いもみの日記

御朱印集めが趣味のOL(お芋好き女子)です。いろんな神社やグルメを紹介します!

『古事記』本文上巻⑯~国生み(3)~

こんばんは、いもみ🍠です。
本日は、『『古事記』本文上巻⑯~国生み(3)~』のご紹介です。

こんばんは、アキです。
主に翻訳と解説を担当しています。


【前回のあらすじ】
伊豫(伊予)国は愛比賣(えひめ)と言います。
(註:【愛比賣】の3字は音読みで読んで下さい)
讚岐國は飯依比古(いひよりひこ)と言います。
粟國(あわのくに=阿波国)は大宜都比賣(おおぎつひめ)と言います。
(註:宜都比賣の4文字は音読みで読んで下さい)。
土左國(とさのくに=土佐国)は建依別(たけよりわけ)と言います。

オノゴロ島に降り立ったイザナギ・イザナミが国生みで最初に誕生したのは淡路島でした。
その次に生まれたのは四国。
4つの国にはそれぞれに旧国名と、その国の神様の名前が付いています。
この土地に神の名が付くのは、日本人特有の「〇〇には魂・神様が宿っている」という考え方に由来したものと私は考えています。
地名には粟の生産地であったから粟国となったような由来が分かりやすい例もあれば、良く分からないものもあります。
また、神様の名には男女の名前が付いています。
何故この国が男の神様なのか、あの国は何で女神なのか…それも興味がありますね。
さてさて、本日はどこの島が誕生するのでしょうか?


『古事記』本文上巻⑯~国生み(3)~

【原文と読み方】
【原文】
次生 隱伎之三子嶋
亦名 天之忍許呂別(許呂二字以音)
次生 筑紫嶋
此嶋亦 身一而 有面四 每面有名


【読み方】
次に隱岐三子(おきのみつごの)島を生みたまひき
亦(また)の名を天忍許呂別(あめのおしころわけ)
次に筑紫(つくしの)島を生みたまいき
此(こ)の島も亦(また)身一つにして、面四つ有(あ)り面毎(ごと)に名有(あ)り

【訳】
次に隱伎之三子嶋(おきのみつごのしま)が誕生しました。またの名前を天之忍許呂別(あめのおしころわけ)とも言います。(註:【許呂】の二字は音読みで読んで下さい)。
次に筑紫(つくしの)島がお生まれになりました。この一つの島にも、国が4つあります。そしてその国々には、それぞれ名前が付いています。


【解説】

今回も地図を載せてみました。
【隠岐の島】です。

次生 隱伎之三子嶋 亦名 天之忍許呂別(許呂二字以音)
読み方は「次に隱伎之三子嶋(おきのみつごのしま)を生みたまいき。亦(また)の名を天之忍許呂別(あめのおしころわけ)(【許呂】の二字は音を以いる)」でしょうか。
訳は簡単ですね。
「次に隱伎之三子嶋(おきのみつごのしま)が誕生しました。またの名前を天之忍許呂別(あめのおしころわけ)とも言います。(註:【許呂】の二字は音読みで読んで下さい)」で良いと思います。

3番目に誕生したのは【隠岐の島(島根県)】でした。
「隱伎之三子嶋」の「三子嶋」は上に貼ったグーグルマップを見ると一番大きな島後島の南西にある「知夫里島・西ノ島・中ノ島」を指しているのでしょうか。
私は「隱伎之三子嶋」とは「島後島と、知夫里島・西ノ島・中ノ島の3島」という意味だと思います。

名神大社について

名神大社(みょうじんたいしゃ)と呼ばれる神社があります。

神社にも格式(社格と言います)というものがあって、古代から社格制度が存在していました。
この社格が記された『延喜式神名帳』というものがあります。
簡単に言うと【古代日本の全国神社リスト】です。

927年に作成されたという『延喜式神名帳』には日本全国の神社が2861社載っていて、記載のある神社を【式内社(しきないしゃ)】と呼びます。
式内社は「1000年以上前から存在している神社」ですから大変格式の有る神社とも言えると思いますが、更にその式内社の中で強い力を持つ神を祀る神社には「名神大(みょうじんだい)」という格が与えられました。

この「名神大」の格が与えられた神社は、2861社中226社だけ。
隠岐の島にはこのうち伊勢命神社、水若酢神社、宇受賀命神社、由良比女神社の4社に与えられています。
古代日本において、隠岐の島がいかに重要視されていたかがわかりますね!

まとめると…
①927年に全国の神社(官社)の一覧表である「延喜式神名帳」がまとめられた。
②「延喜式神名帳」に記載のある神社は【延喜に記載された神】の意味で【式内社(しきないしゃ)】と言う。
※存在したが延喜式神名帳に記載がない神社は式外社(しきげしゃ)といいます。
③【式内社】は全国で2861社ある。
④【式内社】は官幣社・国幣社、大社・小社に分けられる。
⑤【式内社】2861社のうち、強い力を持つ神(=名神祭の対象となる神々)を祀る神社には「名神大(みょうじんだい)」という格がある。
その全てが大社(官幣大社か国幣大社)に列しているので、名神大社と呼ばれる。
...です。


次生 筑紫嶋 此嶋亦 身一而 有面四 每面有名
この文も読んじゃえば分かりやすいと思います。
内容はほぼ四国の時と同じですね。

え~と…
「次に筑紫(つくしの)島を生みたまいき。此(こ)の島も亦(また)身一つにして、面四つ有(あ)り面毎(ごと)に名有(あ)り」でしょうか。
訳すと…
「次に筑紫(つくしの)島がお生まれになりました。この一つの島にも、国が4つあります。そしてその国々には、それぞれ名前が付いています。」で良いと思います。

今回は名神大社について調べていたら時間が足りなくなってしまいましたが、次回は筑紫(つくしの)島についてお話したいと思います。

以上で『古事記』本文上巻⑯~国生み(3)~のご紹介はおしまいです。

次回は『古事記』本文上巻⑰~国生み(4)~をご紹介する予定です。

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本日のオマケ
もうすぐ誕生日なので、アキちゃんとホテルビュッフェに行って来ました!!
美味しかった~~♪

『古事記』本文上巻⑮~国生み(2)~

こんばんは、いもみ🍠です。
本日は、『『古事記』本文上巻⑮~国生み(2)~』のご紹介です。

こんばんは、アキです。
主に翻訳と解説を担当しています。

【前回のあらすじ】
こうして淡道之穗之狹別(あわじのほのさわけの)島がお生まれになりました。
(註:【別】は【和氣(わけ)】と読んで下さい)
(註:以下も同様にこれに倣ってください)
次に伊豫之二名(いよのふたなの)島がお生まれになりました。
この一つの島には、国が4つあります。
そしてその国々には、それぞれ名前が付いています。

イザナギ、イザナミの結婚で国生みが始まりました。
最初に生まれたのは淡路島です。
これは覚えておきましょうね。
【国生みで最初に出来たのは淡路島】!
たまに【オノゴロ島】でしょ?って方がいますが、【オノゴロ島はイザナギとイザナミが最初に降り立った島】ですので、お間違えなく!


