄泉比良坂(よもつひらさか)の入り口に差し掛かった時に生えていた桃の実を三つ取って投げると、桃の霊力によって追手はことごとく逃げ帰ったのです。
「且後者於」は「且(か)つ後に於(お)いては」と読みました。
「且」に「さらに~」という意味があるので、「さらにその後には~」という意味だと思います。
「副」は「そ(える)=添える」でしょう。
「黃泉軍」は「よもついくさ」と読みます。
黄泉に棲む鬼達の軍勢です。
こんなのに追いかけられたら...トラウマになりそうです。
ところで「千五百之黃泉軍」の「千五百」は古語で「ちいほ」と読みます。
千➩「ち」と読みますよね?千秋(ちあき)みたいに...
五➩「い」とも読みます。五十路(いそじ)みたいに...
百➩「ほ(お)」。八百屋(やおや)の様に百は「お」とも読みます。この「お」の古語が「ほ」です。
なお、文面では「1500の黃泉軍」となり、これでも正しいと思いますが「千五百(ちいほ)」というのは「数が多いことの例え」の可能性もあります。
いもみの日記では分かりやすいので「1500の黃泉軍」ということで話を進めます<(_ _)>
そんなわけで「於其 八雷神 副 千五百之黃泉軍 令追」は「イザナミは自らの体中に生じた八柱の雷神達に1500の黄泉軍をつけて、イザナギを追うようお命じになられました」と訳しました。
・爾 拔所御佩之 十拳劔而於 後手 布伎都都(此四字以音)逃來 猶追
「布伎都都」をまず読みたいですね。
太安万侶の注釈では(此四字以音)➩「此の4字は音を以(もち)いる」とあるので、「布伎都都」を音読みで「ふきつつ」ですね。
「ふきつつ」というのは何なの?というところで、この言葉の前後を訳してみましょう。
まず「拔所御佩之 十拳劔而於」は「イザナギは腰に帯びた十拳劔を抜いて」という意味です。
次に「後手 布伎都都(ふきつつ)逃來」と続きます。
ここまでを読むと「イザナギは腰に帯びた十拳劔を抜いて後ろ手に布伎都都(ふきつつ)逃げた」です。
これで大体想像できるかと思います。つまり...
「逃げる時、十拳劔を後ろにブンブン振りまわして追ってこれないようにした」➩
「布伎都都(ふきつつ)=振りつつ」です。
・到黃泉比良(此二字以音)坂之坂本時
「到黃泉比良(此二字以音)坂之坂本時」は「坂之坂本時」が特に読みずらいですが「黄泉比良坂(よもつひらさか)の坂本に到る時に(註:此の二字は音を以いる)」と読みました。
「坂本」は「坂の始まる所」のことでしょう。
というわけで「黄泉比良坂(よもつひらさか)の坂の入り口に差し掛かった時に」としてみました。
黄泉比良坂(よもつひらさか)について
生者の住む世界と、死者の住む世界の境目にある坂です。
以前も書きましたが、「黄泉」は元々は中国の地下にある泉を言います。
古代の中国では地下に死者の世界があるとし、そこを黄泉と呼んだそうです。
また「比良(ひら)」は「崖」を意味すると考えられています。
日本神話に出てくる黄泉比良坂ですが、この後にも登場します。
この時のシーンも「追手から逃げる」というお話なんですよね~。
そういう場所柄なんでしょうか?
場所ですが出雲国の伊賦夜坂(いふやさか)にあるという伝承があります。
試しにグーグルマップで検索したら、なんと出てきました!
・取在 其坂本 桃子三箇 待撃者 悉逃返也
ここは読めば比較的意味は分かりやすいのかな?と思います。
私は「其(そ)の坂本に在りし桃の子(み=実)三箇(つ)を取り持ち撃たば悉(ことごと)く逃げ返りき」と読みました。
「黄泉比良坂(よもつひらさか)の入り口にあった桃の実を三つ取って投げたら、追手はことごとく逃げ帰った」となると思います。
何故桃にそんな威力があるのか?と思いますよね。
桃は中国から日本に伝わったと考えられています。
歴史はとても古く、中国では約7500年前から、日本でも約6000年前の縄文時代からそれぞれ出土しているそうです。
桃には霊力があるとされていて、そ霊力によって黄泉軍たちは逃げ去った...という事の様です。
以上で『古事記』本文上巻㊺~イザナギ逃げる、イザナミ追う(3)~のご紹介はおしまいです。
次回は『古事記』本文上巻㊻~桃の名前~をご紹介する予定です。
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ここまで読んで頂きありがとうございました_(..)_
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