『古事記』本文上巻⑮~国生み(2)~

【原文と読み方】
【原文】
故伊豫國謂 愛(上)比賣(此三字以音下效此)(也)
讚岐國謂 飯依比古
粟國謂 大宜都比賣(此四字以音)
土左國謂 建依別

【読み方】
故に伊豫國(いよのくに)を愛比賣(えひめ)と謂(い)い
(愛の字は上声)
(此の三字は音を以いる 下も此れに效う)
讚岐國(さぬきのくに)を飯依比古(いひよりひこと)謂い
粟國(あはのくに)を、大宜都比賣(おおぎつひめ)と謂い
土左國(とさのくに)を建依別(たけよりわけ)と謂う。

【訳】
伊豫(伊予)国は愛比賣(えひめ)と言います。
(註:【愛比賣】の3字は音読みで読んで下さい)
讚岐國は飯依比古(いひよりひこ)と言います。
粟國(あわのくに=阿波国)は大宜都比賣(おおぎつひめ)と言います。
(註:宜都比賣の4文字は音読みで読んで下さい)。
土左國(とさのくに=土佐国)は建依別(たけよりわけ)と言います。


【解説】
故伊豫國謂 愛(上)比賣(此三字以音下效此)(也)

「伊豫國」は昨日も書きましたが、「伊予国(いよのくに)」です。
伊予国は愛媛県の事です。

「謂」は「い(う)」と読みます。

「愛(上)比賣(此三字以音下效此)」の()内は太安万侶の注釈です。
(上)は上声(じょうせい)の略語です。
意味は「高く発音する」という感じで良いと思います。
ここでは「【愛】の字は上声で読んでね」という意味です。

(此三字以音 下效此)は何度も出てきたので簡単に行きます。
【読み方】此の三字は音を以(もち)いる 下も此れに效(なら)う
【意味】この三字の漢字は音読みで読んでね 次にこの字が出てきた時も同じように読んでね
...です。

この三字とは【愛比賣】の事ですね。
注釈通り読んでみると…【えひめ】。
つまり愛比賣=えひめ=愛媛、です。

ここを訳すと「伊豫(伊予)国は愛比賣(えひめ)と言います」で良いと思います。

これが分かれば下の文は簡単です。
難しいのは漢字の読み方だけですね。
では見て行きましょう!


讚岐國謂 飯依比古
読み方は「讚岐國(さぬきのくに)は飯依比古(いひよりひこ)と謂(い)う」です。

「讚岐國」は有名ですから分かると思います。
そーです、私の大好きな讃岐うどんの讃岐(香川県)です。
ちなみに私は釜玉(卵なしの醤油だけでも可)です♪
...え、この情報いりませんか…そうですか…。

訳はもうそのまんまで良いでしょう。
「讚岐國は飯依比古(いひよりひこ)と言います」

好字令と国名の表記について

粟國謂 大宜都比賣(此四字以音)
読み方は「粟國(あわのくに)は大宜都比賣(おおぎつひめ)と謂(い)う (此の四字は音を以いる)」ですね。

ここは少しややこしいので補足したいと思います。
まずは「粟國(あわのくに)」

これは「粟國=阿波国(あわのくに)」のことでしょう。
阿波は現在も地名であるのでお分りかもしれませんが、徳島県のことです。

この地域は古代から粟の生産地として有名だったので、そのまんま「粟国」になった様です。
この「粟国」を改め「阿波国」にしたのが、古事記を献上させた元明天皇です。

古事記献上後の713年「諸国郡郷名著好字令」、略して「好字令」という勅命を出して改められました。
「好字令」とは私なりの解釈で言うと「中国を習って、出来れば縁起の良い字を当てはめた漢字2文字の地名にしたいの、私」法です。
漢字一文字の「粟」➩「阿波」になった背景は、簡単に言えばこんな感じです。

上記の様に「好字令」が出されたのは古事記献上後の713年です。
太安万侶が編纂してる711~712年にはまだ「好字令」が出されていないので、古事記の中では「阿波」ではなく「粟」国が使われているのです。
補足は以上です<(_ _)>

訳は簡単ですね、そのまんまです。
「粟國(あわのくに=阿波国)は大宜都比賣(おおぎつひめ)と言います。(註:宜都比賣の4文字は音読みで読んで下さい)」

土左國謂 建依別
読み方は「土左國(とさのくに)は建依別(たけよりわけ)と謂(い)う」です。

「土左國(とさのくに)」は「土佐国」。
云わずと知れた高知県の事ですよね。

訳もこれまで通り「土左國(とさのくに=土佐国)は建依別(たけよりわけ)と言います」で。

国生み(2)のまとめ

まず今回出てきた4県(国)の国名を。
伊豫➩愛比賣(えひめ)➩愛媛県
讚岐➩飯依比古(いひよりひこ)➩香川県
粟(阿波)➩大宜都比賣(おおぎつひめ)➩徳島県
土左➩建依別(たけよりわけ)➩高知県
※赤字は【ひめ=姫】で女性です

ココからわかるのは、
①国名に国の支配神名が付いている
②姫(=比賣)と付いているように支配神は男、女がある

でしょうか。
①については食べ物や建物に神様の名前、付いてるんですよ。
古事記を読むと良く分かります。
これは「モノに霊や魂が宿る」とかっていうあのイメージに近いと思います。
②昨日もお話しましたが、神様は双神で誕生するケースがあります。
四国も丁度男女一対の名を付けた可能性もあると思います。

以上で『古事記』本文上巻⑮~国生み(2)~のご紹介はおしまいです。

次回は『古事記』本文上巻⑯~国生み(3)~をご紹介する予定です。




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本日のオマケ

『古事記』本文上巻⑭~国生み(1)~

こんばんは、いもみ🍠です。
本日は、『『古事記』本文上巻⑭~国生み(1)~』のご紹介です。

こんばんは、アキです。
主に翻訳と解説を担当しています。

【前回のあらすじ】
こういうわけで、天界から地上に戻ったイザナギとイザナミは、再びあの天之御柱(あまのみはしら)を前と同じようにイザナギは柱の左から、イザナミは柱の右から進んでまわりました。
再び柱を回った先で出会うと、今度はイザナギが先に声を掛けました。
「あぁ…なんて素敵な女性なんだろう…♥」
それを聞き終えて今度はイザナミが応えます。
「あぁ…なんて素敵な殿方なんでしょうか…♥」
この様に言い(なおし)終えて、(もう一度)結婚(しなお)しました。

前回は【結婚のやり直し】をしました。
ここまでを振り返ってみますと…
①柱を回って結婚することになる
②結婚の誓いの言葉をイザナミが先に言ってしまう
③イザナギは「女性が先に言うのは良くないよ」と言いつつ結婚
④不具の子が生まれ子として認めず流してしまう
⑤天の神様に相談。鹿の骨を焼いて占う
⑥「女性が先に誓いの言葉を言ったのがダメ」と言われる
⑦地上に戻ってもう一度①からやり直し...
という流れです。
書けば書くほど、訳せば訳す程「何やってんの?」と言いたい気持ちです。

一般論(?)について

ちなみに…親戚の中学生の女の子にインタビューしてみましたので、参考にどうぞ<(_ _)>
聞き手:いもみ・アキちゃん
受け手:親戚の女の子

いもみ

「柱を回って結婚しよう!」ってプロポーズされたら?

親戚の女の子

価値観が合わないから別れると思う。

アキちゃん

逆プロポーズとか女子から男子に告白するのは?

親戚の女の子

アリでしょ。素直な気持ちを言うのに男も女もカンケーない。

いもみ

「結婚の言葉を女性が先に言うのは良くないよ」って彼氏に言われたら?

親戚の女の子

…こだわるのそこ?って思う。

アキちゃん

子供が生まれた時、旦那が「川に流そう」と言ったら?

親戚の女の子

...怖くね?

いもみ

先生とか親とか、大事な相談しに行ったら「待ってろ!今鹿の骨焼いて占うから」って言われたら?

親戚の女の子

むしろ斬新でいいと思う。

アキちゃん

貴女が逆プロポーズして結婚して子供が生まれました。その後で「やっぱり女性からプロポーズするのはおかしいよ。結婚をやり直そう」と言われたら?

親戚の女の子

...やり直さなきゃいけないのは結婚だけじゃないと思う。

以上、一般論でした<(_ _)>

『古事記』本文上巻⑭~国生み(1)~

【原文と読み方】
【原文】
生子 淡道之 穗之狹別嶋(訓別云和氣 下效此)
次生 伊豫之 二名嶋
此嶋者 身一而 有面四 每面有名

【読み方】
子、淡道之穗之狹別(あわじのほのさわけの)島を生みたまひき
(【別】は【和氣(わけ)】と云い訓(よ)む 下も此れに效う)
次に伊豫之二名(いよのふたなの)島を生みたまひき
此(こ)の島は身一つにして面(おもて)四つ有り、面毎(ごと)に名有り

【訳】
こうして淡道之穗之狹別(あわじのほのさわけの)島がお生まれになりました。
(註:【別】は【和氣(わけ)】と読んで下さい)
(註:以下も同様にこれに倣ってください)
次に伊豫之二名(いよのふたなの)島がお生まれになりました。
この一つの島には、国が4つあります。
そしてその国々には、それぞれ名前が付いています。


【解説】

解説に入る前にまずはコチラの地図をご覧ください。
グーグルマップの【淡路島】です。
地図があった方が分かりやすいと思って貼ってみました!
こちらを参考に解説を進めて行きたいと思います。

淡道之穗之狹別嶋って?

生子 淡道之穗之狹別嶋(訓別云和氣 下效此)
この文にも太安万侶の注釈がありますのでそちらから行きましょう。
訓別云和氣 下效此
何度も登場した形ですので、覚えてる方もいるかもしれませんね。

「【別】は【和氣(わけ)】と云い訓(よ)む 下も此れに效(なら)う」と読みました。
意味は「【別】という字は【わけ(=和氣】と読んでね!今後また【別】という字が出てきたら、これに倣ってね」という意味です。

「淡道之穗之狹別嶋」は「あわじのほのさわけのしま」と読みます。
長い名前ですが、これは現在の淡路島のことです。
この名前を分解してみて行こうと思います。

①「淡道(あわじ)」
➩淡路島は【阿波の国への路】で「あわじ」だと思われます。
上の地図をご覧いただければ分かりやすいと思うのですが、阿波へと道が続いていますよね?

②「穗」は「穀物の穂」ですよねぇ...。
上の地図を見れば何となくイメージ沸くんじゃないかな~と思うのですが、これは淡路島の島の形が稲穂に似てるからでしょう。

③「狹」は「狭」の字です。
意味は変わりません。
接頭語としても使われる言葉(例えば「狹霧」とか)ですが、意味に大きな差は無いようですしここは敢えて無視します。

④「別嶋」。う~む...何と別れた島なのか…?
これは淡路島の説明の文なので、「淡路島と別れた島」という意味でよさそうです。
となると「本州と別れた島」という位置づけなのか、「四国と別れた島」という位置づけだと思います。

古事記を訳していると、そのネーミングのセンスに驚きがあったり、言われてなる程...という感想を抱くことが多いのですが、大体が外見やその時の状況なんかを参考に名付ける傾向があります。

なので淡道之穗之狹別嶋というのは「淡路島はこんな感じの島なんだよ」って感じで名付けたと想像しています。
つまり私の解釈では...
淡道之穗之狹別嶋➩阿波の国に続く稲穂の形をした狭くて本州(か四国?)から別れた島、が淡路島です。
どうでしょうか?

「二名嶋」についての考察

次生 伊豫之 二名嶋
「伊豫」は「いよ」と読みます。
分かりやすい字ですと「伊予」です。
伊予とは愛媛県のことです。

「二名嶋」は「ふたなのしま」でしょう。
意味は「二つの名を持つ島」になるでしょうか?

ここも良く分からないのですが色々調べてみて「こういうことかな?」と結論が出ました。
2つあります。

①男女対の名前で1つの名?説
今回ご紹介していないのですが、実はこの後四国の名前が出てきます。
伊豫➩愛比賣(えひめ
讚岐➩飯依比古(いひよりひこ)
粟(阿波)➩大宜都比賣(おほけつひめ
土左➩建依別(たけよりわけ)
※赤字は【ひめ=姫】で女性です。

つまり四国には男性の名が2つ、女性の名が2つ、計4つ名前があるのです。
しかし二名嶋(二つの名を持つ島)...。
2つ名前が余ってしまいます…そこで考えました。

神世七代を思い出してください。
双神(ならびかみ)は男女一組で誕生していましたね?
なので組み合わせは分かりませんけど、2組の男女が出来上がります。
この2組の組み合わせをもって、【二名嶋】と言っているんじゃないの?…という説です。

②「双名島」って名前の島が高知県の沖合にあるので、これのことか?説
至ってシンプルなのですが【二名嶋】を調べるにあたって、念のためグーグルマップで「ふたなしま」と入力してみました。

そしたらあったんです!「ふたなしま」!
しかも高知県!四国!!
字は「双名島」でしたが。

じゃあこれのこと?…って説です。

①②いずれもやや根拠が弱くて、突っ込まれたら厳しいんですけど、調べた感じでは以上です<(_ _)>

此嶋者 身一而 有面四 每面有名
これを読むと…
「此の嶋、身一つにして面が四つ有り。面(めん)毎(ごと)に名有り」でしょう。

「每面有名」がちょっと難しかったですね~…私は10秒くらい固まってしまいました。
「面」は「顔」という普通の解釈で良いと思います。

直訳すると「この嶋は体が一つなんだけど、顔が4つあります。顔にはそれぞれ名前が付いています」かな。
どういうことかというと、この文は四国の説明文なので「四国には4つの国があって、それぞれに名前があります」と読んでいる人に説明してくれているのでしょう。


以上で『古事記』本文上巻⑭~国生み(1)~のご紹介はおしまいです。

次回は『古事記』本文上巻⑮~国生み(2)~をご紹介する予定です。


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本日のオマケ

『古事記』本文上巻⑬~結婚をやり直す~

こんばんは、いもみ🍠です。
本日は、『『古事記』本文上巻⑬~結婚をやり直す~』のご紹介です。

こんばんは、アキです。
主に翻訳と解説を担当しています。

【前回のあらすじ】
水蛭子(ひるこ)と淡島(あわしま)を生み終えた時点で、イザナギとイザナミの2柱の神様はお話し合いになりました。
そして『私達から生まれた子は不具だった。やはり天界の神様の所に行ってお話して、こうなった原因を明らかにしよう』と仰せになられました。
そんな訳で、イザナギとイザナミは助言を請うために、天界の神様の所に一緒に行かれました。
そこで天つ神達は、太占(ふとまに=鹿の肩骨を焼いて吉凶を占う)で占い、次のように仰せになられました。
(註:【布斗麻邇爾】の5字は音読みで読んで下さい)
(註:【爾】は上声です。高く発音して読んで下さい)
「女性であるイザナミが先に結婚の誓い(プロポーズ)を言ったことが良くなかった原因だから、また地上に帰って、もう一度正しい順番で結婚をやり直しなさい」

なんと、不具の子が生まれた原因は女性(イザナミ)から声を掛けてしまったからでした。
これは古代は逆プロポーズがダメというか、求婚は男性からするべきだという事を暗に示しているのかもしれませんね。
個人的にはこの声掛けの順番より、結婚をやり直していいんだ...?の方がインパクトありましたが。


『古事記』本文上巻⑬~結婚をやり直す~

【原文と読み方】
【原文】
故爾反降 更往廻 其天之御柱 如先。
於是 伊邪那岐命 先言 阿那邇夜志 愛袁登賣袁
後妹 伊邪那美命 言 阿那邇夜志 愛袁登古袁
如此言竟而 御合

 
【読み方】
故(かれ)、爾(ここに)反(かえ=帰)り降りて、更に其(そ)の天之御柱(あまのみはしら)を往き廻ること、先(さき)の如(ごと)し
是(ここ)に於(お)いて伊耶那岐命(いざなぎのみこと)、先(まず)「あなにやし、えをとめを」と言い
後に妹(いも)伊耶那美命(いざなみのみこと)、「あなにやし、えをとこを」と言いたまいき
此(こ)の如(ごと)く良い竟(おえ)て、御合(みあい)まして...

【訳】
こういうわけで、天界から地上に戻ったイザナギとイザナミは、再びあの天之御柱(あまのみはしら)を前と同じようにイザナギは柱の左から、イザナミは柱の右から進んでまわりました。
再び柱を回った先で出会うと、今度はイザナギが先に声を掛けました。
「あぁ…なんて素敵な女性なんだろう…♥」
それを聞き終えて今度はイザナミが応えます。
「あぁ…なんて素敵な殿方なんでしょうか…♥」
この様に言い(なおし)終えて、(もう一度)結婚(しなお)しました。

【解説】
故爾反降 更往廻 其天之御柱 如先
「故」は「かれ」と読みます。先にあった事の結果として、後の事が起こった」ことを表わす言葉です。
訳すと「こういうわけで」でしょうか。

「反降」ですが「反(かえ=帰)り降りて」と読みました。
「反」は「天界から反転して地上に戻った」様なニュアンスで使われていると思います。

「更往廻 其天之御柱 如先」は「更に其(そ)の天之御柱(あまのみはしら)を往き廻ること、先(さき)の如(ごと)し」で良いと思います。
もう一度同じことをやり直しているだけですから、解説はココは省略します。
詳しくは『古事記』本文上巻⑩~柱を廻って結婚する(3)~をご覧ください<(_ _)>
柱を何故それぞれ左右に進んだのか等も、気になる方はご覧いただけると嬉しいです♪

「こういうわけで、天界から地上に戻ったイザナギとイザナミは、再びあの天之御柱(あまのみはしら)を前と同じようにイザナギは柱の左から、イザナミは柱の右から進んでまわりました」と訳してみました。


於是 伊邪那岐命 先言 阿那邇夜志 愛袁登賣袁
後妹 伊邪那美命 言 阿那邇夜志 愛袁登古袁

この文も、もう一度同じことをやり直しているだけですから、解説はココも省略します。

念のため整理しときますと、
大事なのは【男性から先に声を掛けること】です。
     ⇩
②阿那邇夜志 愛袁登賣袁(あなにやし、えをとめを)は「あぁ…なんて素敵な女性なんだろう…♥」
     ⇩   
③阿那邇夜志 愛袁登古袁(あなにやし、えをとこを)は「あぁ…なんて素敵な殿方なんでしょうか…♥」
...の順番が大事(らしい)なのです!


如此言竟而 御合
「御合」は「みあう」です。
「結婚する」という意味ですね。

「この様に言い終えて、結婚しました」という訳で良いと思います。
正確には「この様に言いなおし終えて、もう一度結婚しなおしました」かとは思いますが。

以上で『古事記』本文上巻⑬~結婚をやり直す~のご紹介はおしまいです。

次回は『古事記』本文上巻⑭~国生み(1)~をご紹介する予定です。

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本日のオマケ

『古事記』本文上巻⑫~天の神様に相談する~

こんばんは、いもみ🍠です。
本日は、『古事記』本文上巻⑫~天の神様に相談する~のご紹介です。

こんばんは、アキです。
主に翻訳と解説を担当しています。


【前回のあらすじ】
それぞれ言い終えた後に、イザナギは妹神のイザナミに「女性が先に結婚の誓い(プロポーズ)を言うのは良くないよね」と言いました。
そうしたモヤモヤ感が残りましたが、二人は寝床を組んで契りを交わし、子が生まれました。
(註:「久美度邇」の4字は音読みで読んで下さい)
こうして生まれた最初の神である水蛭子(ひるこ)ですが、蛭の様にグニャグニャで手足が無い不具の子であったため、イザナギとイザナミは葦で作った船に入れて(川か海に)流してしまいました。
続いて第2子である淡嶋(あわしま)が誕生しましたが、泡みたいにブクブク状態のやはり不具の子であったため、イザナギとイザナミは子として認めることが出来ませんでした。

イザナギとイザナミの結婚によって誕生した子は、不具の子でした。
彼らは第一子、第二子共に子として認めることが出来ず、流してしまうという驚くべき行動にでます。今回は、何故不具の子になってしまうのか?を天界の神様に相談しに行く場面です。
これによって、原因が明らかになります。


『古事記』本文上巻⑫~天の神様に相談する~

【原文と読み方】
【原文】
於是 二柱神 議云 今吾所 生之子不良 猶宜白 天神之御所 
即共參上 請天神之命 爾 天神之命以 布斗麻邇爾(上。此五字以音)ト相而詔之 
因女先言 而不良 亦還降改言

【読み方】
是(ここ)に於(お)いて、二柱の神は議(はか)りて云う。
「今、吾(われ=我)が生める子良からず。猶(なお)宜(よろ)しく天神(あまつかみ=天つ神)之(の)御所(みところ?)にて白(しら)むべし」
即(すなわ)ち共に參上し、天神(=天つ神)之(の)命(みこと)を請いたまいき。
爾(ここに)天神之命(まつかみのみこと)以(も)ちて、太占(布斗麻邇爾=ふとまにに)卜相(ぼくそう)詔のりたまひ
(上声。此の五字は音を以いる)
「女を先(さき)だち言いしに因りて良からず、亦(また)還(かえ)り降りて改めて言え」と詔のりたまひき

【訳】
水蛭子(ひるこ)と淡島(あわしま)を生み終えた時点で、イザナギとイザナミの2柱の神様はお話し合いになりました。
そして『私達から生まれた子は不具だった。やはり天界の神様の所に行ってお話して、こうなった原因を明らかにしよう』と仰せになられました。
そんな訳で、イザナギとイザナミは助言を請うために、天界の神様の所に一緒に行かれました。
そこで天つ神達は、太占(ふとまに=鹿の肩骨を焼いて吉凶を占う)で占い、次のように仰せになられました。
(註:【布斗麻邇爾】の5字は音読みで読んで下さい)
(註:【爾】は上声です。高く発音して読んで下さい)
「女性であるイザナミが先に結婚の誓い(プロポーズ)を言ったことが良くなかった原因だから、また地上に帰って、もう一度正しい順番で結婚をやり直しなさい」

【解説】
於是 二柱神 議云 今吾所 生之子不良 猶宜白 天神之御所

「於是 二柱神 議云」は「是(ここ)に於(お)いて、二柱の神は議(はか)りて云う」。
つまり「水蛭子(ひるこ)と淡島(あわしま)を生み終えた時点で、イザナギとイザナミの2柱の神様は話し合った」ということでしょう。
何を話し合ったのかは明白で、生まれた2子が共に不具であった原因についてです。

「今吾所 生之子不良 猶宜白 天神之御所」の文もこれまで出てきた単語ばかりですね。
ただ「猶宜白」がちょっと難しいと思いました。
なのでこの3字をそれぞれ見て行きたいと思います。

「猶」は「なお」と読みます。
意味としては「やはり~(しよう)」という感じでしょう。

「宜」は「よろ(しく~べし)」の読みが妥当と思います。
意味は「~するのが良い」でしょう。

「白」は少し自信が無いのですが、私は「白(しら)む」と読みました。
「色の白」ではなくて、ここでは「明白の白」という意味だと思います。
訳すると「白(しら)む」➩「明らかになる」というニュアンスです。

次にちょっと引っ掛かったのが「天神之御所」
この「天神」はどう考えても「別天つ神」のことでしょう。

とすれば「御所」の読み方は「みところ」か「おんところ」が妥当な気がします
「ごしょ」とも読めますが、「ごしょ(御所)」は「神様の居場所」では無く「天皇陛下の家」的な意味ですので、読み方として「ごしょ」はふさわしくない気がしました。
なので、ここは「御所=みところ」と読むことにしました。

ここまでを踏まえて…
「今、吾(われ=我)が生める子良からず。猶(なお)宜(よろ)しく天神(あまつかみ=天つ神)之(の)御所(みところ?)にて白(しら)むべし」と読んでみました。

これを「『私達から生まれた子は不具だった。やはり天界の神様の所に行ってお話して、こうなった原因を明らかにしよう』と仰せになられました」と訳しました。


即共參上 請天神之命 爾 天神之命以 布斗麻邇爾(上。此五字以音)ト相而詔之
「即共參上 請天神之命」は「即(すなわ)ち共に參上し、天神(=天つ神)之(の)命(みこと)を請う」でしょうか。
「そんな訳で、イザナギとイザナミは助言を請うために天界の神様の所に一緒に行った」という訳になると思います。

【ふとまにに】ってなんだ?

「布斗麻邇爾(上。此五字以音)」は太安万侶の注釈が付いていますね。
【布斗麻邇爾】を「上声(じょうしょう。高く読むという意味)で、そしてこの5文字を音読みしてね」と言っています。
なので【布斗麻邇爾】を音読みして【ふとまにに】。

「なに、それ?」ですよね。
私も訳していて「なに、それ?」でした。
なので調べました!

【ふとまにに】は「古代の占い」の事です。
漢字では「太占(ふとまに)」と書きます。
どんな占いかというと、「鹿の肩骨を波波迦(ははか=桜の古い名前)の木皮で焼いて、骨の割れ目の模様によって吉凶を占う」というものでした。

「ト相」は「ぼくそう」と読みました。
【ト】も【相】も占いの種類ですね。
簡単にご説明します。

卜術(ぼくじゅつ)
「全ての事象は必然である」という考えのもと、【偶然に意味を見出す占い】が特徴です。
カメの甲羅を焼いて、その亀裂によって占う、という形が元になっているとか...。
近未来の事などを占うのに適した占い方法のようです。

相術(そうじゅつ)
【物の形によって吉凶を占う】のが特徴です。
例えば、部屋の形は模様替えなどで変えることが出来ます。
この様に形は自ら変えることが出来るため、自ら良い運気へと導いていける開運の手法です。

この2つ以外に、運命や宿命などを占う命術(めいじゅつ)があります。
詳しいことはココでは語りませんが、太古の昔も占いで吉凶を探っていて、神様も占ってたというのは知識として持っていた方が良さそうですね。
以上、【ふとまにに】ってなんだ?でした<(_ _)>


なのでこの文は「そんな訳で、イザナギとイザナミは助言を請うために天界の神様の所に一緒に行かれました。そこで天つ神達は、太占(ふとまに=鹿の肩骨を焼いて吉凶を占う)で占い、次のように仰せになられました。(註:【布斗麻邇爾】の5字は音読みで読んで下さい)(註:【爾】は上声です。高く発音して読んで下さい)」と訳しました。


因女先言 而不良 亦還降改言
「因女先言 而不良」は読んでしまえば簡単ですね。
「女を先(さき)だち言いしに因りて良からず」と読んでみました。

「女性が先に言ったことが良くなかった原因だ」って意味ですよね。

つまり不具の子が立て続けに産まれてしまった原因は、天之御柱を回って出会った時に「あぁ…なんて素敵な殿方なんでしょうか…♥」とイザナミが先に言ってしまったからだ。太占ではそういう結果になった。...と言っているのです。

何だか良く分かりませんが、この時代は女性から男性に声を掛ける逆プロポーズ、逆告白とかはダメだったんでしょうね…。

「亦還降改言」は「亦(また)還(かえ)り降りて改めて言え」と読みました。
天つ神達はイザナギ達に「また地上に帰って、もう一度結婚を正しい順番でやり直しなさい」と言っているのです。


以上で『古事記』本文上巻⑫~天の神様に相談する~のご紹介はおしまいです。

次回は『古事記』本文上巻⑬~結婚をやり直す~をご紹介する予定です。

ここまで読んで頂きありがとうございました_(..)_
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本日のオマケ

『古事記』本文上巻⑪~柱を廻って結婚する(4)~

こんばんは、いもみ🍠です。
本日は、『『古事記』本文上巻⑪~柱を廻って結婚する(4)~』のご紹介です。

こんばんは、アキです。
主に翻訳と解説を担当しています。

【前回のあらすじ】
そこでイザナギは「では、私とあなたでこの天之御柱をまわって、出会った時に男女の契りを行おう」と仰せられました。
(註:「阿那邇夜志 愛袁登古袁」の10文字は音読みで読んで下さい)
(註:【愛】の字は上声で発音して下さい)
そして「貴女は柱の右から進んでください。私は柱の左から進みます」と約束して、柱をまわって進み二人は出会います。
出会った時に、先にイザナミがイザナギに言いました。
「あぁ…なんて素敵な殿方なんでしょうか…♥」
それを受けてイザナギも『あぁ…なんて素敵な女性なんだろう…♥』と後から言いました。
(註:【愛】の字は上声で発音して下さい)

前回で柱をまわって結婚しました。
この結果、早速彼らの子供(?)が生まれるのですが…。
ここまでのお話がなんか普通ではないので、薄々感づいている読者様もいるかもしれませんね。
そうなんです。
この後もヤバいお話が続くのです。


『古事記』本文上巻⑪~柱を廻って結婚する(4)~

【原文と読み方】
【原文】
各言竟之後 告其妹曰 女人 先言不良
雖然 久美度邇(此四字以音)興而生子  
水蛭子 此子者 入葦船而 流去
次生淡嶋 是亦 不入子之例


【読み方】
各(おのおの)言い竟(おえた)後に、其(そ)の妹(いも)に告(つ)げ曰(のたま)いしく「女人(にょにん)先(さき)だち言へるは良からず」
然(しか)れども久美度邇(くみどに)興(おこ)して子を生みたまひき
(此の四字は音を以いる)
水蛭子(ひるこ)、此の子は葦船(あしぶね)に入れて流し去りき
次に淡嶋(あわしま)を生みたまいき是(これ)も亦(また)子之例に入らず


【訳】
それぞれ言い終えた後に、イザナギは妹神のイザナミに「女性が先に結婚の誓い(プロポーズ)を言うのは良くないよね」と言いました。
そうしたモヤモヤ感が残りましたが、二人は寝床を組んで契りを交わし、子が生まれました。
(註:「久美度邇」の4字は音読みで読んで下さい)
こうして生まれた最初の神である水蛭子(ひるこ)ですが、蛭の様にグニャグニャで手足が無い不具の子であったため、イザナギとイザナミは葦で作った船に入れて(川か海に)流してしまいました。
続いて第2子である淡嶋(あわしま)が誕生しましたが、泡みたいにブクブク状態のやはり不具の子であったため、イザナギとイザナミは子として認めることが出来ませんでした。



【解説】
各言竟之後 告其妹曰 女人 先言不良
「竟」は昨日も出ましたね。
「お(わる)、つい(に)」と読み、「おわる、おえる」という意味です。
ですから「各言竟之後」は「各々言い終わった後」という意味でしょう。

「告其妹曰」は「其(そ)の妹に告(つ)げ曰(のたま)いしく」ですかね…。
「妹(イザナミ)に告げて言った~」で良いと思います。

「女人 先言不良」は簡単ですね。
「女の人が先に言ったのは良くない」でしょう。
なにが「先」かというと、前文の「あぁ…なんて素敵な殿方なんでしょうか…♥」『あぁ…なんて素敵な女性なんだろう…♥』という、あのやり取りの事です。
このセリフをイザナミが先に言ったのは良くない、ということです。
何故か??
この理由はちょっと後に語られますので、ここのやり取りは覚えておいてくださいね。

ここは「それぞれ言い終えた後に、イザナギは妹神のイザナミに『女性が先に結婚の誓い(プロポーズ)を言うのは良くないよね』と言いました」と訳しました。


雖然 久美度邇(此四字以音)興而生子
「雖」は「(~と)いえども」です。
逆接の条件を表わす言葉で、強いてわかりやすく訳すとしたら「ではあるけれど」みたいな感じでしょうか。

ですので「雖然」は「然(しか)れども」と読んでみました。
「そうではあるけれど(~した)」というニュアンスで良いと思います。

「久美度邇(此四字以音)興而」はまたまた太安万侶の注釈が付いていますね。
【久美度邇】の4字は音読みにして、と言っています。
音読みしますと【久美度邇】➩【くみどに】

【くみどに】の考察について

またしても難解な言葉が登場してしまいました…。
なんだ、【くみどに】って?

ヒントはあります。
この【くみどに】の前後の文から、この言葉の意味を探ってみましょう。
雖然 久美度邇(此四字以音)興而生子 

え~と…まず
①「あぁ…なんて素敵な殿方・女性なんでしょうか…♥」というやり取りがありました。
      ⇩
②「イザナミが先に言ったのは良くない」とイザナギが言い出します。
      ⇩
③「そうではあるけれど【くみどに(久美度邇)】を興した。
      ⇩
④そしたら子が生まれた

つまり結婚~子作りの間の出来事を表わす言葉の様です。
しかし結婚については既に別の言葉で表現されていますので、子作りを表わす言葉なんでしょう。

私のイメージでなのですが、これは【くみどに=組み床】じゃないかな~と。
イザナギとイザナミは「柱をまわって出会ったところで契りをかわそう」と発言しています。

ですから出会った場所=子作りするための場所、になると思います。
しかし柱の先に、しかも二人が出会った先に都合よく「たまたまベッドがあった~😄」なんて不自然すぎます。
ですから、寝所を作った=寝床を組んだ=組み床=くみどに、じゃないの?と思います。

「くみどに」の「に」は意味が分かりませんが、これ以上頭をひねっても思い浮かばなかったので、ややモヤモヤしますがこれで行きたいと思います!
以上【くみどに】の考察についてでした<(_ _)>

「雖然」の「そうではあるけれど~」は「心残り」的な意味だと思うので、
「そうしたモヤモヤ感が残りましたが、二人は寝床を組んで契りを交わし、子が生まれました」という感じで訳しました。


水蛭子 此子者 入葦船而 流去
「水蛭子」は「ひるこ」と読みます。
イザナギとイザナミとの間に生まれた最初の神です。

「此子者 入葦船而 流去」はサラッと書かれていますが訳すと、実に怖ろしい文面です。
➩「此の子は葦船(あしぶね)に入れて流し去りき」
➩「この子(水蛭子)は葦で作った船に入れて(川か海に)流してしまいました」です。

「…えっ?」って思う内容です。
なんで生まれた子を葦船に入れて流してしまうのか...?
その理由は、このあとすぐに語られます。

まぁその理由もかなり酷いのですが…。
①水蛭子について
②何故流されてしまったのか
は、この後登場する淡島(あわしま)と一緒に説明したいと思います。

葦船について

ここで登場した葦船については少し補足しておこうと思います。

【葦(あし)】は水辺に生えるイネ科の多年草です。
古事記でも登場していることからも分かるように古代から人々の生活に深く関係してきた植物で、刈り取った葦を家の屋根や壁に利用したり、燃料や肥料としても活用されてきました。

ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、幾つか【葦にまつわるエピソード】をご紹介しましょう。

①秀吉に見いだされ、関ヶ原で徳川家康と天下分け目の戦いに挑んだ石田三成。
彼がまだ小身であった頃、秀吉から石高を上げてやろうと言われました。
武士ならば、誰もが欲しがる石高。
自分の領土が増えれば、養える兵士の数も増え、それだけ立身出世しやすくなります。

しかし、この時三成は断るのです。
その代わり、秀吉に対し「川の河原に生えている葦(あし)を刈る権利をください」と言います。
「おかしなことを言う奴だ」と秀吉は思いましたが、三成の好きにさせることにしました。

後日、合戦がありました。
すると秀吉のもとに、ひと際立派な装備をした軍勢が現れます。
「あれは誰の軍勢か?」と訊ねる秀吉に「石田三成の軍勢です」との答え。
石田三成は、葦はすだれや屋根・戸の材料に使えること、需要が高いこと、それを京都などに運べば大きな利益が出ることを知っていたのです。

②「宇宙の無限と永遠に対し、自己の弱小と絶対の孤独に驚き、大自然に比べると人間は一茎の葦のようなもので、最も弱い存在である。しかし、人間は単なる葦でなく『考える葦である』」
これは、フランスの哲学者パスカルの言葉です。

私の高校時代の先生が好んでよく使っていました。
「君達は考える葦だ、では考えない葦は何だろう?それはただの葦だ」

この様に葦は古代から日本だけでなく世界中で汎用性の高い植物でした。
葦を使った船は現代でも使われています。
聞いた話では、子供2人くらいなら全然平気だそうですよ?

古事記の中で登場する【葦】。
その歴史や背景を知っておくと面白いかな~と思って、少し脱線しました。
なお、これまで見つかった一番古い葦船は、7000年前のものだとか...場所は中東らしいですよ

以上【葦船について】の考察でした<(_ _)>


次生淡嶋 是亦 不入子之例
この文は、読めばおおよその意味が分かると思います。
読んでみましょう。
➩「次に淡嶋(あわしま)を生みたまいき是(これ)も亦(また)子之例に入らず」で良いと思います。

これは前文で登場したイザナギとイザナミの初めての神である水蛭子(ひるこ)と、次に生まれた淡嶋(あわしま)は、イザナギとイザナミの子に入らない、カウントされない...という意味なのです。
つまりイザナギとイザナミは、水蛭子と淡嶋を自らの子として認めなかったばかりか、あろうことか川(海?)に流してしまうのです。

こんな親いる??
いくら神様とはいえ、こんな事が許されるのでしょうか…?
これが人間社会であれば...いいえ、考えるのはやめます、古代の話だし。相手神様だし。
さて、ここで幾つか疑問が出てきます。
そこで水蛭子と淡嶋についての疑問点などを簡単にまとめてみました。

水蛭子と淡嶋について

水蛭子と淡嶋は共に神様
→私は見落としていたのですが…神様なんですよ。

②何故流されてしまったのか?
→明日以降ご紹介する文に理由が出ています。
先に書いてしまいますね、流されてしまった理由はたった1文で…
【今吾所 生之子不良】(我が生める子良くあらず)
...とあります。
訳すと【今私達が生んだ子は良くない】です。

「良くない」というのは要するに「不具の子」だったからです。
古事記には容姿についてハッキリ書かれているわけではありませんが、大体次の様なイメージであるようです。

水蛭子➩蛭の様にグニャグニャで手足が無い
淡嶋 ➩泡みたいにブクブク状態

でもいくら不具の子とはいえ、流してしまうなんて酷い...。

③何故不具の子が生まれてしまったのか?
→こちらも明日以降ご紹介する文に理由が出ています。
この解説は次回にしますが、一言で書くと【結婚の儀式を間違えたから】です。

ですから、親が間違えた➩不具の子が生まれてしまった➩「生んだ子は良くない」と言って葦船で流す...という順番です。
誰がいけないのかは明白です。
ですが古事記だけでなく、世界の神話でも神様の失敗談は語られています。
神様も失敗する時もあるんだよ…としておかないと、辻褄が合わなかったりすることがあるからなのでしょう

④流された水蛭子と淡嶋はどうなったのか?
→こちらも古事記に書かれていないのですが一説として次の様なお話があります。

・流された水蛭子
→摂津国(大阪北西部・兵庫県あたり)に流れ着いて海を領する神になった。
・流された淡嶋
→淡島神と同一視され、安産などのご利益があるとされる。

この様に流されてしまった水蛭子と淡嶋ですが、流れ着いた先で丁重にされている印象です。

客人神(まろうどがみ)という信仰があります。
これはその土着の氏神の力を、外から来た神のもつ霊力がより一層強くしてくれるという信仰です。
流れ着いた2神もこの様に丁重に扱われたのだとしたら、嬉しいですね♪

以上、【水蛭子と淡嶋について】でした<(_ _)>

以上で『古事記』本文上巻⑪~柱を廻って結婚する(4)~のご紹介はおしまいです。

次回は『古事記』本文上巻⑫~天の神様に相談する~をご紹介する予定です。

ここまで読んで頂きありがとうございました_(..)_
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本日のオマケ

とあるラーメン屋さんの人気メニューについて

こんばんは、いもみ🍠です。

本日も『古事記』の翻訳作業を終えることが出来ませんでしたので、代わりにこんなお話をご紹介したいと思います。

【とあるラーメン屋さんの人気メニューについて】

舞台は、とある個人経営のラーメン屋さんです。

駅からはやや距離があって、駐車場は狭いし立地はあまり良いとは思いません。

知名度も決して高いわけではありませんが、店主の親父さんの人柄が良く、常連さんが多いラーメン屋。

外から見たお店は寂れた印象を受けますが、中に入ると常に6割方は席が埋まってる...そんなお店です。

ぶっちゃけ、ラーメンの味は普通です。

つまり不味くないけど、美味しいからリピートしようともならない感じです。

私達は近所なのと、女性でも入りやすい雰囲気なので良く利用していて、この日も二人でお店に入ったのです。

以下:店主➩「店」 
  :いもみ➩「私」
  :アキちゃん➩「ア」

私「オジちゃん、とりあえず美味しい奴ちょーだい。あとレモンサワー2つ」

店「じゃ、叩きキュウリと唐揚げでいいか?」

ア「ラーメン屋の親父がそれをチョイスするか…」

店「アキちゃんはウチで好きなの、何よ??」

ア「…餃子かな。この辺ではかなり良い線。あ、餃子追加で」

店「アキちゃん、うちラーメン屋だからね?」

私&ア「かんぱ~い♥(レモンサワーが届いた)」

店「いもみちゃんは、うちの何が好きだ?」

私「おつまみ三種盛りかな?」

ア「オジさん、おつまみ三種盛り追加で」

その後もオーダーを重ね、色々飲み食いする二人。
暫くして...

私「そろそろ帰るか~、あっ端数はオマケして♥」

店「ラーメン屋来て、ラーメン食べないってどうなの?」

私「次来たときは注文するから」

店「そのセリフ、先月から3回くらい言われてるけどな...」

ア「逆に何がこの店で人気なの?」

店「ん、そりゃラーメンだろ。発注してるから出数分かるし」

ア「注文数=人気じゃなくて、人気メニュー=人気でしょ?データが出数だけじゃ分かんないわよ?『好きなんだけど、高くて...』とか、『注文したいけど量が少ないから...』とかあるだろうし。お客さんが好きなメニュー調べてみたら?」

店「アンケートとんの?」

私「好きなメニューベスト5とか書いてもらって、『値段下げて欲しい』とか『量増やして欲しい』とかコメントも書いてもらったら?」

めんどくさがっていた店主でしたが、なんと奥さんと娘さんに言われて私達の言った【人気メニューランキング5】をアンケートして、その結果を店内に貼ってました!

それによると…

1位:餃子
2位:唐揚げ
3位:チャーシュー丼
4位:手作りチャーシュー
5位:おつまみ3種盛り

ラーメンがベスト5に入っていない!!ラーメン屋なのに!!

ア「…結局ラーメンは?」

店「8位...ちなみに9位はメンマだからね…」

私「…オジちゃん、ラーメン1つ頂戴💦」

ア「…あの、わ、私も1つ...💦」

店「…」

いや、不味くないんですよ?
美味しいと思います!
普通なだけで...


ここまで読んで頂きありがとうございました_(..)_
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